漫画家・ごめんが描く 音楽にまつわるラブストーリー

インスタグラムで12万人を超えるフォロワーを持ち、20代前後の女性から圧倒的な支持を得る漫画家・ごめん。恋人たちの日常に存在する瞬間や光景を見事に切り取り、女の子の誰もが持つ記憶や情緒にアクセスできるショートストーリーに共感する人が急増しています。フォロワーの中には、ラブリーサマーちゃん、ましのみなど同世代の女性アーティストも多く、井上苑子「ファンタジック」、リーガルリリー「僕のリリー」とコラボレーションした新作が、原宿・Backstege Café で開催中のごめん企画展「#オンエアー〜原宿と内緒の音楽、あとラジオ〜」で、現在展示中です(2019年9月16日まで開催)。

そこで今回は、漫画家・ごめんがこれまでに発表した「音楽と漫画」の世界を紹介するとともに、漫画家・ごめん本人による解説をご紹介します。きっと楽曲の新たな魅力を感じてもらえるはずです。

くだらないの中に / 星野源

星野源さんの書く歌詞はとても詩的で優しい印象があります。日々のちょっとしたことを愛おしいと思わせてくれるところが大好きです。この曲では、「首筋の匂いがパンのよう」 という歌詞が特に印象的だったので、まずそこを絵にしようと思いました。漫画は、恋人同士の日常的な、けれど幸せなやりとりとして描きました。日々の生活の中には、社会や時代に呑まれて嫌になることもあるけれど、毎日の中の、くだらないと思えることの中にこそ愛があるのだと確認させてくれる大切な一曲です。

出典元:YouTube(Victor Entertainment)

君はロックを聴かない / あいみょん

あいみょんさんの歌う男性目線の曲がとても好きだということと、歌詞の細かな心情描写に惹かれてこの曲を描きました。漫画の中には、路上でギターを抱える男の子と、歩道橋の上でイヤフォンをして泣いている女の子が出てきます。好きな人はロックを聴かないけれど、自分(男の子)はロックが好きで、もし「君」がロックを聴いてくれたなら、自分の好きなものを好きになってくれたのなら、今よりずっと近くに感じることができるのに、というやるせない気持ちをイメージしました。

出典元:YouTube(Warner Music Japan)

幸せ / back number

「幸せ」というタイトルからは想像できない切なさが詰まった一曲で、悲しい気持ちになりたいときによく聴いています。なんとなく、恋は自分中心になりがちだと思うのですが、この曲の女の子は片思いの相手の幸せをひたすら願っていて、その優しさが曲の切なさをより一層引き立たせている気がして、そういう部分も大好きです。絵にするときに気をつけたことは、女の子の優しさと悲しさの表情です。泣いているけれど、笑っているようにも見えるような口元を意識して描きました。

残ってる / 吉澤嘉代子

曲の通り、朝帰りの女の子をイメージして描きました。少女から大人に変わっていくような吉澤嘉代子さんの歌声と、一瞬一瞬に苦しくなるような歌詞、そんな切なさにぴったりのメロディが大好きです。「いかないで」と繰り返す部分が切なくて印象的なので、そこをメインに描きました。その他に、「かき氷いろのネイルが剥げていた」という歌詞もとても好きなので、ネイルが剥げている描写も入れています。MVも何回も見ているので、そのままのイメージを絵にしました。

出典元：YouTube(yoshizawakayoko)

悪い癖 / My Hair is Bad

この曲は、恋人同士の会話が歌詞になっているのが印象的で、その情景が頭の中ですぐに浮かびました。何気ない会話の中に見える影が、巧みに歌詞におこされているのが魅力のひとつだと思います。漫画にするよりも先に、この曲は映像として頭に浮かんだので、「もし映像にするなら」というのを漫画として描きました。長編にして描きたいぐらい想像力を掻き立てられて、パワーがあって大好きな曲です。言葉選びが本当に好きで、何度も何度も聴いています。

漫画家・ごめんの「音楽と漫画」の世界はいかがでしたか？プレイリストでは特集で紹介した楽曲と、ごめんさんの気になる音楽を選曲し、公開しています。こちらも是非お聴きください。

〈information〉

「#オンエアー〜原宿と内緒の音楽 あとラジオ〜」
◯会期:: 2019年８月31日(土)- 9月16(月・祝)
◯時間: 平日13:00-21:00 / 土日12:00-18:00
◯会場：Backstage Café (東京・原宿)
　渋谷区神宮前3-25-18 THE SHERE 1F
URL：https://www.bscradio.tokyo/