HaKU『「人と共に」がモチベーションとしてあった』

HaKU『「人と共に」がモチベーションとしてあった』

ライブでも人力のみでその音源を表現するオルタナティブ・ギター・ダンスロックバンドHaKU。中世的で透明感溢れる歌声、ギターのプリズム、アグレッシブなバンドサウンドがクロスオーバーし、ロックファンに圧倒的衝撃を与え続けている。今回は、彼らの新曲「the day」そして、4月30日リリースの2ndアルバム「シンバイオシス」について話してもらった。 ■バンド名「HaKU」が表すもの ーHaKUというバンド名に由来はあるんですか? 辻村:バンド名か。じゃあ説明をどうぞ。 三好:息を「吐く」ように歌う、何にも染まらない「白」、一音一拍リズムを大切にする「拍」、そういういろいろな願いを込めてついた名前…という説明がホームページに(笑) 藤木:めっちゃ言わされてるやん(笑) 辻村:これ実は、意味はあとからついてきた感じなんです。最初バンドを組んだときに一曲だけでライブに出られるっていうイベントがあって、結成して一週間だったんで名前もまだついてなかったんですけど、申込用紙を書くときに… 藤木:バンド名を書かないとダメで、「どうする?」って言ったら、有記(辻村)が「HaKU、aだけ小文字ね」って(笑) 辻村:(笑)まあ、そうなんですけど、活動を続けていくうちに自分の歌い方、息を吐くように歌う歌い方だったりとか、いまダンスミュージックをやっていて一拍を大事にするとか、いろいろな意味がついてきた。なんか導いてもらえるようなバンド名になったんで、すごく不思議な感じがします。 ■伝えたいものと伝わらかなかったもの 辻村:バンドを組んだ当初はR&Bとかヒップホップみたいなことをやってたんです。でもすぐに諦めた。伝わらなかったんです。よくありがちなパターンなんですけど、10代でブラックミュージックをやるのがかっこいいみたいなのがあって。自分たちはすげー気持ちよかった。でも全然伝わってなくて、お客さんからしたら全然気持ちよくないもので。 それで、どうやったら、ライブ感みたいなものを味わえるんだろうかっていうのを考えたときに出会ったのがダンスミュージックだったんです。実は自分たちはダンスミュージックを聴いてきたルーツってないんです。でも、お客さんを楽しませるっていうのを考えているうちにでたどり着けた。自分たちのこと、音楽を知らない人でも、知らないなりに踊らせようとした結果、HaKUなりのダンスミュージックができた。それがいまにつながっていくきっかけになったと思います。 ーたしかに新曲「the day」は、初めてライブにきた人でも楽しめちゃいそうな曲ですよね。 辻村:そこまで行くのには長かったですけどね。7年。最初はダンスミュージックといいつつもプログレみたいなことをやっていて、オルタナなのにプログレでダンスミュージックっていう相反するものを全部くっつけたようなことをやってた。それをもっと広げて行きたいと思うようになって、いろいろな人や音楽に出会って変わっていって、「the day」も入っているニューアルバム「シンバイオシス」のような音楽になったんです。昔は聴きたい人だけ聴いてねって、ライブでも思ってたところがあった。そうじゃない人はしょうがないって。 ■シンバイオシス=共生 辻村:このアルバムは自分たちの第一段階の終着点といっても過言じゃないかも。タイトルの「シンバイオシス」っていうのは共生っていう意味。「人とともに」っていうところがスタートのモチベーションとしてあったんです。 ーシンバイオシスという言葉はいつごろから思うようになったんですか? 辻村:去年6月のワンマンのときにすごく強く思ったんです。初めてお客さんといっしょに歌える部分を作ったんですよ。それまでは言ってしまえば、そんなのダサいみたいにすら思ってた。でも、伝えたいっていう気持ちがふくらんでくるなかでそういうところにたどり着いた。それでワンマンライブをやったときに、お客さんを見て「HaKUのライブでこんなふうに歌うか?」って自分でも思ってしまった。でもそれがうれしかった。自分たちのネガティブなところに共振してくれるお客さんばっかりだと思ってたら、そうじゃない。そうなのかもしれないけど、そういう人たちもいっしょに歌ってくれた。なんかその壁が壊れた時に、この場所で生きていけるのかもしれないって思ったんです。 ■人とともに生きる音楽。 ーみなさんにとって「人とともに生きる音楽」っていうのはどういうものですか? 辻村:自分自身、すごく音楽に助けられた部分がある。25年の思い出に音楽がいつも寄り添ってると思うんです。こういうことがあったときこんな曲を聴いてたなとか。恋も悲しいことも全部。自分たちの音楽もそうなりたいなって。 藤木:結局は聴いてもらわないと始まらないって思うんです。聞いてくれる人がいて、音楽になる。お客さんがいて俺たちがいる。俺たちがいてお客さんがいる。 長谷川:たしかにリスナーがいてっていうのは大きな割合を占めてる。 三好:演奏する人、聴く人がいて、そのあいだに曲があるっていう感じですかね。すべてをつなぐもの。しかも形が変わっていく。演奏する側も初めて作った時、アレンジしたとき、10年後に演奏したとき、それぞれ違うものになるんですよ。聴くときだってまったく違うものに変化する。 藤木:ライブもそうかな。その日しか出せない音ですからね。その場でしか共有できない。曲はあるけど、毎回違うと思うし。人間って感じですね。 ■日常を共有すること。新曲「the day」について 辻村:「the day」は、しんどいときに聴いてもらえたらいいなって。簡単な言葉で言ってしまうと、応援ソングになるのかな。これまで僕は日常の風景を音楽にすることってあまりなかったんです。それも共生っていうことなのかもしれないですけど、日常を共有できたらもっと曲も生きてくるんじゃないかなって、もっと心に入っていけるんじゃないかなって。いままでは悲観することが得意だったバンドだったんですけど、それが逆に振れているような曲。だからしんどいときに共有してもらいたい。 ■ 影響を受けた曲、アーティスト。いまヘビーローテーションの曲。 辻村:僕はパンテラ(Pantera)。特に「Cowboys From Hell 」という曲。僕はメタラーだったんです。ヘビーメタルしか聴いてなかったですからね。 三好:一番自分がプレイする中で影響を受けた曲はエアロスミス(Aerosmith)の「リヴィング・オン・ジ・エッジ」。サビのベースラインとか世界観を聴いて「何でもありやな」って。最近聞いているのはレインボー(Rainbow)の「Kill the King」、懐かしくて聴いてます。 藤木:僕はHi-STANDARDですかね。「MAKING THE ROAD」。バンドやろうって思ったアルバムですね。最近もあのへんのメロコア、パンクの曲をまたよく聴いてますね。 長谷川:ドラムを始めようというきっかけになったと言っても過言ではないのは、ルナシー。それから高校に入ったときにBlink-182を初めて聴いて、このドラムやばいなって。とくに「Enema Of The State」というアルバムはいまでも聴いてるぐらい。 終わりに 2014年3月には、台湾の大型ロックフェス「台湾ROCK BANDOH 音楽祭」に出演するHaKU。このインタビューを終えたあと、彼らはどれだけ台湾のことを知っているのか?そして台湾のことをもっと知ってもらいたいため、特別企画を実施。その模様は動画になっているので、お見逃し無く!

海老沼邦明
海老沼邦明

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