SHE IS SUMMER(MICO)にとっての「至福なオフ」〜波動のように、いつの間にかじんわり広がっていく『WAVE MOTION』

SHE IS SUMMER(MICO)にとっての「至福なオフ」〜波動のように、いつの間にかじんわり広がっていく『WAVE MOTION』
山本雅美
山本雅美

ミュージシャンの「オン」と「オフ」を覗く、連載『至福なオフ』。「オン」のモードで作り上げた作品についてはもちろん、休みの日に聴いている音楽や私服のこだわりなど、「オフ」のことも伺います。

今回のゲストは、SHE IS SUMMERのMICOさんです。今年6月には東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブ「FOOD COURT」を大成功させ、11月27日に2年振りとなるフルアルバム『WAVE MOTION』をリリースしました。今回のインタビューでは、MICOさんのオフやファッションに対するさりげない向きあい方と、MICOさんが考える「WAVE MOTION=波動」のことについてお話を聞きました。

※写真/にしゆきみ


オフの日、なにしてる?

-「オフ」のことについて聞かせてください。オフの日はどうやって過ごしていますか?

MICO:なんの予定もなく平日にぽっかり休みの日があった時は、ひたすら家の掃除をしていますね。掃除は好きというより運気が上がる感じがします。週末は友達と美術館に行ったり映画を観に行ったり。結構いろんなとこに出かけます。


-MICOさんはおしゃれな掃除道具を使っているイメージです。

MICO:全然。道具へのこだわりとか全くないんです。料理もするんですが、料理道具への執着とか無さすぎで、ずっと切れない包丁で料理をしてました。友達が「料理をよくする人が、そんな包丁じゃダメだよ。」と言って、包丁の研ぎ機を強制的に買わされました(笑)。そうしたら、ものすごく切れるようになって。気づいていないことが多いんですよね、私。

-それでは自由な時間が3日間あったら、どんな「至福なオフ」にしたいですか?

MICO:旅行に行きます。今年の初めに与論島でマラソンをしたんですが、その時に触れた島の自然や空や海が本当に素敵だったんです。いままで島の旅ってしたことがなかったから新鮮だったし、島の良さに気付きました。いまだったら八丈島にも行きたいし、大島にも行きたいですね。

-それ、東京ですね。MICOさんだったらオシャレな島とかかなと思いました。

MICO:どういう島なんですか、それ(笑)。東京にある島にとっても興味があるんですよね。
あとは「これを食べたい!」と目的で行ける旅とかいいですよね。


どういうファッションが好き?

-MICOさんはファッショニスタとしても女性から支持されています。MICOさんのファッションへの気遣いがあれば教えてください。

MICO:そんなに流行にとらわれないことじゃないですかね。シーズンごとに新しい洋服を買うこともいまは全くないです。この2年間で紆余曲折あってそんな考えになってきました。


-今日のファッションのポイントはなんでしょう?

MICO:今日の服も、友達から貰った古着なんです。せっかく買った服を捨てたりどこかに売るんじゃなくて、親しい人に着てもらいたいと思う友達が多いですね。私自身も旅行とか体験にお金を使うようになってきたから、新しい服を買いたいという気持ちがなくなってきたんです。服に対する消費する興味がなくなってきたというか。私がそんなことを言っているから、洋服を貰う機会が増えてきたのかもしれませんね(笑)。今日は寒いからスカートはやめて、パンツにしようかなーというぐらいです。

-洋服が身近で循環するサイクルがあるのは良いですね。ネイルもナチュラルな感じで素敵です。それは服にあわせたりするんですか?

MICO:これはジェルネイルなので1ヶ月はこのままなんです。だから撮影の時も衣装にあわせて変えることができないんです。ミュージックビデオを撮り終わったので、久しぶりにやってみました。


-ちなみにネイルを変えることで気分って変わるものなんですか?

MICO:男性から見るとそういう疑問があるかもしれないですけど、ネイルは自然過ぎてそういう意識はほとんどないんです。いい香りのシャンプーを使ってみようかなと思うぐらい、私にとってはごく日常のことのような気がしますね。


オフの日に聴きたい音楽

-今回選曲してもらったプレイリストは気持ちが和らぐ感じでオフタイムにぴったりですね。

MICO:休みの日にゆっくり料理する時とかにいいかなぁと思って選曲してみました。いろんなシチュエーションでいろんな音楽を聴くんですが、今回は「オフタイムのBGMを選曲するぞ!」ということを意識したプレイリストです。可愛いジャケットのものも多いですよね。


Clairo / 4EVER

Honeypie / Johnny Utah

I don't know you /The Marias

会いにいかなくちゃ / SHE IS SUMMER

Cool with you / Her's

New Year's eve / Mellow Fellow,FLOOR CRY

Nice boys / Temporex

Losing you / boy pablo

一去不回來 / deca joins

KAMERA / AAAMYYY,TENDRE


-MICOさんは気に入った曲を何度も聴く派ですか?

MICO:何度も聴きます!今回の選曲はプライベートで良く聴いているアーティストや曲ばかりです。ふだんはプレイリストで聴くことより、アルバムを1曲目から最後まで通して聴くのが好きです。

-素敵な曲ばかりのですが、普段どういう方法で新しい音楽を発見するんでしょう。

MICO:音楽の趣味がドンピシャな友達がふたりいるので、「最新のプレイリストくださいー」という感じでプレイリスト交換したりしています。自分が気になっていた曲も選曲されていたり、聴いたことがない曲もあったりして楽しいです。


-気になっていた曲が、友達のプレイリストに重なっていると嬉しいですよね。

MICO:そう、そう。嬉しいですよね。たまたま同じ時期に、同じアーティストや曲を見つけたり、聴いたりしてるんだーって気持ちになります。

-台湾のバンドであるデカ・ジョニスも選曲されています。

MICO:ゆったりして、音が分厚くないバンドサウンドが大好きですねー。音楽の仕事をしていると真剣に聴きすぎて、耳が疲れちゃう時があるじゃないですか。だから耳が休まる感じの曲を部屋では聴いています。デカ・ジョニスのアルバム『浴室』が好きで、寝る前にも聴いています。


出典元:YouTube(deca joins)

ボーイ・パブロは、大阪のFLAKE RECORDSで聴いてみたらすごく好きになりました。アナログシンセの音とかピッチが揺れている感じの音にハマっていて、いろいろ探している時に出会いました。音楽センスが好きだなと思っている人のレコードセレクトで新しい音楽に出会うことも多いです。


出典元:YouTube(777TV)

-MICOさんの話を聞いていると、音の情報量が少なめの曲を聴きたくなりました。

MICO:ぜひ、聴いてみてください。でも金曜日に夜とかはテクノとか聴いて気分をアゲる時もありますよ(笑)。


最新アルバム『WAVE MOTION』について

-今回の『WAVE MOTION』は、オンとオフが切り替えられる内容だなーと感じました。仕事帰りに小田急線の電車の中で聴いていたんですが地元の駅に降りたら気持ちが軽くなったというか、ささやかな至福感を感じました。MICOさんが先ほど話していた「耳が休まる感じ」に通じるものがあるのかなぁと。今回の『WAVE MOTION』で伝えたかったことはなんだったのでしょう。


MICO:嬉しいです。ありがとうごいます。いま感想をおっしゃって頂いたように、「みんなの生活のBGMになれたらいいなぁ」というのがテーマのひとつとしてありました。これまでのSHE IS SUMMERの曲や歌詞は、物語のような世界感が強かったのかなと思うんですね。でも『WAVE MOTION』は聴いてくれるひとりひとりの生活の中で、一種のインテリアのように彩れるアルバムにできたらいいなと思って作りました。

-東郷清丸さんやMikeneko Homelessさん、おかもとえみさんなど作曲陣の方もとても多彩ですが、アルバムを通して聴くとそのテーマがブレていないなぁと感じました。実際に作家の方々とはどのようなプロセスで『WAVE MOTION』ができていったのでしょうか?

MICO:今回は最初にアルバムタイトルを決めていたので、どの作家の方にも『WAVE MOTION』というタイトルにした理由を説明し、いま自分がどんなことを考えているかを伝えてひとつひとつの楽曲に取り掛かって頂きました。

-よかったらMICOさんがどんなことを伝えたのか聞かせてください。

MICO:今年の夏、夢だったリキッドルームでのワンマンライブを叶えることができました。自分の好きなアーティストを観に行っていた憧れの場所でもあったので、そこに自分が立っている不思議さと、リアルに満員になっているフロアの光景を見て、自分の発信していることがたくさんの人に届いているんだという気持ちが確固たるものになりました。そして、もっともっといい言葉を伝えていきたいと強く思ったんですね。


『WAVE MOTION』は波動という意味なんですけど、私が作るSHE IS SUMMERの作品はごく日常の言葉なので、鋭い言葉の作品に比べると聴いている人に伝わっていく速度が緩やかだと思うんです。でも私は、小さな点が落ちたところから波動のように、いつの間にかじんわり広がっていくようなアルバムがになればいいなと。「Bloom in the city」は、これから作品として伝えていきたいことが詰められたなと思った曲になったと感じるし、『WAVE MOTION』の軸になったのかなという感覚があります。



-1曲目の「WAVE MOTION」を聴いた時からそんな予兆や、これから『WAVE MOTION』を聴くことのワクワク感を感じました。そして、これから始まる夜の空気感もありますね。

MICO:確かに。意図したわけではないんですけど、夜っぽい雰囲気になりましたね。生活を彩る音楽ということを考えると、みんなで一緒にわいわいしている時より、ひとりの時間や大切な人と一緒にいたりする時間に流せる音楽というイメージがあったのかもしれませんね。

-そして台北で撮影された「嬉しくなっちゃって」では、知らない街を訪れた女の子がワクワクしながら過ごしている感じがすごく伝わってきます。


出典元:YouTube(SHE IS SUMMER OFFICIAL CHANNEL)

MICO:不思議なバランスの曲ですよね。そんなに派手なトラックではないし、キーもこれまでの曲より低いんですけど。いろんな要素が集まってほどよいポップな感じになりました。ミュージックビデオもいろんな場所やお店で許可を取りながらの撮影だったんですけど、みなさんすごく気さくで協力的でした。ゴハンを作っているシーンも「やりかたかったらやっていいよー」とか(笑)。台北の人が本当に優しかったです。12月には高雄で開催される「KAOHSIUNG MUSIC FESTIVAL」にも出演するので、とても楽しみです。



プロフィール

リアルなガールズマインドを歌う、"MICO"のソロプロジェクト"SHE IS SUMMER"。
2016年8月に1st E.P『LOVELY FRUSTRATION E.P.』でデビュー。
リード曲「とびきりのおしゃれして別れ話を」が、YouTubeの再生回数が350万回を突破。ファッションアイコンとしても注目を集め、ユニクロ、CASIO等とコラボ・タイアップを行う。2018年11月に公開された「CALL ME IN YOUR SUMMER」は、台湾、タイなどアジア各国から注目を集め、YouTube再生回数が260万回 を突破、アジア進出への足掛かりとなる。11/27には、初のドラマ主題歌「Bloom in the city」、TOYOYA とタイアップした「海岸2号線」を収録した2nd Album『WAVE MOTION』をリリース。
2020年からは2年振りの東名阪ライブ「WAVE MOTION TOUR」を開催する。


「SHE IS SUMMER WAVE MOTION TOUR 」開催決定
<大阪公演>
■日程:2020年2月23日(日)
■会場:大阪 Shangri-La
■時間:OPEN 16:30 START 17:00
<愛知公演>
■日程:2020年2月24日(月)
■会場:愛知 APOLLO BASE
■時間:OPEN 16:30 START 17:00
<東京公演>
■日程:2020年4月24日(金)
■会場:東京 TSUTAYA O-EAST
■時間:OPEN 18:30 START 19:00

<台湾>
「點亮哈瑪星-不廢搖滾嘉年華」(KAOHSIUNG MUSIC FESTIVAL)
日程:2019年12月13日 - 12月15日 13:00 ~ 21:00
会場:高雄市鼓山區鼓山一路32號 (哈瑪星鐵道文化園區)
チケット情報:入場無料
https://wowtaiwan.wixsite.com/recycletcep


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山本雅美
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