いまをときめく蒼井翔太って何者?

いまをときめく蒼井翔太って何者?
KKBOX編集室
KKBOX編集室

昨年12月4日に放送されたフジテレビ系「2019FNS歌謡祭」において、水樹奈々と「METANOIA」を、そして倖田來未と「愛のうた」を歌唱し、大きな話題を呼んだ蒼井翔太。その堂々としたパフォーマンスと、ハイトーンボイスを駆使した圧倒的なボーカリゼーションはかねてからのファンはもちろん、初めて彼の歌声に触れた人たちをも魅了し、番組オンエアに合わせてTwitterのトレンドには彼の名前が挙がることとなった。それ以降、地上波への出演も急増、注目度が俄然高まっている状況にあるが、未だ「蒼井翔太って何者?」という人がいるのも事実。そこで、“蒼井翔太初心者”に向けて、彼が歩んできたここまでの軌跡を辿りつつ、比類なき個性を紐解いていこうと思う。

(テキスト/もりひでゆき)


蒼井翔太は2011年に声優としてデビュー。同年オンエアされたアニメ「君と僕。」では声優として松下隆之介役を演じると共に劇中歌の歌唱も担当し、注目を集めた。声優としてのキャリアを積み重ねつつ、2013年にはミニアルバム「ブルーバード」でアーティストとしてもデビューを果たす。この流れは、いわゆる一般的な声優アーティストの歩み方に準じていると言えるが、彼の場合、蒼井翔太としてデビューする前に別名義で音楽活動の経験がある。そこを含めれば、2020年現在ですでにアーティストとしてのキャリアは14年ほど。つまり、「FNS歌謡祭」でたくさんの人の心を惹きつけた歌声は、(唯一無二の声質と天性のボーカルセンスを生まれながらに持っていたことはもちろんではあるが)一朝一夕で創り上げられたものでは決してなく、じっくりと時間をかけて丁寧に育まれてきたものなのである。その確固たるバックボーンがあるからこそ、彼の歌は聴き手の心に突き刺さる説得力を持って響くのだ。

2011年にスタートしたTVアニメ「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEシリーズ」の第2期から登場する美風藍役で一躍人気声優の仲間入りを果たすと、役者として様々な作品、そして舞台にも出演。さらに音楽活動においてもより強い個性を発揮しながらリリースを重ねていくことになる。そこで見えたアーティストとしての大きな特徴こそが、楽曲ごとに様々な表情を見せる多彩な音楽性だ。蒼井翔太としての処女作「ブルーバード」に収録された5曲からして、ひとつの色では括れない幅広いバリエーションを見せてくれているが、活動を続けていくにつれてその傾向はより顕著になっていく。

ライブでは華麗なダンスパフォーマンスも披露する「flower」のようなダンスチューンがあったかと思えば、「秘密のクチヅケ」といったエモーショナルなロックもあるし、バラード「Powder snow」では美しくもせつない世界観を描き出す。また、彼自身が声優や役者として出演したアニメや舞台、ドラマのために書き下ろされた楽曲では、その役柄や作品世界に寄り添って、毎回新たな表情を見せてくれるのも楽しい。

出典元:YouTube(YouTube Official Channel蒼井翔太)


出典元:YouTube(YouTube Official Channel蒼井翔太)

「MURASAKI」(主演舞台「PRINCE KAGUYA」テーマソング)、「絶世スターゲイト」(TVアニメ「ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション」オープニングテーマ:橘イツキ役)」、「Eclipse」(TVアニメ「デビルズライン」オープニングテーマ:吉井健一役)、「Tone」「Harmony」(共にTVアニメ「この音とまれ!」オープニングテーマ:神崎澪役)、「Fake of Fake」(オリジナルドラマ「REAL⇔FAKE」エンディングテーマ:“歌姫”朱音役)、「BAD END」(TVアニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」エンディングテーマ:ジオルド・スティアート役)などなど、そのサウンド感も含めた変幻自在っぷりは、ぜひ声優・役者としての彼の演技とともに味わっていただくことをオススメしたい。稀有な才能を間違いなく感じることになるはずだから。

さらにもうひとつ。蒼井翔太はアーティストとしてのデビュー以来、リリースしてきた作品において必ず自ら作詞・作曲を手がけた楽曲を収録してきている。そう。彼はシンガーソングライターとしての側面も持っているのだ。ファンへの感謝を込めた初の自作曲となる「君のとなりで」から、その時々の思いを様々なスタイルで表現してきた蒼井。当然のことながら、そこにはパーソナルな感情が注ぎ込まれたものも多い。中でもすべての人にぜひ聴いてほしいのが「I am」という1曲。

出典元:YouTube(YouTube Official Channel蒼井翔太)

タイトル通り、曲の主人公は蒼井翔太自身だ。幼い頃から自らのコンプレックスに悩み、戦ってきた彼が、それを肯定することで自分らしさを見つけていく過程が、赤裸々に描かれている。常に笑顔で僕らにハッピーな感動を与えてくれる彼の心の奥底に秘められていたリアルな想い。その告白に相当な覚悟と勇気が必要だったのは想像に難くないが、この曲を書き上げたことで大きな一歩を踏み出した彼は、何にも負けない強さを手に入れたんだと思う。ぜひ歌詞にじっくりと耳を傾けながら聴いてほしい。蒼井翔太という1人の人間をより深く理解できるのはもちろん、きっとすべての人が大きな勇気をもらえることになるはずだ。

「僕は何色にも染まれる白い存在でありたいんです」とインタビューで語っているアーティスト・蒼井翔太が、ひとつのイメージに縛られることなくあらゆる色を纏いながら紡いできたここまでの軌跡。そのすべてが今回、サブスクリプションサービスでストリーミング配信されることとなった。リリース順に歴史を辿って行ってもいいし、最新の楽曲から遡って聴いていくのもいい。このテキストで興味を持った楽曲からピックアップしていくのも自由だ。すべての楽曲に触れたとき、「蒼井翔太って何者?」という疑問の答えは見つからないかもしれない。むしろそこに広がる無限の可能性に翻弄され、さらに疑問が膨らむことになるのかもしれない。

出典元:YouTube(YouTube Official Channel蒼井翔太)

だが、確実に言えるのは、そのときにはもう蒼井翔太のトリコになっているということ。数々の楽曲にハマったらライブに足を運ぶのもオススメだ。楽曲の世界をより増幅させたエンターテインメント性の高いパフォーマンスを通して、まだ見たことのないたくさんの蒼井翔太に出会えることになるだろう。彼の魅力はまるで底の見えない深い深い沼のようだ。だが、恐れることはない。一歩踏み込めば、そこには日常を鮮やかに彩る、めくるめく楽しい時間が待っているから。


KKBOX編集室
KKBOX編集室

関連アルバム

最新の記事

    share to facebook share to facebook share to facebook share

    Ctrl + C でコピー