まるりとりゅうが にとっての「至福なオフ」

まるりとりゅうが にとっての「至福なオフ」
森朋之
森朋之

ミュージシャンの「オン」と「オフ」を覗く連載「至福なオフ」。「オン」のモードで作り上げた作品についてはもちろん、休日の過ごし方や私服のこだわり、聴いている音楽など「オフ」の話題にも触れています。今回のゲストは、“まるりとりゅうが”のお二人。「オフ」のリラックスタイムや好きなファッション、最近聴いている音楽などについて教えてもらいました。


出典元:YouTube(まるりとりゅうが)

また6月30日には待望の1stフルアルバム「まるりとりゅうが」をリリース。デビュー直後に配信チャートで1位となった「気まぐれな時雨」、失恋ソングの定番として人気の「幸せになって」のほか、「リナリア」(TVアニメ「恋と呼ぶには気持ち悪い」エンディングテーマ)、「甜言蜜語 (TikTok ドラマ「恋は青春より青し。」主題歌)などが収められた本作についてもたっぷり語っていただきます!


オフの日、なにしてる?


―まずは「オフ」の話題から。休みの日の楽しみと言えば?

MaRuRi:一人でいるのが好きじゃないので、オフの日がわかっていたら、仲のいい友達に連絡して、ごはんにいったり、岩盤浴にいったりしてますね。気になるカフェをチェックして、「ここ行かん?」って誘ったり。

Ryuga:女子やってます!っていう感じだね(笑)。

MaRuRi:それが好きなの。出かけるってなったら、そのために髪の毛セットして。

Ryuga:家にいると、そういうことしないよね。

MaRuRi:うん。STAY HOME期間中は、人生で初めてゲームにハマったんですよ。「フォートナイト」をずっとやってて、あのときはヤバかった(笑)。

Ryuga:僕は男っぽいゲームをあまりやらないんですよ。「フォートナイト」とか「Apex」とか、撃つ系のゲームはぜんぜんわかんなくて。

MaRuRi:Ryugaくんはそうだよね。

Ryuga:時代に乗り遅れてます(笑)。僕は「ギターを弾いてる時間が永遠でもいい」ってくらい好きで。何も考えずにエレキギターをずっと弾いてると、ストレス発散になるんですよね。服にもお金を使ってなくて、ほとんど機材につぎ込んでいるんですよ。1万円の服があるとしたら、「エフェクター買えるな…」と思ってしまう(笑)。

―金銭感覚が……。

Ryuga:ちょっとバグってますね(笑)。機材は無駄な出費じゃなくて、いつか回収できると思ってるんですけどね。


ふたりが好きなファションは??

Ryuga:服は友達にもらうことが多いかな。僕の周りにはオシャレな人が多いし、スタイリストの方に勧めてもらった服を着てるから、ぜんぜん大丈夫なんです(笑)。ファンの方に「Ryugaくんのファッションに憧れてます」と言われると、ちょっと気まずいんですけど…(笑)。

MaRuRi:Ryugaくんは普段、パーカーにTシャツとか、大学生が学校に行くときみたいな恰好をしていることが多くて。私としては、冬場だったら白いタートルネックのセーターとか、王子様っぽい感じもいいなと思ってるですけど。

Ryuga:それは無理。肩幅が広いから似合わない。

―(笑)。 MaRuRiさんはどんなファッションが好きなんですか?

MaRuRi:最近は気を付けるようになったんですけど、デビュー前はけっこう……。

Ryuga:エグかったよね(笑)。 MaRuRiが好きな服と、世間の流行がちょっとズレてたというか。

MaRuRi:(笑)。今よりもギャルっぽかったんですよ。つけまつ毛、赤いリップだったり、オフショルとかショーパンとか露出度も高めで。でも、デビューするタイミングで「品を持ちたい」と思ったんですよね。 Ryuga くんとも、「“まるりとりゅうが”としてインスタも開設するから、ビジュアルも気を遣っていこうね」と話していたし、ファッション誌を見たり、それまで買ったことがなかったお店にも行くようになりました。私服はわりとカジュアルですけど、衣装は明るい色のワンピースだったり、かわいいものが多いですね。男女ユニットなので、ビジュアルでも男子、女子がわかりやいほうがいいなって。みんながかわいいと思う服を、私も好きになってきたのかな。

Ryuga:衣装のフィッティングのときも幸せそうだよね。

MaRuRi:楽しいよ(笑)。

Ryuga:僕は1分くらいで終わっちゃうんですよ。 MaRuRiが30分くらい先に入って、スタイリストの方と相談しながらじっくり選んで。 MaRuRiの衣装が決まったら、僕はそれに合わせるだけなので、すぐ決まっちゃうんです(笑)。

MaRuRi:男女ユニットでよかったよね。女性同士だったら、もっと時間かかるかも。

Ryuga:男性アーティストも服にこだわる人はいるけどね(笑)。僕はスタイリストさんを信頼して、お任せしてます。

ー今日の衣装も素敵ですよね。まず、オレンジのシューズが印象的で。

Ryuga:今日は雨なのでNIKEのゴアテックスにしました。色が鮮やかなので気持ちが明るくなりますね。

―ジグソーパズル柄のTシャツデザインについては?

Ryuga:ピースが2つあるんですけど、「まるりとりゅうが」に思えたんですよ。僕たち2人が組み合わさることで新しいものが生み出せればいいな、みたいな。

ーなるほど(笑)。 MaRuRiさんは、ネイルが素敵です。

MaRuRi:ネイルやアクセサリーは大好きですね。気持ちを高めてくれます。

ー靴のポイントは?

MaRuRi:厚底の靴が好きですね。他にもたくさん持っています。


オフの日に聴きたい音楽は?

―普段聴いている音楽についても聞かせてください。お二人には事前にプレイリストを作ってもらってまして。

MaRuRi:お互い、何を選んだのか知らないんですよ。

―唯一、変態紳士クラブの「YOKAZE」だけ重なってました。



Ryuga:お!ホントに聴いてる?

MaRuRi:よく聴いてるよ、最近。

Ryuga:僕、変態紳士クラブをサポートしてるギターの子と友達なんですよ。

MaRuRi:え、そうなん?

Ryuga:うん。ヒップホップは普段あまり聴かなかったんですけど、友達に「聴いてみて」ってお薦めされて。変態紳士クラブはラップとJ-POPのミックスという感じで、すごくいいなと思って。知らない世界に足を踏み入れた感じがありますね。

MaRuRi:私も詳しくはないんですけど、「YOKAZE」は好きですね。

Ryuga:最近、ヒップホップ系のアーティストがぐいぐい来てるじゃないですか。ラップって音程的にも高くないし、カラオケでも楽しめるのかなって。自分たちも取り入れてみたいですね。

MaRuRi:いいね。

―MaRuRiさんのプレイリストには、「イッサイガッサイ」(KREVA)も入ってますね。

MaRuRi:小学校6年生のときに「イッサイガッサイ」にハマって。生まれて初めてアルバム(「イッサイガッサイ」が収録された2ndアルバム「愛・自分博」)を買ったんですよ。ラップは自分ではできなかったけど(笑)、いまも大好きです。



―そんなルーツがあったんですね! あとは「始まりのバラード」(アンジェラ・アキ)や「恋におちたら」(Crystal Kay)など、ちょっと懐かしめの曲が多くて。

MaRuRi:私、好きな曲をずっと聴いてるタイプなんですよ。アンジェラ・アキさんの曲は最近知ったんですけど、すごくいい曲だなと思って。カラオケでよく歌ってる曲も入れてますね。特に西野カナさんの「Days」は十八番です!

―新しいところだと、BTSの「Butter」。カッコいいですよね。

MaRuRi:めちゃくちゃいいですね。BTSは新しい曲が出るたびにランキングの上位に入ってくるし、「Butter」もクセになるような良さがあって。

Ryuga:MVが1日で1億再生突破って、ヤバイですよね。世界に届いてるのは本当にすごいなと思います。

―Ryugaさんのプレイリストは、「しわあわせ」(Vaundy)、「ギラギラ」(Ado)など、最近のヒット曲が中心。まるりとりゅうがの新曲「シール」も入ってますね。

Ryuga:はい。普段、自分たちの楽曲を聴くことも多いので。あとはいま流行りの曲ですね。ランキングをチェックしながら片っ端から聴いて、好みな曲を選んで。



―トレンドもしっかりチェックして。

Ryuga:やっぱり刺激になるんですよね、ヒットしてる曲は。すごいアーティストは新曲を出すたびに「さすがだな」と思うし、「すごい表現だな」「何でこんなメロディが浮かぶんだろう?」ということも多くて。リスペクトもありつつ、「自分もがんばろう」と思わせてもらえるというか。懐かしい曲に刺激を受けることもありますね。今って、何年も前に出した曲がヒットすることがあるじゃないですか。

―そうですね。竹内まりやさんの80年代の楽曲「Plastic Love」が世界中で聴かれたり。

MaRuRi:すごいですよね。

Ryuga:1年前の曲がTikTokでバズったり、思ってもみないような展開もあって。まるりとりゅうがの曲も、「まだまだいけるかも」って希望が持てますね。

―最後に、お二人のリラックスタイムは?

MaRuRi:私は寝る直前の時間ですね。お風呂に入って、あとは寝るだけというときがいちばん幸せです(笑)。寝る前に食べ物系のYouTuberの映像を観ることもけっこうありますね。ASMR録音の。

―咀嚼音を聞きながら(笑)。Ryugaさんは?

Ryuga:僕は……ギターを弾いてるときですね(笑)。音楽部屋を快適な空間にしたくて、アンティーク、ビンテージ系の家具を少しずつ揃えていて。その部屋で音楽を聴いたり、ギターを弾いてるうちに日が暮れます(笑)。


1stフルアルバム「まるりとりゅうが」について

―続きまして、1stフルアルバム「まるりとりゅうが」について聞かせてください。デビュー直後に配信チャートで1位となった「気まぐれな時雨」、失恋ソングの定番として人気の「幸せになって」のほか、アニメ、ドラマのタイアップ曲から新曲まで、まるりとりゅうがの3年間が凝縮された作品ですね。

出典元:YouTube(まるりとりゅうが)

MaRuRi:そうですね、確かに。

Ryuga:最初の「気まぐれな時雨」「幸せになって」が、まるりとりゅうが広まるきっかけになって。それはすごく嬉しいことだったんですが、この2曲が自分のライバルになったところもあったんです。「気まぐれな時雨」「幸せになって」をなかなか追い越せなくて、もがいていた時期もあったんですよね。ファンのみなさんには「いい曲ですね」と言われていたし、評価もしてもらっていたんですが、実力が追い付いていなかったというか…。でも、フルアルバムが出来たときに、これまでの曲と新曲が合流して、「一緒に進んでいこうぜ」ってまとまった感覚があって。自分自身も胸を張って、「聴いてほしい!」と言えるアルバムになりました。

MaRuRi:Ryugaくんが今言った通り、「気まぐれな時雨」「幸せになって」はたくさんの人に聴いてもらえて、ポーンと進めた感じがあって。「最高!」「楽しい」という感じでスタートしたんですが、その後は試行錯誤する時期もあったんです。りゅうがくんが書いた曲を私の声だけで表現したり、自分で作詞・作曲したり。いろいろやってきたなかで、このアルバムが出来て、「これが“まるりとりゅうが”だよね」と思えたというか。だからタイトルも「まるりとりゅうが」にしたし、“らしさ”を見つけられた手ごたえはあります。

出典元:YouTube(まるりとりゅうが)

Ryuga:二人で活動を始めた当初は、正解がわかってなかったんですよね。僕が本格的に曲を作り始めたのは“まるりとりゅうが”になってからなんですけど、最初の仕事としてはちょっと難し過ぎたというか(笑)。自分のソロならまだしも、男女のユニットですからね。歌詞にしても、男性目線なのか女性目線なのか、本当にいろいろ模索して。最近は「何でも表現できる」と思っているし、それが自分たちの強みだなと感じています。

MaRuRi:そうだね。

Ryuga:リスナーのみなさんからも、「この曲は、“まるりゅう”っぽいね」と言ってもらえることが増えて。それが一つの目標だったんですよ。大好きなback numberさんもそうですけど、すごいアーティストの方には“らしさ”があって。このアルバムの制作中に、僕も「これだ!」という手ごたえを感じたんですよね。だからと言って表現の幅を狭めるのではなくて、いろんな形の楽曲も作れたのも自信になりました。

―アルバムの新曲についても聞かせてください。まずは「甜言蜜語」。会いたい、近づきたいという思いをストレートに解き放つラブソングです。



Ryuga:だいぶ苦労しましたね、この曲は。タイアップ(TikTokドラマ「恋は青春より青し」テーマソング)として書かせてもらった曲で、ドラマの内容に沿いながら作って。“キス禁止”の学校のなかで繰り広げられるストーリーなんですけど、普段は使わないような言葉もたくさん入っていて。書いてるとき、ちょっと恥ずかしかった(笑)。

MaRuRi:曲のタイトルもいいよね。

Ryuga:「甜言蜜語」(蜜のように甘い言葉。へつらい、誘惑するような言葉)という四文字熟語が上手くハマりましたね。こういう男女の掛け合いの曲も、ありそうでなかったし。

―男性、女性の目線の交わり方、韻の踏み方も印象的でした。

MaRuRi:Ryugaくん、気づいてもらえて良かったね!私、韻を踏んでることに気付かなかったんですよ(笑)。

Ryuga:気づいてよ(笑)。

―(笑)。「らしく。」は不安な現状を打破し、未来に向かって突き進む決意を描いたアッパーチューン。ここまで前向きな曲はかなりレアなのでは?

Ryuga:そうかも。「翼」「君と見たい景色」といった曲もありますが、ポジティブな曲にもちょっと苦手意識があったんですよ(笑)。



MaRuRi:「らしく。」は、いちばん最後にレコーディングした曲なんですけど、アルバムの中でもすごく好きですね。まるりとりゅうがには失恋ソングのイメージがあると思うんですが、私自身は性格的にも明るいし、前向きで。…… Ryugaくんはわからないですけど(笑)。

Ryuga:誰がネクラだよ(笑)。

MaRuRi:「らしく。」は、まさに自分らしく歌えた曲なんですよ。個人的なことなんですけど、今年に1月に扁桃腺の手術をして、思うように声が出せない、歌えない時期があって。「レコーディング、大丈夫かな?」と心配してたんですけど、「らしく。」を歌ったとき、ポーン!と気持ちよく声を出せたんです。歌詞の内容も自分に突き刺さったし、その気持ちを歌に乗せられたかなって。私と同じように、なかなか思うようにいかないこと、止まってしまっている人が聴いてくれたら、明るい気持ちになってもらえると思います。

Ryuga:「らしく。」の歌詞は、MaRuRiに向けて書いたといっても過言ではない……。

MaRuRi:絶対ウソ(笑)。

Ryuga:実際は「みんなの背中を押せる曲にしたい」と思って書いた曲なんです。 ご時世的にも、やりたいことが上手くいってない人も多いと思うんです。同世代だと「就活か、夢を追うか」で迷っている人もいて。そういう人の背中をちょっとでも押せたらなと。

―「どこにもないの」も素晴らしいと思います。こういうダンサブルなサウンドも新機軸なのかなと。



Ryuga:今の流行りを取り入れたところもあるし、確かにこれまでとは違ったアプローチだと思います。まるりとりゅうがの曲をあまり聴いてない人も、「これ、誰の曲?」と気になるようなサウンドにしたかったんですよね。バラード調かと思いきや、ディスコ、ボカロ系の要素もあって。歌詞は重めなんですけど、スッと聴ける曲じゃないかなと。

―別れた恋人のことが忘れられず、狂おしい思いから逃れられなくなるという歌詞ですからね……。

MaRuRi:そうなんですよね。感情を込めて歌うとリズムが遅くなるというか、もったりした感じになりがちなんですよ。私はサビの部分を歌っているんですけど、できるだけ爽やかに歌いたいなって。

Ryuga:リズムが大事だからね。

MaRuRi:そう。ビブラートを使わず、なるべく真っ直ぐに歌っていて。あとは高音で声を張るのではなくて、裏声を使って、スッと聴けるように意識しました。

―集大成であると同時に、この先の可能性も感じられるアルバムだと思います。

Ryuga:ありがとうございます。いろいろな曲が入っているので、アルバムをきっかけにして、自分たちの音楽を聴いてもらえる機会が増えたら嬉しいなと思いますし、やりたいこともどんどん増えていて。MaRuRiの声を活かせるバラードも作りたいし、オシャレに振り切った曲もやってみたくて。

MaRuRi:あ、いいね。

Ryuga:ジャンルを決めているわけではないので、もっといろいろなことにチャレンジできたらなって。

MaRuRi:みんなが歌える曲も作っていきたいですね。二人で活動を始めたときに「男子と女子で一緒に歌える曲があるといいよね」と話してたんですけど、私たちの曲って、歌うのが難しいみたいで。

Ryuga:「キーが高すぎて、声が出ない」って言われます(笑)。

MaRuRi:そうそう(笑)。みんなが歌いやすい曲を作ることにも挑戦したいですね。


〈まるりとりゅうが〉

2018年4月結成。デビュー曲「気まぐれな時雨」が各配信サイトで1位を獲得し、本格派の男女デュオとして一気に注目を集める。2019年には「レコチョク上半期サブスクランキング2019」の新人アーティストランキングで1位を獲得、秋にはZeppワンマンツアー(東阪名)を各地ソールドアウト。これまでに数々のドラマやアニメの主題歌に抜擢されるなど、同世代からの共感が広がる恋愛ソングが話題になっている。


森朋之
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