韓国、ノルウエーの大物アーティストも参加! 第14回KKBOX MUSIC AWARDS

韓国、ノルウエーの大物アーティストも参加! 第14回KKBOX MUSIC AWARDS
二階堂里美
二階堂里美

台湾発の音楽配信サービスKKBOXが主催する、アジア最大級の音楽アワード「KKBOX MUSIC AWARD」が1月 26 日、台北アリーナで開催されました。このアワードは、前年度KKBOXでの再生回数をもとに授与されるもの(台湾ほか日本、香港、シンガポール、タイで展開中)。14回目となる2019年は、2018年を代表する「年度風雲歌手」に選ばれた5組のアーティストをはじめ、全19組のアーティストが会場を沸かせました。


開始2時間前、台北アリーナの正面に着くと、そこにはすでに長い行列ができていました。行列の横には、ファングッズの露店も並んでいます。当日の気温は18度でそんなに寒くなかったのですが、冬空の台北の下、ライブを心待ちにする熱意が伝わってきました。

そして夜の7時、オンタイムでのスタート!
本アワードでもおなじみの名司会者Mickey Huang(黃子佼)に代わり、今年の司会は彼の妹弟子Lulu(黃路梓茵)が務めます。Luluの呼びかけで最初に登場したのは、「年度風雲歌手」受賞の実力派シンガーのJam Hsiao(蕭敬騰)。黒地に金糸の模様が入った華やかすぎるジャケットがこんなに似合うのは、きっと彼だけでしょう。軽やかなラブソング「讓我為你唱情歌」から始まり、「全是愛」「只能想念你」で一気に観客をJam Hsiaoワールドへ引き込む歌唱力はさすがです。「只能想念你」ではファルセットを存分に響かせた後、ささやくような歌声で締めたラストとの落差もたまりません。客席からは「Jam Hsiao愛してる!」というラブコールが上がりました。

続いては、日本から駆けつけた海外ゲストの乃木坂46。日本の女性ユニットとして、台北アリーナ初の単独ライブを翌日に控えての出場です。残念ながら白石麻衣と西野七瀬は不参加でしたが、齋藤飛鳥、秋元真夏、高山一実、松村沙友理らをはじめ20人のメンバーが「シンクロニシティ」「ジコチューで行こう!」を披露しました。花の刺繍を散らしたお揃いのグレーフレアーの裾が、踊るたびにふわふわ舞って彼女たちの可憐さを強調するかのよう。その後のMCで「皆さん、こんにちは。私たちは乃木坂46です」と中国語で挨拶すると、司会者Luluと客席からは日本語で「カワイイ~」と連呼の嵐が。乃木坂46はパフォーマンスに加えて、中国語でもがっちり観客の心をつかんだようです。

「創作精神賞」を受賞したラップシンガーのKumachan(熊仔)は、金曲獎のシングルプロデューサー賞にもノミネートされた曲「買榜」をJulia(吳卓源)とコラボ。なんと歌詞の中に「KKBOX」の言葉があって、まさに本アワードのためのような選曲です。続いて「大頭大頭」「夢中夢」「失真」のメドレーでは、エフェクトされた歌声とステージのバッグに移し出されたKumachan本人の電子映像がマッチ、重低音が効かせた伴奏とラップ、セクシーダンサーたちがクールに盛り上げました。

ブレイズ風のヘアスタイルで現れたゲストのErika(劉艾立)は、そのヒップホップ的な外見とは異なり、R&Bを効かせた独特な声質と幅広い音域で観客を魅了。2018年リリースのアルバムからタイトル曲「天鵝說」を聞かせてくれました。

2人目の「年度風雲歌手」はEric(周興哲)。デビュー4年目にしてドラマなどへの楽曲提供多数の才能ある若手シンガー・ソングライターです。EPをリリースしたばかりですが、今回はこれまでのアルバムから「你,好不好」「以後別做朋友」「至少我還記得」「如果雨之後」のベストメドレーを、繊細な歌声でしっとり歌い上げました。「今の気持ちはうまく言葉にできません。バックステージで待っている間もすごく緊張していました。KKBOXと皆さんに感謝します」と受賞の喜びも語りました。

元Magic Power(MP魔幻力量)のリードボーカル、TingTing(廷廷)ことXiao Bing Chih(蕭秉治)は、「ETtoday星光雲KKBOX唱作精神賞」を受賞。KKBOXには3年ぶりの出場です。1曲目はソロアルバム『凡人』の「我好想好想你」をピアノの弾き語りで聞かせます。彼自身の作詞作曲ですが、やわらかなメロディーラインと歌い方が、Magic Power時代と大きく印象が異なっていました。「パフォーマンスと創作は、自分にとって人生で一番大事なこと。アルバムを出して随分経つのに、まだKKBOXにランキングされていてとても嬉しい。皆さん、ありがとうございます」と受賞の喜びを語った上で、今年ライブがあることも明かしました。そしてMCを挟んだ後は、なんとMagic Powerの大ヒット曲「射手」のイントロが!! Magic Power時代の力強いボーカルは健在、この日はメンバーの代わりにダンサーとともに、お決まりの「弓を射る」ダンスを披露。全くスタイルが違う2曲で魅せてくれたXiao Bing Chihに、会場は大きな歓声に包まれました。

ゲストのCyndi Wang(王心凌)は、シックなダークブラウンのトレンチで登場。かつては「スイート教祖(甜心教主)」と呼ばれた彼女もはやアラフォー、この日はポップでダンサブルな曲は封印し、恋愛の葛藤をつづった新曲「大眠」をしっとり歌い上げました。

高い歌唱力で知られるオルタナディブシンガーのMaggie chiang(江美琪)は、黒のマキシとグレーに染め上げた髪型がクール。透き通った柔らかな歌声の「家珍」は、会場を癒しの雰囲気に包んでくれました。

The Last Day of Summer 831(八三夭)は、「致青春」など3曲のメドレーを熱唱。ボーカルの阿璞が会場を盛り上げ、しょっぱなから縦のりで飛ばします。香港のビッグスターSammi Cheng(鄭秀文)のヒット曲「眉飛色舞」をアレンジ・セッションした「眉飛色舞PLUS」では、客席の間にT字に延びたステージを縦横無尽にかけまわり、続く「一事無成的偉大」は
重低音を響かせ、ロックらしい反骨精神をアピールしました。

3人目の「年度風雲歌手」は香港のKaren Mok(莫文蔚)。フリルを幾重にも重ねたふわふわピンクのドレスで登場し、ミニスカートからスラリと延びた美脚を惜しげもなく披露。デビュー以来25年、ずっと第一線で活躍し続けてきた彼女ならではの可愛らしさと、マッチョダンサーを従えるのも様になる色っぽさで魅了します。「慢慢喜歡你」「絕」「如果沒有你」のメドレーで、バラードやポップスとさまざまな曲風で楽しませてくれた上、最後の高音では歌唱力もアピール。「こんなに歌がうまくて美しくてかわいくてセクシー、足もこんなにきれいな人がいるなんて」とのLuluがべた褒めに、「世界は不公平なものなのよ」と嫌味なく返すのもさすがでした。

今年はゲストとして登場したKKBOX常連のBii(畢書盡)。その麗しいルックスでアイドル人気も高い彼ですが、実は卓越した歌唱力と創作力を持つ実力派。個性的で厚みがある歌声で、「Nothing at all」「let’s drunk」を熱唱。両曲ともにラスト、高音シャウトの声量には圧巻です。

2018年度、再生回数トップの「體面」で初ランクイン、4人目の「年度風雲歌手」に選ばれたのはKelly(于文文)。台北アリーナは今回が初めてという彼女ですが、堂々本領発揮です。少しハスキーでメローな歌声で、新曲「奉陪」と2曲を披露。受賞の感想を聞かれると、台湾語で「嬉しい」と一言。カナダ育ちの彼女が、ローカル言語の台湾語を話すことは、台湾人を大いに驚かせ喜ばせたようで、拍手があがりました。

ノルウェーを中心に活動する、売れっ子音楽プロデューサーAlan Walkerは、彼自身のバンドを引き連れて「風雲大使」として登壇。楽器もすべて持ち込んだところ、重量オーバーで15万元もの罰金を払ったというエピソードが明かされました。世界的に大ヒットし22億回以上の再生数を誇る「Faded」と「Different World」をJulia(吳卓源)と、「The Spectre」をEric(周興哲)とのコラボで、会場は大いにヒートアップ。

「年度最佳新人」を受賞したのは、金曲獎でも台湾語アルバム賞と新人賞を受賞したEggPlantEgg(茄子蛋)。昨今の台湾語ロックブームを象徴するバンドである彼らは、
「浪流連」「浪子回頭」を披露。今年台湾人に最も愛された曲の一つといってもいいでしょう。少しかすれた味のある声で、台湾語ワールドに引き込みます。

そして、本アワードでずっと司会を務めてきたMickey Huang(黃子佼)は、今回アーティストとして登場。デビュー30年で、念願のファーストソロアルバム『Live&Life』をリリースした彼は、アルバムから「渴望」を披露。なんとこの曲、CHAGE and ASKAのASKAが作曲したというから驚きです。いつもは軽快なトークで場を盛り上げるMickeyですが、今日はモノトーンのファーでかっこよくキメて、意外にもスイートな歌声でシリアスに魅了をしました。

2018年度の「年度風雲歌手」R-chord(謝和弦)は、今年はゲスト登壇。「像水一樣」「備胎」では、客席に降りてファンと交流する姿が印象的でした。

そして、最後5組目の「年度風雲歌手」は韓国のSUPER JUNIOR! 中国語以外の曲を歌うアーティストとして初の受賞という快挙を成し遂げました。入れ替わりの激しい韓国アイドルの中で長年活躍しているアジアンスターだけあって、会場は今日一番の大歓声に包まれました。
「Black Suit」ではスーツさばきもキマっています。代表曲「SORRY,SORRY」では大合唱になり、会場が揺れているかのような盛り上がりぶり。最後の「BONAMANA(美人啊)」まで、キレキレのダンスには衰えなし。すべてダンサブルな曲なので、ウニョクやドンヘらの活躍が目立ちますが、ボーカル担当のイェソンやリョウクたちもシャウトで魅せます。一糸乱れぬ群舞、これぞパーフェクト・パフォーマンス。MCでは、メンバーで一番中国語の上手なシウォンが「意義のある賞をいただき皆さんに感謝します。台湾の皆さんとずっと一緒にいたいです」と中国語で流暢に語れば、ドンヘも負けじと「ライブが終わったら電話して。ご飯一緒に食べに行こう」とユーモアたっぷりに応戦。リップサービスまで完璧です。そして、間もなく迎える台湾の旧正月に向けて「恭喜發財(儲かりますように)」と、メンバー全員で縁起のいい中国語で締めました。

アワードのトリを務めたのは、デビュー20周年となるスペシャルゲストJolin Tsai(蔡依林)。長年台湾ポップスを牽引してきた彼女は、「惡之必要」「甜秘密」のほか新曲「怪美的」「腦公」を披露。ハードに踊っているのに、まるでMVのように動きも表情も乱れないのはさすがとしか言いようがありません。本邦初公開の振り付けという「甜秘密」「腦公」を含めて、SUPER JUNIORに勝るとも劣らないダンスパフォーマンスで、会場を熱狂の渦に巻き込み、3時間半のステージの幕を閉じました。

日本の楽曲も依然人気がありますが、ここ10年ほどは台湾にも韓流が席巻し、韓国のアーティスト人気は衰えを知りません。SUPER JUNIORの受賞と注目度の高さは、そんな台湾の状況を如実に反映した当然の結果といえるでしょう。一方、その直後に登場したJolin Tsaiは、ダンスと歌で観客をあっという間に引き寄せ、台湾の女性トップシンガーの名に恥じないステージを見せてくれました。常に新しいものに挑戦し続けてきた彼女だからこその存在感、貫禄さえ感じます。台湾音楽シーンはとにかく実力重視の傾向があるため、今回出場した他のアーティストたちももちろん粒ぞろい。いずれも聞き応えがあり、今後の活躍が期待されるステージでした。KKBOXアワードは、旬の曲やアーティストたちの新たな魅力や才能を発見できる、台湾にとって欠かすことのできない音楽の祭典。2019年は、どんな曲・アーティストが生まれるのか、今から一年後が楽しみです。

二階堂里美
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