Graham Coxonのギター機材庫:Blur香港ライブ裏レポート

Graham Coxonのギター機材庫:Blur香港ライブ裏レポート
海棻
海棻

今夜は筆者もずっと楽しみにしていた、BlurのKKBOX生中継ライブ。中継が実に快適に視聴できたことに加え、Graham Coxonのギターに深く感心したライブだった。ギターの音色・アレンジ、そして次々と武器を出すように登場するギターコレクションの数々...。ライブが終り中継画面にはもう何も映っていないというのに、その音の余韻はずっと耳元に残っている。 ライブのことを思い出すと眠れなくなってきた。音楽ライターでありミュージシャンである筆者は、一人の音楽機材ファンとして・そして一人のBlurファンとして、彼のギターと共にセットリストを振り返りたいと思う。グレアムのローディーになった気分で…。 さあ!みなさんも一緒にグレアムのローディーになった気持ちで、機材のリストからライブを振り返ってみましょう! Graham Coxonの機材リスト

1962 Gibson SG

一曲目は「Go Out」からスタート。グレアムはワインレッド色のSGギターを抱えて、 洗脳されそうな耳に残るリフを弾いてきた。 SGはGibsonが1960年代から生産するモデルで、本体のデザインとしては高い位置で演奏するのに適した形となっている。”SG” とはSolid Guitarの略称。また比較的軽量で、発売してからずっと大人気の高いモデルだ。 グレアムは過去のインタビューの中で、自分のSGギターに「Woodstock」という名前をつけたいと話したことがある。理由は「ウッドストック ・フェスティバル」の映像を観たとき、the WhoのPete Townshendのパフォーマンスに感銘し、SGギターの格好良さに惹かれたからだという。 演奏楽曲:《Go Out》、《My Terracotta Heart》

Gibson Les Paul Custom

Les Paulは音の滑らかさが特徴。スーパーギタリストSlashもLes Paulの愛用者として知られている。過去にグレアムがギター雑誌の取材を受けていた時に偶然Slashが同じスタジオにいたことがあり、グレアムはは取材記者に冗談でこう言った。「あぁ、Slashはきっと自分のことを下手くそなギタリストと思ってるだろうな。自分はいつも下手なギターソロをやっていたから...」そんな逸話も。 演奏楽曲:《There's No Other Way》

Fender Telecaster

3曲目の《Lonesome Street》では、グレアムはTelecasterを構えた。もしK-POPの特徴が激しい電子音だとしたら、ブリットポップの特徴はテレキャスの爽やかで透き通った音だと言えるだろう。Rolling StonesのKeith Richardsをはじめ、The PoliceのAndy Summers、RadioheadのJohnny Greenwood、みんなTelecasterの愛用者だ。 実はグレアムが初期に一番よく使っていたのはGibsonギターだったが、1991年のアルバム【Leisure】レコーディング時に、当時のプロデューサーから一本のTelecasterギターを渡されたことをきっかけにグレアムは完全にTelecasterに恋をし、愛用者となった。 演奏楽曲:《Lonesome Street》、《Badhead》、《Ghost Ship》、《Coffee & TV》、《Out of Time》、《Beetlebum》

Fender Jazzmaster

グレアムはTelecasterで数曲演奏した後、《Thought I Was a Spaceman》で、Jazzmasterにチェンジした。 元々Fenderから1959年発売されたこのモデルは、ジャズサウンドをターゲットにして作られたものだったが、当時のジャズミュージシャンたちにはそこまでうけなかった。一方で、サーフロックバンドとして誰もが知るThe Venturesのメンバーは、このギターモデルに愛してやまないミュージシャンとして有名だ。思いがけず、ジャズサウンドから一気にサーフサウンドで台頭することになったのがこのjazzmasterだ。 その後Sonic YouthのThurston MooreやLee RanaldoがJazzmasterの特徴的なノイズを彼ららしい魅力に変えて、Jazzmasterブームを創り出すこととなる。 演奏楽曲:《Thought I Was a Spaceman》、《Pyongyang》、《To the End》

1972 Fender Telecaster Deluxe

《Trimm Trabb》では、グレアムはまずMartinのアコースティックギターを使い、その後黒色のTelecaster Deluxeに持ち変えた。通常のTelecasterのシングルコイルピックアップと違い、Deluxeモデルはハムバッカーを装備している。ハムバッカーの方がシングルコイルより暖かく厚みのある音が出せることが特徴だ。 彼はここ数年、Telecaster Deluxeモデルをメインギターとして頻繁に使用している。 演奏楽曲:《Trimm Trabb》、《Tender》、《Trouble In The Message Centre》、《Parklife》、《Ong Ong》、《Stereotypes》、《Girls & Boys》

Fender Stratocaster

ドラムのデイヴがあの名曲の音を叩き出した瞬間、グレアムはストラトを構え、そして会場は一斉に「Woo Hoo!」を叫ぶ準備をした。イギリスの音楽マガジンNMEで、デイヴは「《Song 2》を演奏しないBlurは、音楽フェスに誘われない!」という文句を言ったばかりだったが、会場の観客がデーモンと一緒に「Woo Hoo!」を歌い出した時、その場は1997年の夏に遡ったような懐かしい雰囲気を漂よわせた。 話をStratocasterに戻す。1954年に発売したこのモデルは、ロック史の半分以上を占める重要なモデルだ。Buddy Holy、The Beatles、Eric ClaptonからJimi Hendrix 、Stevie Ray Vaughan、The Edge、そして筆者が大好きなJohn Frusciante…彼らは全員ストラトの大の愛用者である。 演奏楽曲:《Song 2》

Gibson ES-335

335モデルは柔軟な音色で知られているセミアコースティックギター。このモデルの一番有名な愛用者は亡きブルース界の巨匠B・B・キングである。彼が愛用している美しいLucilleギターはこの335モデルより作られたものだ。 演奏楽曲:《This Is a Low》、《The Universal》

追加紹介 :Alex JamesのFender Vintage 57 Precision Bass

ギターを一通り紹介したが、アレックスのベースにも触れておきたい。 グレアムの華があるふるまいに比べ、口にタバコを一本咥え、最初から最後まで7 P-Bassで演奏を行い切ったアレックス。まさに彼がライブで履いていたショートパンツと同じように、シンプルだが、インパクトは強かった。 Blurのギターグレアムが今回の香港ライブで使用した名ギターたちを紹介した。グレアムの音楽の才能に惹かれた貴方には、彼が2012年リリースしたソロ作品【A+E】をオススメしたい。自由気ままでスッキリした一枚、是非聴いて欲しい。

海棻
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