色気と憂鬱のカリスマたち - 柴那典の「素敵な三枚」
今回紹介するのは、アメリカのメインストリームを席巻するダークでメロウな新潮流。セクシーな色気と、どこか憂鬱を感じさせる深みのあるサウンドが魅力のアーティストたちです。
次世代のマイケル・ジャクソン 今年下半期最大の話題作。シングル「Can't Feel My Face」とアルバム『Beauty Behind The Madness』がアメリカで記録的な大ヒットを果たし、“次世代のマイケル・ジャクソン”として脚光を浴びているザ・ウィークエンド。本名エイベル・テスファイ、1990年2月生まれ、現在25歳のエチオピア人系カナダ人です。彼の歌の最大の持ち味は“セクシーさ”と“闇”が交差するところ。アルバムでも、色気と同時に悲哀や陰鬱のテイストがにじみでていてグッときます。特にエド・シーランをフィーチャーした「Dark Times」、ラナ・デル・レイをフィーチャーした「Prisoner」、そしてアルバムのラスト・トラック「Angel」という後半3曲の並びが最高です。
(YouTube :TheWeekndVEVO)
一夜の情事をスウィートに描く 全米R&Bチャート1位を獲得したミゲルのニューアルバム『Wildheart』。ザ・ウィークエンドやフランク・オーシャンと並んで、昨今のオルタナティブなR&Bシーンを支えてきたシンガーなのですが、まず聴いてほしいのは「Coffee」。歌詞は一夜のスウィートな情事を描いたもので、歌もビデオも超エロい。12曲目の「face the sun」ではレニー・クラヴィッツをフィーチャーしていたり、「Leaves」はスマッシング・パンプキンズの名曲「1979」のリフを用いていたりするので、90年代ロックファンにも聴いてみてほしい1枚。
(YouTube :MiguelVEVO)
果てのない悲しみ 2012年のメジャーデビューアルバム『Born to Die』が大ヒットしたラナ・デル・レイが、4枚目のアルバム『Honeymoon』をリリース。自らを“ギャングスタスタイルのナンシー・シナトラ”と名乗り、古き良きハリウッドの雰囲気と悲しみを描いた楽曲で大きく人気を得た彼女。新作は、より時代がかったムードと透明感ある歌声を堪能できる1枚。まるでスパイ映画のような「High By The Beach」のミュージックビデオも必見です。
(YouTube :LanaDelReyVEVO)