活字VS音楽! 読書の友となる音楽とは?

活字VS音楽! 読書の友となる音楽とは?
村上ひさし
村上ひさし
4月30日は図書館記念日。素敵な本と出会って、もう少しその世界に浸っていたかったり、読後感を楽しみたいことってありますよね。そんなとき、音楽を聴いて余韻を味わい、想像を膨らましてはどうでしょう? 人気小説の中に出てくる音楽や関連している音楽を紹介します!
素朴な文体がピアノ演奏のよう
「2016年本屋大賞」で大賞を受賞した『羊と鋼の森』はピアノの調教師が主人公。宮下奈都の優しい文体が、まるで音楽を聴いているみたい、と音楽ファンからも絶賛されています。小説の中に具体的な曲名はほとんど出てこないものの、その素朴な綴られ方は、エリック・サティの「ジムノペディ第1番」あたりに通じているのでは? 淡々と浸りたい人にオススメです。 
行間から聴こえるドビュッシー
一方、調教師ではなくピアニストが主人公の小説『さよならドビュッシー』は、「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作。中山七里による小説は映画やドラマ化もされているので、そちらで知っている人も多いのでは? 物語にも出てくるドビュッシーの「月の光」が、行間から聴こえてきそうです。
ミュージシャンがテーマの音楽小説
カズオ・イシグロの『夜想曲集』は、音楽家を主人公にした5つの短編集。若かりし頃は、彼もミュージシャンを目指していたとか。音楽への情熱と造詣の深さがうかがえます。ストーリー中にはいろんな楽曲が出てくるけれど、特に印象的なのがサラ・ヴォーンの「パリの4月」。クリフォード・ブラウンのトランペット入りのバージョンと、指定付きなのも音楽通ならでは。是非ともチェックを!
春樹を聴くならビートルズから
同じく音楽通の作家といえば、村上春樹。様々な彼の作品の背景に音楽が使われているけれど、やはり一番に取り上げておきたいのは『ノルウェイの森』 。ビートルズの「ノルウェーの森」が重要なテーマとなっているので、聴いた上で読めば世界も広がるはず。ただしビートルズの歌詞の方は「ノルウェイ産の木材」の誤訳だったようですが…。
小説とアーティストイメージが交差
逆に、小説にインスパイアされて音楽が誕生することもしばしば。ケイト・ブッシュのデビュー曲「嵐が丘」は、エミリー・ブロンテの同名小説がテーマ。神秘的でドラマチックなイメージが彼女にあるのは、やはりこの大河ドラマのような小説によるところも大きかったはず。今となっては、小説のことを考えるだけで、この曲が頭の中で鳴り始めてきます。
小説から音楽を経て、ぶっ飛び映像へ
ジェファーソン・エアプレインの「ホワイト・ラビット」といえば、60年代後半に米サンフランシスコを中心に起こったヒッピーカルチャーの象徴。サイケにぶっ飛んだビデオも、今なお強烈です。この曲がルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』をモチーフにしていたのは、よく知られるところ。ティム・バートン監督による続編『鏡の国のアリス』の映画版もまもなく公開です。 音楽と小説、意外と近しい関係にあるのかも。パソコンやスマホで簡単に音楽を探し出せるようになった今日この頃、せっかくだから好きな小説に関連した音楽を徹底的に掘るのも楽しいかもしれません。
村上ひさし
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