20周年を迎えたバンドはこう攻める

20周年を迎えたバンドはこう攻める
柴那典
柴那典
拙著『ヒットの崩壊』でも書いたことなのだけれど、ブームが次々と消費されていた90年代に比べて、今は10年、20年と長くキャリアを重ねるバンドが多くなっている。というわけで、今回は結成やデビューから20周年を迎えるバンドをピックアップ。アニバーサリーイヤーの活動としてはベスト盤のリリースやスペシャルライブ等でキャリアを総括するのが一般的だが、ここでは、節目の年にバンドがどう「攻める」かに焦点を当ててみた。
20年に一度のミラクルフェス――スガシカオ
出典元:(YouTube:Victor Entertainment) まずはデビュー20週年を迎えたスガシカオ。彼のアニバーサリーイヤーの目玉は「SUGA SHIKAO 20th Anniversary スガフェス!~20年に一度のミラクルフェス~」と銘打ったフェスの開催だ。 5月6日(土)、さいたまスーパーアリーナにてGWに開催されるロックフェス「VIVA LA ROCK」とのコラボ企画として行われるこのフェス。今のところ発表されているメンツは、ポルノグラフィティ、怒髪天、THE BACK HORN、山村隆太(flumpool)&高橋優、稲川淳二というバラバラなメンツ。そしてスガシカオ自身がボーカルをつとめ凄腕ミュージシャンが集うkōkuaがホストバンドをつとめてアーティスト達とセッションを繰り広げるという。 2016年にリリースしたアルバム『THE LAST』もかなりの意欲作だったが、何が起こるのかわからないワクワク感を仕込んでいるのがスガシカオのアニバーサリーイヤーだ。楽しみ。
前代未聞、フェスの交流戦――氣志團
出典元:(YouTube:avex) 結成20周年を迎えた氣志團。彼らのアニバーサリーイヤーも相当面白い。まずは1月8日、成人式の日にパシフィコ横浜でライブ「氣志團結成二十周年記念公演『成人式~YOKOHAMA二十才ごえ~』を開催。結成時の初代メンバーで「RUN★BAKURATEN★RUN」や新旧メンバー入り混じって「ゆかいななかまたち」を演奏するというサプライズを見せると、そのライブの最後に次なる動きを発表。それが前代未聞の“対戦型フェスイベント”の開催だ。 4月15日(土)、16日(日)に幕張メッセにて行われる「THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017」は、VAMPS主宰の「VAMPARK」、10-FEET主宰の「京都大作戦」と共に行われるフェスとフェスの交流戦。それぞれ「~氣志團万博 vs VAMPARK FEST~」(15日)、「~万博大作戦日本シリーズ~」と銘打って開催される。 現在、ももいろクローバーZ、グループ魂、RIP SLYMEなどそうそうたるメンツが氣志團サイドの出演者としてアナウンスされているが、イベントの全貌はいまだ不明。かなり面白いことになりそうだ。
初の小林武史プロデュース――ACIDMAN
出典元:(YouTube:UNIVERSAL MUSIC JAPAN) やはり結成20周年を迎えたACIDMANは、バンドキャリア初となるプロデューサーに小林武史を迎えた新曲「愛を両手に」をリリース。昨年にInterFM897開局イベント「897sessions」で披露したオリジナル曲「70」で共演するなど交流を深めていた小林武史と大木伸夫。その流れもあり、今回は必然的な結びつきとなった。 昨年に亡くなった祖母への思いを込めて書いたという大木伸夫個人にとっても大事な一曲が、小林武史のサウンドプロデュースによって壮大なバラードに仕上げられている。 2016年11月より今年6月にかけて、こちらもキャリア初の2マンツアーを行っている彼ら。さらにバンドは11月23日に故郷・埼玉県のさいたまスーパーアリーナにて、20周年を締めくくる主催イベント「SAITAMA ROCK FESTIVAL ""SAI""」を開催することを発表している。こちらも期待大だ。
20年目のメジャー再進出――BUGY CRAXONE
出典元:(YouTube:BUGY CRAXONE) 結成20周年を迎えたBUGY CRAXONEは、1月18日にベストアルバム『ミラクル』をテイチクエンタテインメント・インペリアルレコードからリリース。99年にビクターからデビューを果たして以来の、再びのメジャーデビューとなった。デビュー直後は決して大きなセールスに恵まれたわけではなかったが、バンドは03年に自主レーベル「ZubRockA RECORDS」を設立、07年からは怒髪天・増子直純が主宰する「Northern Blossom Records」に所属し着実にキャリアを積み重ねてきた。ヌケのいいサウンドとすずきゆきこ(Vo&G)の自然体のキャラクターが評価を集め、メジャー再進出となったわけだ。 「なめんなよ!」というシャウトから始まる「ブルーでイージー、そんでつよいよ」も、おおらかだけどエネルギッシュな、とても素敵な一曲になっている。 他にも、97年にデビューし今年でデビュー20周年を迎えるDragon Ashはスペシャルライブを2月21日に行い同日に新曲「Mix It Up」を配信。RIZEも結成20周年を迎えて古巣エピックに復帰し、アニメ『銀魂』EDテーマの新曲「SILVER」をリリースした。ちなみにDragon AshとRIZEは結びつきも深く、現在は惜しくも亡くなったDragon Ashの結成以来のメンバーIKÜZÖNEこと馬場育三の代わりに、RIZEのメンバーKenKenがサポートをつとめている。そしてPOLYSICSは20周年記念再録ベスト『Replay!』リリースと、それぞれのやり方でアニバーサリーイヤーの活動を行っている。GRAPEVINE、TRICERATOPSも、20周年記念ツアーを5月から行うことを発表している。 節目の年だからこそ、躍動感を持って活動するアーティスト達に注目したい。
柴那典
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