BUMP OF CHICKEN 後世に残したいこの5曲

BUMP OF CHICKEN 後世に残したいこの5曲
麦倉正樹
麦倉正樹

BUMP OF CHIKENの珠玉の名曲たちが、ついにKKBOXをはじめ各サブスクリプションサービスで配信される。1999年にインディーズで初のCD音源「FLAME VEIN」をリリースして以来、瞬く間にファンを増やし、スターダムにのし上がっていったBUMP OF CHICKEN。ここでは、そんな彼らが今日のような「国民的バンド」となるに至った足跡を、5つの楽曲を通して振り返ってみることにしたい。



「ランプ」

「すべてはここから始まった」と言っても過言ではないだろう、BUMP OF CHICKENが1999年にインディーズでリリースした1stシングル(現在は廃盤)の表題曲。当時、下北沢を中心に隆盛しつつあったギターロックの中で、メロディ、歌詞ともに、異彩を放っていたこの曲は、インディーズ音源を扱う各CDショップ店員たちはもちろん、音楽専門誌の編集者といった「速耳」たちのあいだで大きな反響を集め、その後の快進撃の道筋を用意した。自らの内面に潜む「情熱のランプ」に、今まさに火が灯されようとしているその歌詞は、その後の大躍進から振り返るに、何やら象徴的でもある。藤原基央のボーカルが打ち放つエモーションは、このときから何ひとつ変わっていない。


「K」

「ランプ」が話題となったことを受けて、1stアルバム「FLAME VEIN」が改めて注目を受ける中、満を持してリリースされた2ndアルバム「THE LIVING DEAD」。収録された全10曲すべてが名曲、しかもそのひとつひとつに物語がある、コンセプトアルバムとなった本作の中でも、とりわけ「K」は、古参から新参ファンまで、根強いファンを持つ一曲だ。街の人々から忌み嫌われていた黒猫と、孤独な若い絵描きの交流を描いた物語。疾走感溢れる楽曲にのせて、次第に盛り上がってゆくその物語の最後には、いまだに涙を禁じ得ない。いわゆるチャート的なヒットではなく、長い時間を掛けて多くの人々を魅了していった、BUMP OF CHICKEN初期の代表曲のひとつである。


「ラフ・メイカー」

2000年、アルバム「THE LIVING DEAD」のリリース後、レコード会社の争奪戦を経て、その年の9月にメジャーデビューを果たしたBUMP OF CHICKEN。その記念すべきデビューシングル「ダイヤモンド」のカップリングとして収録された「ラフ・メイカー」。悲しみに暮れた人に笑顔を届ける「ラフ・メイカー」という独創的なアイディアと、彼と主人公の泣き笑いの物語。楽曲そのものの魅力はもちろん、まるで短編小説のように完成されたその歌詞は、それまでBUMP OF CHICKENを聴いたことのない人々にも、大きな驚きと感動をもたらせた。オリジナルアルバムには未収録の一曲ではあったものの、約8年の時を経た2008年、カップリング集アルバム「present from you」にリマスター版が収録された。


「天体観測」

2001年にリリースされた、メジャー2枚目のシングルであり、もはや彼らの代名詞とも言える一曲。リリースの翌年には、この曲に着想を得たドラマ「天体観測」が放送され、その本編で「天体観測」をはじめBUMP OF CHICKENの曲が数多く使用されるなど、その音楽が多くの人々に届く大きなきっかけとなった。このドラマで彼らのことを知ったという人も、当時は非常に多かった。この曲をはじめ、宇宙に関連した楽曲を数多く生み出している彼らだが、ここで歌われている「見えないモノを見ようとして」、「知らないモノを知ろうとして」というのは、デビューから今日に至るまで、彼らが一貫して描き続けてきたテーマでもある。


「涙のふるさと」

「君に会いに来たんだよ」というサビのエモーショナルな歌声が、いまだに多くの人々の心を震わせている、2006年のBUMP OF CHICKEN通算11枚目のシングル「涙のふるさと」。それまで商業的なタイアップはいっさい行ってこなかった彼らが、制作サイドの熱烈なラブコールに応える形で生み出した、初のCMタイアップ曲でもある。さらに、このタイアップが縁となり、そのCMを制作した山崎貴監督がその後監督した映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の主題歌に、BUMP OF CHICKENの「花の名」を起用。映画も楽曲も、社会現象となるような大ヒットを記録するなど、それによってBUMP OF CHICKENはもはや完全に、世代を超えて愛される「国民的バンド」のひとつとなったのだった。


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