賛否両論で話題、中田ヤスタカ・ソロ作MVの真意とは

賛否両論で話題、中田ヤスタカ・ソロ作MVの真意とは
ふくりゅう
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中田ヤスタカの最新ソロ・プロジェクトに注目が集まっています。『FADER』など海外メディアでも紹介された、完全に海外志向のナンバーとしてリリースした「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」には、タイトルにもある通りきゃりーぱみゅぱみゅと、世界的ヒット曲を持つイギリスのCharli XCX(チャーリー・エックス・シー・エックス)がフィーチャリングされています。 Charli XCXを知らないリスナーもいるかもしれません。彼女は、すでにグラミー賞ノミネートにも名が挙がる世界的人気を誇るポップスターであり、アイコナ・ポップに提供した楽曲「I Love It」が世界中で大ヒットしたことは記憶に新しいです。日本でもEDMブームと共に流れまくったナンバーなので、耳にしたら聴き覚えあることでしょう。2,3年前、クラブでは1日に3,4回はこの曲が流れていたことを思い出します。 Icona Pop「I Love It (feat. Charli XCX)」
出典元:(YouTube:Icona Pop) Iggy Azalea「Fancy (Explicit) ft. Charli XCX」
出典元:(YouTube:iggyazaleamusicVEVO)
日本 VS 海外をテーマに文化論
そんな中、中田ヤスタカ新曲「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」のYouTubeのコメント欄に注目したいです。いわゆるプチ炎上しているのです。いや、炎上ではないですね。意外と冷静に日本 VS 海外をテーマに文化論が交わされているのです。解説していきますね。 Perfumeのミュージックビデオでもお馴染みの関和亮監督による映像は、体だけモデルが登場し、そこに最近流行中のフォト加工アプリSNOWのような、顔交換エフェクトをかけたかのように顔部分だけ登場の中田ヤスタカ、きゃりーぱみゅぱみゅ、そしてCharli XCXがあらわれます。 中田ヤスタカ「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」
出典元:(YouTube:Yasutaka Nakata Official)
フォト加工アプリSNOWのような顔交換エフェクト
この顔交換エフェクトの遊び心と、モデルのファッションが海外からの反応がよろしくないのです。理由のひとつとして、Charli XCXがセーラー服姿であること、きゃりーぱみゅぱみゅが胸を強調した水着やメイド服姿であること、中田ヤスタカが途中で寿司職人の出で立ちをしているなど、いわゆるステレオタイプなクールジャパン表現風が受け入れられなかったようです。 映像を制作した関和亮監督は、日本発、海外で人気なコンテンツを熟知したプロフェッショナルなクリエイターです。ステレオタイプさを“あえてふた回りした発想”で、皮肉めいたユーモア表現を取り入れ今回の映像へ至っていることは間違い無いでしょう。しかし、コメント欄では海外受けがよろしくありませんでした。いわゆる、批判的なコメントを書く方によるとフォト加工アプリSNOWのような、顔交換エフェクトがチープで気持ち悪く見えるらしく、とはいえ日本では最先端なポップ現象であるフォト加工アプリ。このキモかわいさという文化は、きゃりーぱみゅぱみゅの魅力の代名詞であるはずです。思わぬところで、日本と海外における感覚の受け止め方に差異を知ることとなりました。とはいえ、この賛否両論具合も関監督だったら敢えて狙っていたのかもしれません。 <引用:コメント欄での興味深かった反応のやりとり> ● 最近ずっとこれ聞いてます! ところでなんで外国の方はこのMVを好まないんだろう?? ■ 理由は色々ありますね。まずはグラビアっぽいシーン(特に~1:57のあたり)がキモいと思う人が多いらしいです。子供向け(?)のきゃりーのイメージと似合わなくて少し気持ち悪い。本人の顔を別人の体に付いたから「え?チャーリーが日本に行きたくなかったの?なんでちゃんとしたPV作れなかった?」って思われちゃいそう。本人が出ないから姑息な感じがします。そして「日本=寿司・セーラー服・メイド」というステレオタイプの問題があるんですね。こんなグローバルなコラボでそういう既成概念を壊してみたほうが良いと思います。まぁ、個人的には嫌いじゃない。イギリス人ですので周りの人の感想を伝えてみたかった、それだけ(汗) ● 納得です、特に寿司、メイド、セーラー服はベタ過ぎますよね(笑)既視感が凄いです… ご丁寧にありがとうございます ▲ え、イギリスの方?!日本語うますぎ……(°_°)
Charli XCX、キモかわいさからの影響
なるほどなご意見。とはいえ、実はCharli XCXは、きゃりーぱみゅぱみゅの熱心なファンであり、キモかわいさに影響を受けているというのも面白いポイントです。参考までに、サウンド的には1980年代前半に活躍したイギリスのニュー・ ウェイヴバンドバウ・ワウ・ワウの影響を感じる、こちらのキモかわいいミュージックビデオ「Famous」をご覧ください。 Charli XCX「Famous」
出典元:(YouTube:officialcharlixcx) スマホが手放せないキッズを皮肉って、ゾンビ映画と掛け合わせたまさにキモかわいい世界観。ある意味「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」にも通じるポップセンスを感じられるでしょうか? もしかしたら、近い将来ケイティ・ペリーやテイラー・スウィフトになるかもしれない、きゃりーぱみゅぱみゅに影響を受けているCharli XCXというポップスターの魅力。そこに目をつけた中田ヤスタカの先見の明。そして生まれたコラボレーション曲「Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」。今回のリリースによって、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデューサーとして海外でも知られる中田ヤスタカは、ソロアーティストとして海外進出の一歩を踏み出しました。引き続き、どんな海外シンガーとコラボしていくか、注目したいです。
YouTubeのコメント欄の楽しみ方
以上、いまどきのポップカルチャー事件は、YouTubeのコメント欄で真っ先に起こっていることが多いのです。ぜひ、コメント欄に注目してみると、批評的なやりとりが現場の最新情報として楽しめます。もちろん、時には目も当てられないような意見もありますが、それもまた多様性ある反応として受け止めてみると新しい光景が見えることでしょう。 この夏、Charli XCXは夏フェス『SUMMER SONIC 2017』で来日もします。日本的ポップセンスを持つ海外アーティストの存在。ぜひ、チェックしてみてください。最後に、Charli XCXで一番大好きな日本向けなポップナンバーを紹介します。新宿歌舞伎町でロケされているナンバーですね。見覚えのある風景がある方も多いのでは?  Charli XCX「SuperLove」
出典元:(YouTube:officialcharlixcx)
ふくりゅう
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