ミレニアル世代に伝えたい「バブル全盛期」の音楽シーン

ミレニアル世代に伝えたい「バブル全盛期」の音楽シーン
KKBOX編集室
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2016年に平野ノラが弁当箱サイズの初期型携帯電話を持ってブレイク、翌年17年8月の日本高校ダンス部選手権で大阪・登美丘高校ダンス部のバブリーダンスが準優勝、年末の紅白では郷ひろみとコラボ。そして当時のディスコ「マハラジャ」「ジュリアナ東京」「キング&クイーン」などをテーマにしたイベントが大盛況、と1980年代後半バブル期のファッション、ダンス、音楽が話題となっています。「バブルを象徴する曲ってダンシング・ヒーローのほかには何があるの?」という世代のために当時流行していた音楽を紹介します。

まずはこの動画を見てみてください。

バブリーダンス 登美丘高校ダンス部 Tomioka Dance Club

(出典元:アカネキカク)

「ファッション」「メイク」「ダンス」がトータルに揃ってこそ、「バブル」のイメージを膨らませることができます。

1980年代後半と洋楽シーン


ウィキペディアの「バブル時代」を読むとその期間は、「1986年12月から1991年2月までのバブル景気の時期」となっています。
音楽シーンにおける「80年代」「80's」を象徴するアーティストや曲はほとんど80年代後半のものです。
83年頃まで全世界的にポップスはミュージシャン(人間)によって演奏されたものがほとんどだったのですが、80年代半ばに安価で買えるデジタルシンセやサンプリングマシン、そしてMIDIという規格(インターフェイス)が登場することによって、高度な技術を持っていなくても誰でも簡単にコンピュータ(機械)で音楽が作れるようになりました。80年代初頭にイギリス、ドイツやイタリアなどのヨーロッパの音楽シーンに登場した、ハイエナジーと言われるシンセ系ダンスミュージックが80年代後半から日本では「ユーロビート」と呼ばれ始めます。

(出典元:DeadOrAliveVEVO)


(出典元:London Recordings)


(出典元:RickAstleyVEVO)

デッド・オア・アライヴ(1985)、バナナラマ(1986)、リック・アストリー(1987)とリリース。シンセサウンドは次第にどれも似通ったものになり、ポップスシーンでは80年代後半を象徴するものとなっていきます。80年代初頭には、クラフトワークやYMO(イエローマジックオーケストラ)などのテクノグループによりシンセサウンドが登場しますが、半ばになると歌手のバックを機械が演奏するようになってきて、ロックバンドも部分的にプログラミングされたシンセと演奏を組み合わせるようになります。

70年代にはすべてアナログで制作されていた音楽は、80年代に入り楽器や録音などあらゆる面においてデジタル化されていくのですが、初期にはその処理能力が低いためシンプルな使われからスタートしました。

日本歌謡界へのユーロビートの影響




荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」のリリースは1985年。結構早いタイミングで海外のヒットサウンドを取り入れています。




トレンディドラマ『男女7人夏物語』の主題歌として大ヒットした石井明美「CHA-CHA-CHA」はその翌年の1986年。

(出典元:PolystarTube)

その3年後になりますが、2人組アイドルユニットのWINKが大ブレイク。まさにバブルど真ん中の時期です。
このユーロビート的なサウンドは音楽ファンよりも広い層に人気がありました。どちらかというとヤンキー的な、窓を開けたクルマでガンガンにユーロを聴く的なスタイルがあったり、「パラパラ」の第一次ブームがディスコや原宿などの歩行者天国で始まりました。

「ダンシング・ヒーロー」リバイバルヒットの流れ


(出典元:Victor Entertainment)

先ほど紹介した「ダンシング・ヒーロー」のオリジナル・リリースは1986年。そしてその28年後の2014年7月に[New Dance Ver.]として動画が公開されています。音楽番組でこの曲を歌った直後に大きな反響があり、配信ランキングで1位を獲得。デビュー30周年イヤーでもあったことから、この曲が再びヒットする流れが始まります。この頃には平野ノラはバブルネタを始めていたものの、世の中に知られる存在になるには2年ほどかかります。
荻野目洋子⇒平野ノラ⇒登美丘高校ダンス部の3者が、この曲に再び陽の目を浴びさせてのリバイバルヒットです。

どうして今さらこの曲に大きな反響があったのかは予想もつきませんが、それに反応してスピーディにMVを制作しYouTubeにアップした本人とスタッフの柔軟な対応は素晴らしいです。

バブルと共に衰退したユーロビート


80年代半ば、MTVがスタートしたことによりヒット曲はMVと共に知ることになりました。
洋楽ではマイケル・ジャクソン、マドンナ、プリンス、ホイットニー・ヒューストンなどのアメリカ勢と共に、ワム解散後のジョージ・マイケル、デュラン・デュラン、スティング、シャーデーなどのUKアーティストも人気が高くバラエティに富んだ頃。

バブル時代、当時音楽ファンが聴いていたものもいろいろあるのに、なぜ「バブル」と「ユーロビート」はイメージが結びつくのか?をいろいろ考えてみると、両者ともその熱気が再び盛り上がることはないんだろうな...という儚さからなのかもしれません。

最近では仮想通貨でバブル気味の人がどこかにいるのかもしれませんが、いずれ大きなリバウンドが来るので、せめて音楽だけでもバブル期のリバイバルがあってもいいですね!


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