デュラン・デュランが80年代とテン年代をつなぐ

デュラン・デュランが80年代とテン年代をつなぐ
西廣智一
西廣智一

デュラン・デュランのニューアルバム『ペイパー・ゴッズ』が、米・Billboard最新アルバムチャート10位にランクインという快挙を成し遂げた。彼らのチャートTOP10入りは、1993年発売の7thアルバム『デュラン・デュラン(ザ・ウェディング・アルバム)』以来、実に22年ぶり。早い段階から豪華ゲスト名やリードトラックを公開するなどの施策で盛り上げてきたのもヒットの要因かもしれないが、やはり楽曲の親しみやすさが一番大きかったのではないだろうか。

(YouTube : Duran Duran) デュラン・デュランといえば80年代を代表するアーティストという印象が強い。事実、大ブレイクを果たした2ndアルバム『リオ』から4thアルバム『ノトーリアス』あたりに見られる、ニューウェーブ以降の冷たさを伴うエレクトロテイストのポップミュージックに白人が演奏するいびつなファンク/ソウルミュージックを掛け合わせた音楽は、独特な軽薄さを伴いつつも時代を象徴する流行歌として愛された。その後も時代の流行を取り入れつつ進化を続けてきたが、時にそれが時代とマッチし、時にうまくかみ合わずにスルーされることも。ティンバランドをプロデューサーに迎えつつもヒットを逃した2007年のアルバム『レッド・カーペット・マサカー~美しき深紅~』なんて、その最たる作品だろう。 しかし、80年代に数々のヒット曲でタッグを組んだシックのナイル・ロジャース、そして前作『オール・ユー・ニード・イズ・ナウ』からの盟友である“時の人”マーク・ロンソンをプロデューサーに迎えつつ、リンジー・ローハンや元レッチリのジョン・フルシアンテなどがゲスト参加した『ペイパー・ゴッズ』は、EDM等のダンスミュージックが流行する現代にマッチした。いや、しているかどうかは正直疑問なのだが、少なくとも興味深く受け取られているからこそヒットしたのだろう。 そういえば、今夏大ヒットした映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の世界観に、デュラン・デュランの大ヒット曲「The Wild Boys」のMVを重ね合わせたアラフォー世代も少なくないと聞く。あの時代に青春を謳歌した世代が家庭を持ち、今こういった映画や音楽を一緒に楽しむ時代にきているのかもしれない……だとしたら、未来はもっと面白いことになりそうだ。デュラン・デュランの新作や名曲の数々をKKBOXでチェックしつつ、そんな淡い期待をしてみるのも面白いだろう。

(YouTube :emimusic)

西廣智一
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