BUCK-TICK〜結成30年を超え、いまなお進化する日本最高峰のバンドに迫る

BUCK-TICK〜結成30年を超え、いまなお進化する日本最高峰のバンドに迫る
ジョー横溝
ジョー横溝

BUCK-TICKの新作『獣たちの夜/RONDO』、そしてこれまでのBUCK-TICKの音楽作品すべてが、KKBOXでも楽しめるようになった。今回はその歴史を追いながら、彼らの代表曲を紹介しようと思う。


出典元:YouTube(BUCK-TICK)

改めて紹介すると、BUCK-TICKは昨年結成30周年を迎えたロックバンドで、結成以来メンバーチェンジを一度もしていない。メンバーは櫻井敦司(Vo)、今井寿(Gt)、星野英彦(Gt)、樋口豊(B)ヤガミトール(Dr)の5人。BOØWYを輩出した群馬県で1985年に結成されている。いわゆるビジュアル系に分類されているが、そのサウンドはメインコンポーザーの今井寿の音楽性を反映し、常に最先端の洋楽と張り合うもので音楽業界内にもBUCK-TICKをリスペクトする者が多い。


ビートロック時代

歴史を追いながら、先ずは1988年のメジャーデビューシングル「JUST ONE MORE KISS」から紹介しよう。ちなみにBUCK-TICKの初期は、大雑把に3段階に分けることが出来ると思う。初期の第1段階が“ビートロック時代”で、その代表曲が「JUST ONE MORE KISS」。BUCK-TICKというと、ドラムのヤガミトールが今でも髪を立てているのに象徴される通り、見た目のインパクトが大きなバンドだが、実はこの曲はテレビCMで使用され、本人たちもCMに出演、お茶の間で大きな話題を呼んだ。

それがきっかけで『ザ・ベストテン』の“今週のスポットライト”のコーナーへの出演を果たした。この出演で、その存在は決定的なものになる。これは商業路線を取っていないバンドとしては初と言ってもいい快挙だった。「JUST ONE MORE KISS」は群馬の先輩・BOØWYサウンドの後継とも言えるビートロックだが、意外とポップで聴きやすい。


ゴシックロック時代

初期の第2段階が“ゴシック・ロック時代”で、その代表曲が「悪の華」だ。1990年に発売されたアルバム『悪の華』のタイトルチューンだが、このアルバムは今井寿のLSD使用による問題で活動休止をしていたBUCK-TICKの復帰作だ。復帰作で「悪の華」とういうタイトルの作品をリリースするあたりが、さすがBUCK-TICK!と拍手を送りたくなる。作品の構想はボードレールの「悪の華」からの着想だと想像されるし、MVの世界観やメンバー全員が真っ黒の衣装を着るあたりは、英国ゴシックロックバンド・バウハウスの影響だと思われる。

この黒ファッションが、後の黒づくめのビジュアル系ファッションの始まりとも言われている。つまり、BUCK-TICKは常に世界のアート表現にその視線を注ぎ、自分たちの世界観とマッチする表現手段を自分たちなりに咀嚼してアウトプットしていたと言える。「悪の華」はBUCK-TICKの代表曲であると同時に、日本ロック史に残る楽曲だと言っても過言ではない。


デジタルロック時代

初期の第3段階が“デジタルロック時代”で、その代表曲が1991年の「スピード」だろう。デジタルロックは大雑把に言えばコンピューター・テクノロジーとロックの融合だが、故郷の先輩である布袋寅泰がデジタルロック的なアプローチ作品『GUITARHYTHM』をリリースしたのが1988年。その先輩の作品に挑戦するかのようなアティチュードも含め、BUCK-TICKの才能、哲学が爆発している。


自主レーベル「Lingua Sounda」を設立した中期

さて、バンドの中期。BUCK-TICKは1996年に事務所から独立し、自らの事務所を設立すると同時にレーベルも移籍した。ここから2011年に自主レーベル「Lingua Sounda」を立ち上げるまでの約15年を中期と見るのが妥当だと思う。この中期のサウンドの特徴はエレクトロな要素を持ったポップだ。また、歌詞も比較的LOVE&PEACEなものが多いように感じる。その代表的な曲が2002年のシングル曲「極東より愛を込めて」。ライブでも定番であるこの曲の懐の広さが、中期のBUCK-TICKの特徴を表しているのではないか。

後期は自主レーベル「Lingua Sounda」を立ちあげた2011年以降と考えている。自主レーベルを立ち上げたということは、裏を返せば「やりたいことがハッキリし、そのやりたいことをやる」 ことの意思表示だ。そしてまさに後期のアルバムはやりたいこと、伝えたいことがハッキリとしているコンセプトアルバムが多く、シングルはアルバムコンセプトの看板的な存在の曲が多い。


現在進行系のBUCK-TICK

そんな中、ここ最近の注目曲として2014年のシングル「Love Parade」を挙げておきたい。最近のアルバムは、毎回ディープなコンセプトを掲げ、見事なまでにそれを音楽作品へと昇華しているが、“PARADE”という言葉自体が30年以上のキャリアを誇るBUCK-TICKというバンドそのものを表現しているように思うからだ(実際、30周年記念ライブのタイトルなどにも“PARADE”という言葉が使用されている)。

そして2019年5月22日にはダブルリードトラックシングル『獣たちの夜/RONDO』をリリース。「RONDO」はアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌である上に、鬼太郎と異色の描き下ろしコラボレーションしたグッズが、千葉・幕張メッセで行われるBUCK-TICKのライブ「ロクス・ソルスの獣たち」(2019年5月25日&26日)の会場で販売されることが決定。さらに新しきものを取り入れ、前に進むBUCK-TICKはいまなおロック・フィールドのトップランナーとして走り続けている。


では、“BUCK-TICKというバンドそのもの”とは?

答えは当然音楽の中にある。是非、時代を辿りながらBUCK-TICKというバンドを音源で体感して欲しい。そして、PARADEはまだまだ続く。これからのBUCK-TICKに注目だ!!!


ジョー横溝
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