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とろい

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とろい香りには 柔い君が咲いて
それから僕のね 胸に空が咲いて
とろい香りには 笑顔の君がいて
そっと息を嘆いた

交差点沿いの 部屋の隅の
進む秒針に 時を委ねたら
君の重力を 海に埋めて
ただ後悔を知るだけ
春風のなかで吹いた 口笛は綺麗で
君の横顔が頭に揺らいで
張り詰めた記憶なんて
笑顔でいっぱいだから
君の香りを滴るだけ
とろい香りには 柔い君が咲いて
それから僕のね 胸に空が咲いて
望みばかりでは 届かない君がいて
そっと今を憎んだ

キリがないけれど 部屋の隅で
ほころびの数を 数えるばかりで
風がもう逃げる 追いかけはしない
ただ君を待つ時期だな
貫いた春の声は さえずりに似ていて
僕への笑みすら 海に沈んで
張り詰めた記憶ぎゅっと 抱きしめてたい
今は 過去の匂いが滴るだけ
とろい香りには 柔い君が咲いて
戻れない記憶に 向かう君を抱いて
想いだよりでは 掴めない君がいて
そっと強く縛った
美しい陽が君を照らして
赤らんだ頬が僕を照らすの
張り裂ける日の狭間で僕は
そっと君を掴んで
とろい香りには 柔い君が咲いて
戻れない記憶に 飛び込むから待ってて
とろい香りには 笑顔の君がいて
そっと今を憎んだ
そっと強く縛った
そっと息を嘆いた