遠ざかっていく あなたの背を
がらんどうの瞳に 焼き付けていた
玉手箱(おみやげ)には 呪いをかけたの
馬鹿じゃないなら 開けないでね
ー
何故、今更……
とっくに終わったつもりでいた
何故?こんなに胸が痛むのは……
誰のせいだ?
分かり合えない価値観とか
許し合えない性格とか もう、こりごり
……と思っていたはずなのに
大嫌いなあなたの声が
何故、歌う潮騒のように鳴り響く
後悔なんてしてないと、
顔を上げてみれば
あなたはとうに、いつも通り笑って
手を振った さよなら……
ああ、私は笑えているかな
ー
出会ってすぐに 気づいていた
君と僕が 違いすぎること
小さな膿は じくり痛み出し
目も当てられぬほどの 傷となって疼いた
いつからだろう 次第に遅くなる鼓動
僕は自分自身(ぼく)が わからなくなって
逃げてしまった
君にとっての一瞬が
僕にとっては永遠のように
歩み寄ればすれ違って 混ざらない
大好きだった君の笑顔が
ふと、作り笑いに見えたら 切なくて
無理して、合わせてくれなくていいと叫ぶ
疲れていく
互いのことを 思いやる余裕も失くした
そんな二人じゃ、ダメなんだ
ー
くだらない理由で喧嘩しては
謝りもせず距離置いて
「いつか、折れてくるだろう」
期待しすぎて傷つけ合うなら
別れるのが 僕のためなんだ
忘れるのが 君のためなんだ
割り切れた 思えていたのに
何故、こんなにも虚しい
ー
大好きだよ 離れ離れになって
隠しきれなかった本音が 溢れ出し
後悔の涙が海に解けていく
馬鹿な僕を 君の呪い(おもい)を
抱きしめるように開けた
来世では 素直になれますように……
何もかもを 洗い流すように
立ち上った煙が時を押し流し
僕の身体が老い朽ち果てた跡に
浜辺を飛ぶ 一羽の鶴、
千年の時を超え 踊るように
亀を探し飛び立った