語られぬまま
忘れられていく兵ども
恐れを知らぬ「我」こそは
高らかに名乗りをあげろ
ー
ぬばたまの夜が誘い出す
戦場に舞う雷神の御子
「比類無き力、持て余すな」と
内なる修羅が目覚める
切り裂くほどに乾く喉は
修羅のように 赤き血を求め
「満たされぬ……」と嘆く片月は
闇夜に踊る
ー
暗い井戸の底
浮かんだ月が静かに問う
「乾き」が満ちるその時が
いつの日か訪れるだろうか
目の前の敵を撃ち続け
戦場にしか居場所はない
屠り合うために生み落とされた
憐れな修羅が嘲笑う
沸き立つほどに滾る衝動は
修羅のように 暴れ狂い裂き
「許されぬ……」と嘆く片月は
闇夜に沈む
ー
抗うほどに目覚めてゆく
修羅の血が 僕を飲み込んで
「止められぬ……」と嘆く良心(かたつき)を
眠りに誘う
ー
切り裂くほどに乾く喉は
修羅のように 「命賭け」を求め
今宵もまた 満たされぬ狂心が
暴れ出す
沸き立つほどに滾る衝動は
修羅のように 鮮やかに踊り
「許されぬ……」と嘆く片月を
闇夜に堕とす