LiSA -「LEO-NiNE」を10倍楽しむアルバム全曲解説

LiSA -「LEO-NiNE」を10倍楽しむアルバム全曲解説
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逆井マリ

2020-10-15

テレビアニメ『鬼滅の刃』の主題歌「紅蓮華」が異例のチャートアクションを記録。さらに、昨年末の「紅白歌合戦」出場も果たすなど、アニソンシーンの枠を超え、“ロックヒロイン”として稀有な輝きを放ち続けるLiSA。10月14日(水)にニューシングル&アルバムを同時発売する。


出典元:YouTube(LiSA Official YouTube)


来年のデビュー10周年を前にして、とんでもない傑作の誕生である。シングル「炎」は、10月16日から公開される『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』主題歌。アルバム『LEO-NiNE』は約3年半ぶり、5枚目となるオリジナルフルアルバムで、「紅蓮華」をはじめ、『ソードアート・オンライン』シリーズの主題歌「ADAMAS」「unlasting」など13曲を収録。そのうち10曲がタイアップ曲という事実に今の勢いが表れているが、それぞれの作品や人に寄り添って作られた曲も、アルバムならではの特別な物語がある。燃え盛る炎のように、強くてたくましいライオンのように。一つのジャンルに留まらないバラエティに富んだ音で、雄々しくも、それだけではない豊かな歌声を堪能してほしい。今回の記事では、1曲ずつ全曲レビューしていく。


アルバム『LEO-NiNE』全曲解説

01:play the world! feat.PABLO

出典元:YouTube(LiSA Official YouTube)


「みんなに座って見てもらって、聴いてもらって。クサいこと言っていい? みんなの愛情を感じています」と照れくさそうに笑顔を覗かせた、2018年のアコースティックライブを思い出す。LiSAッ子たちの大きな愛情に包まれ9年目。LiSAがまた進化した。

<愛し抜くと決めたよ そして愛される覚悟も決めたんだ>と力強く歌うオープニングは、Pay money To my Painの PABLO a.k.a. WTF!?をフィーチャリングアーティストに迎えた本作のリードであり、「自分らしく世界を遊び尽くす宣言」をする曲。ハンズクラップ&ストンプによる原始的なリズムの躍動に、「紅蓮華」で入ってきたリスナーは(良い意味で)度肝を抜くかもしれない。そうした曲をあえてリード/オープニングに持ってきたこと、言葉の一つひとつから、ライオンのように気高くしなやかに突き進むLiSAの“今”を感じる。個人的な白眉は<嫌味って何味? 知らなくてもいいや 関係ないし 噛み砕いて飲み干せば ah ほら歌になる>というDメロ。

なお、本曲はeスポーツ国内大会「レインボーシックス Japan Championship 2020」の大会公式ソングに選ばれている。


02: 紅蓮華


出典元:YouTube(LiSA Official YouTube)


<強くなれる理由を知った 僕を連れて進め>──耳にしない日はないといっても過言ではないだろう、テレビアニメ『鬼滅の刃』の主題歌。8月には女性アーティスト作品として初となる累積DL数100万DL、史上7作目のストリーミングランキング再生数1億回突破と、あらゆる偉業を成し遂げてきた。そもそも「紅蓮華」とは“紅蓮地獄”という、紅色の蓮花が咲いたように血が噴き出す地獄を表現した言葉。もちろん作品に寄り添っているが、LiSA自身のことを嘘偽りなく歌った曲でもある。あのキラーフレーズは「綺麗に咲き誇るのではなくて“ボロボロでも咲いてやる”」というLiSAの信念があったから生まれたものだ。この曲が序盤に入っていることにも、強い意味を感じる。


03: 晴レ舞台



パラスポーツをもっと身近にもっと楽しく知ってもらうアニメ「アニ×パラ〜あなたのヒーローは誰ですか〜」テーマソング。今でこそロックヒロインとして独自の存在感を放ち、晴レ舞台である「NHK紅白歌合戦」にも出場を果たしたLiSAだが、様々なインタビューで明かしている通り、決して順風満帆な音楽人生だったわけではない。そんな葛藤を越えてきた彼女ならではの優しく温かいミディアムテンポの応援ソング。聴けば聴くほど染みる曲で、ライブで聴いたら泣いてしまいそうだ。


04:マコトシヤカ


出典元:YouTube(LiSA Official YouTube)


プロ野球チーム「中日ドラゴンズ」CBC テレビ・ラジオ野球中継テーマソング。岐阜県出身のLiSAにとってドラゴンズは身近な存在だったそう。<ガンバレいけそうじゃん! まだやれそうじゃん 進み続けようぜ>とストレートに歌う、明るくキャッチーな応援歌。
ビックな応援団長の登場にドアラは嬉々としてバク転したはず。ちなみに、配信用のジャケットにはまさかの LiSA の写真ではなくドアラのみ(笑)。


05: cancellation



イントロから音圧満点。アルバムの中でも飛びぬけて“カッコいい”、闘志むき出しのラウドなナンバー。<ゴング><リング><パンチ>など、孤高のボクサーを彷彿させる言葉が並んでいて、食いしばって闘い続けている人はグッとくるはずだ。おそらく、今のLiSAのマインドでもある<光るほうへ 進むだけ>という最後の言葉が美しい光を放っている。3~5曲目に顕著だが、アスリートとの親和性が高い楽曲を届けられるのは、ストイックに己と対峙してきたLiSAだからこそ。


06:愛錠


出典元:YouTube(LiSA Official YouTube)


東海テレビ・フジテレビ系全国ネット “オトナの土ドラ”シリーズ第 28 弾「13(サーティーン)」の主題歌。LiSA の初となるドラマのタイアップ楽曲で、読み方は「あいじょう」。物語で展開される「錠」のように絡み合う「愛」を表現している。LiSAの良きパートナー・草野華余子が手掛けたムーディなナンバー「DOCTOR」にも通じる“女性の情念”を描いたダークバラードである。


07:赤い罠(who loves it?)


出典元:YouTube(LiSA Official YouTube)


2018年12月にリリースしたLiSAの両A面シングル「赤い罠(who loves it?) / ADAMAS」収録のTBS「CDTV」オープニング主題歌。田淵智也、堀江晶太の鬼才二人による変態的な曲調(最高の誉め言葉です)、激情的な熱さがなんともクセになる曲。6~8曲目に顕著な刺激的でアダルティな世界観も、実はLiSAの真骨頂。堪能してほしい。


08:わがままケット・シー



そうしたアダルティな表現の、新しい可能性の扉を開いたのが「わがままケット・シー」。ナチュラルで、それでいて妖艶なLiSAの声が心地いい。「横浜アリーナのライブを金井さんが見に来てくれて、こういう楽曲が必要だって提供してくれた」曲だそう。ライブでは「DOCTOR」のブロックに入るはず……?


09:unlasting


出典元:YouTube(THE FIRST TAKE)


テレビアニメ『ソードアート・オンラインアリシゼーション War of Underworld』のエンディングテーマ。このアルバムの流れで、親友(ユージオ)を失った悲しみを歌ったバラードの「unlasting」は切なすぎる……。シングルやアニメの時とはまた違う響きを持っているのは、この位置に入っているからこそ。


10:ADAMAS


出典元:YouTube(LiSA Official YouTube)


2018年12月にリリースしたLiSAの両A面シングルの1曲であり、テレビアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のオープニングテーマ。「unlasting」よりも前にリリースされた作品だが、アルバムでは順序が逆に収録されていることで、「ADAMAS」の切実な希望が、トンネルから抜けたかのような光を放つ。


11:1 センチ



“1センチ”のもどかしさを歌った、1分半のロックンロールナンバー。肩の力を抜いたような軽妙さは、盟友・堀江晶太とのタッグということも大きいだろう。<なんでー!?>のくだりは、ライブでのコールアンドレスポンスの情景がリアルに思い浮かびつい笑顔になってしまう。


12:ハウル


出典元:YouTube(LiSA Official YouTube)


広大な景色が広がる、昨年12月にリリースしたシングル「unlasting」カップリング曲。作曲を手掛けたのはHIDEO NEKOTA。ケルト風の牧歌的なメロディに乗せて<駆け抜けろ時代(いま)を>を聴く人全てを鼓舞する。軽やかな哀愁と、諦め悪くたって良いじゃない、それでも生きてたいんだという心の叫びの重なり合いは、 泣き笑いしてしまう感動がある。たくさん頑張ってる“君”に送る歌だから「頑張れ」というダイレクトな言葉はないけれど、それでも「ああ、明日も頑張ろう」と素直に思える、爽やかな追い風が吹く曲だ。読売ジャイアンツに所属する丸佳浩選手の登場曲として使われている。


13:BEAUTIFUL WORLD



アルバムの最後を飾るのは、“これまでと今まで”を綴った、手紙のような曲。LiSAというと、イメージカラーのピンクや、燃え盛るような赤を思い出すが、この曲で描き出されるのはトルマリンのような豊かなグラデーション。例え足取りが頼りなく見えても、がむしゃらに駆け抜けた先にあったのは、<もういいよ もういいよ 傍にある愛に気づいたから>という、自分を解放するような言葉。そして、僕は僕の世界で生きていくことを、かつてなく軽やかに宣言する。自分らしく世界を遊び尽くす物語はまだまだ続く。LiSAも、“君”も。


ニューシングシングル「炎」も徹底解説!!

M1:炎 (劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 主題歌)



TVシリーズエンディングテーマ「from the edge」も手掛けた梶浦由記との壮大なバラード。作詞は梶浦とLiSAによる共作。「from the edge」は、FictionJunction feat. LiSA名義だったが今回はLiSA名義。より濃密に手を取りあって制作したのではないだろうか。LiSAにとって「無限列車編は、原作の中で最も好きなお話」だそう。言葉選び、音、メロディから、作品への愛情もひしひしと感じる。映画を観たあと、改めて噛みしめてほしい曲だ。


M2:ロストロマンス



2017年に発売されたシングル「ASH」に収録された「罪人(つみびと)」も手掛けたSHO from MY FIRST STORYが作曲・編曲を手掛けたダークロックナンバー。「罪人」も和を感じる曲だったが、「ロストロマンス」も<栄華の夢><浮世><月夜>などの言葉が散らばっていて、切実な心の叫びが、耽美な世界観によってエモーショナルに表現されている。ズシンと響く、ベース、ドラムの重低音もカッコいい。


M3:Leopardess ※初回生産限定盤・通常盤に収録



アルバムタイトルとのつながりも感じるタイトルだが、まさに“豹”という言葉がよく似合うセクシーなダンスナンバー。松原さらり、Hi-yunk(BACK-ON)がLiSA楽曲を手掛けるのは初。LiSAワールドに新たな風を吹かせている。普段から、倖田來未のライブや、ストリップやバーレスクなど「女性がカッコよく表現されているショウにとても魅力を感じています」と語っているLiSA。この曲はまさにそれを感じる曲で、ライブでは視覚でも楽しむことができそうだ。


M4:My Friends Forever ※期間生産限定盤に収録



初回生産限定盤・通常盤に収録される、大切な人のことを歌った曲。サビでは<大切な人 代わりなどいない人 これからも一緒に笑っていてね>とストレートに歌われているが、明るくハッピーな雰囲気というよりかは、一見セピア色のように見えるなんでもない日々が実はとても幸せでカラフルであることをしみじみ感じさせるような曲。金井政人(BIGMAMA)が手掛けたアルバム曲「わがままケット・シー」との詩世界のギャップも楽しんでほしい。また、大西克巳もLiSA楽曲に初参加。今回のシングルはクリエイター陣にも注目だ。


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