KKBOX with SILENT SIREN『ゆかるんのプレイリストTALK』vol.2

KKBOX with SILENT SIREN『ゆかるんのプレイリストTALK』vol.2
後藤千尋
後藤千尋

4人組ガールズバンドのサイサイことSILENT SIRENが、新型コロナウイルスの逆風に負けじとバンド結成10周年記念アルバムの発売を記念し「SILENT SIREN『mix10th』発売記念 生ライブスペシャル」を先月20日に生配信した。無観客ではあるものの、リアルライブの感動を画面越しいっぱいに広げた生配信には、Poppin’PartyのGt.&Vo.愛美もゲスト出演。先月アルバムの発売に先行して配信されたばかりのコラボ曲「Up To You feat. 愛美 from Poppin’Party」も初披露された。9月2日に発売が延期されたバンド結成10周年記念7th Album『mix10th』(読み:ミックスジュース)の楽曲にあわせ、メインビジュアルも新たにSILENT SIRENの10周年イヤーは加速する。

KKBOXでは、そんなバンド結成10周年アルバムの発売に向けて、今月自身のアパレルブランド『jour de muguet』を立ち上げたSILENT SIRENのKey.ゆかるんこと黒坂優香子の連載企画を隔月で掲載。ゆかるんとKKBOX編集室が自信を持って“推せる”魅力的なゲストを招待し、テーマに沿ったプレイリスト・トークをお届けします。

第2回目のゲストは、以前からライブでSILENT SIRENとも共演しているレーベルメイトでありシンガーソングライターの井上苑子さんが登場。SNSで公募された「夏の思い出と音楽」をテーマに、プレイリストの交換&トークを行いました。


スペシャルゲスト:井上苑子


井上苑子(いのうえ・そのこ):メジャーデビュー5周年を迎える神戸出身のシンガーソングライター。小学生にして単独ワンマンライブを成功させ、17歳という早さでメジャーデビューを果たし、ティーンを中心にその楽曲が“共感を呼ぶ!”と瞬く間に人気を集め、才能を発揮。SILENT SIRENとはレーベルメイトでもあり、4月22日には3rd mini Album『ハレゾラ』をリリース。そしてこれまでの生い立ちを辿ったロングインタビューから撮り下ろし写真が収録されたメジャーデビュー5周年記念井上苑子プロデュースブック「青春日和」も7月10日より好評発売中。8月22日には生配信による『いのうえ夏祭り2020』の開催も決定している。


テーマ:夏の思い出と音楽

―連載の第2回目テーマは「夏の思い出と音楽」。Twitter上で公募したテーマですが、お二人の“夏の思い出”が聞けるのを楽しみにしてました。二人はどこで一緒になることが多かったんですか?

黒坂優香子(以下、黒坂):ライブで一緒になることが多かったよね!? 偶然、学祭ライブで会ったりもしたよね。

井上苑子(以下、井上):ありましたね。『音霊』(※三浦海岸の春夏限定ライブハウスで行われるフェス)でも会いました。

―お会いするのはいつぶりですか?

黒坂:久しぶりな感じするよね。

井上:去年ぶり? その時は時間がお互いになくてあまり絡むことができなくて。でも、その前は同じステージでサイサイさんの「チェリボム」を一緒に歌わせてもらったりとかしました!

黒坂:そう! すぅと苑ちゃんが一緒に歌ってくれて、すごい盛り上がったね。

―じゃあ、お会いするのは久しぶりなんですね。いまは新型コロナウイルスの影響で通常のライブは難しい状況ですが、どのような活動をされてますか?

井上:わたしは曲を作ったりしてたんですけど、この間、久しぶりにスタジオのアンプで音を出して配信をしたので、お家で発信してるのと「すごい違うな!」って思いました。

黒坂:サイサイも今年初の生配信ライブをしたんですけど、昨年の年末ライブ以来の約半年ぶりのライブだったので、チームのスタッフさんも含め、リハに入ってみんなで感覚を取り戻すところからっていう感じでしたね。

―ライブ見させていただきましたが、配信とはいえ感動しました。

黒坂:ありがとうございます。ライブで盛り上がる定番曲とか初披露の曲もやったりして。

―思惑通り、すごく楽しめました。ゲストにPoppin’PartyのGt.&Vo.愛美さんも登場し、KKBOXでも先月から配信スタートした「Up To You feat. 愛美 from Poppin’Party」も初披露されましたね。

黒坂:初めて見た人でも久々に見てもらえる人でも、とにかく楽しんでもらえるようなセットリストをみんなで考えてライブに臨みましたね。



―今年は夏フェスが中止になってしまったので、配信でもライブが見られるというのは、とても貴重なことだと思います。ちなみに、公募したテーマの中から今回ゆかるんが「夏の思い出と音楽」を選んだ理由は?

黒坂:純粋に「夏の思い出と音楽」って、人それぞれあるじゃないですか。苑ちゃんの「夏の思い出の曲ってなんだろう?」って気になったのでこれを選びました。

―苑子ちゃんは、テーマを受けてどう感じました?

井上:自分が夏のイメージを持たれることが多いんですけど、自分自身の思い出の曲もあったので選びやすかったし、好きな曲をいっぱい出せたので良かったです。世代の違うアーティストさんの曲も聴きたくなっちゃうんですけど、松田聖子さんもすごく好きで入れました。



黒坂:そうなんだ!

井上:カラオケでも歌いやすいんです。最近の曲は難しいですよね、全部(笑)。

黒坂:わかる、わかる!

井上:「夏の扉」とかは小さい頃から聴きなじみがあるっていうのもありますし、よく自分も歌うので楽しく聴ける夏の曲です。あとサイサイさんの「八月の夜」がめっちゃ好きで、昨日もミュージックビデオを見ながら聞いてました!


出典元:YouTube(dreamusic)


―夏の“空気感”みたいなものがしっかり伝わってくるライブの定番曲ですよね。

井上:すっごくキラキラしてるのに切ない感じのミュージックビデオの質感が好きで。自分のミュージックビデオも「こういう質感にして欲しい!」って言ったことあります。

―え、そうなんですか?!

井上:自分も夏の切ない曲を作ったことがあって、「なみだ」って曲なんですけど。パキッとしてるのにツルッとしてて、すごくそれが良いなと思って(笑)。


出典元:YouTube(井上苑子)


―その辺りに注目して見ると、お互いの夏曲を感じられて面白いかも(笑)。苑子ちゃんは歌を聞くとき、歌詞もしっかり聞くタイプ?

井上:はい、サイサイさんの歌詞は言葉遊びが面白いし、「八月の夜」も最初に相手の人の好きなところとかを並べているじゃないですか。もう、すごくそこの好きな部分の細かさが良くて。「あ、そこ言うんや!」みたいな。その人たちだけの“特別な関係”っていうのがわかるのが好きな部分だったりするから、そういうの見てると勉強になるなと思います。

黒坂:やっぱり夏といったら「八月の夜」でわたしも選んでるんですけど、いまではライブで100%やるくらいの定番曲になってます。この曲を出すときは、それまでポップでキュートなイメージの曲をすごい出してたから、「八月の夜」はいいのか、よくないのかみたいな論議が行われていて。でもメンバーが「この曲を出したいです!」って押して出せた曲でいまでも人気なので思い入れもあるし、メンバーみんな気に入ってるミュージックビデオなんです。だから苑ちゃんが見てくれてるっていうのが、うれしかった。

―今回お二人に作ってもらったプレイリスト、何も打ち合わせしていないのに「八月の夜」「ナツコイ」「SUMMER SONG」と、偶然にも重なっている部分があってちょっと運命を感じました(笑)。



黒坂:確かに、結構かぶって選んでる曲があって、うれしかった! 思い出の曲もたくさんあるし悩みましたね。苑ちゃんの曲でもすごい悩んで2曲入れちゃった。TUBEさんの「あー夏休み」は、小さい頃に車の中で両親が好きでいつもかけてたので、そういう幼い頃の思い出の曲ですね。ORANGE RANGEさんの「ロコローション」は青春時代の誰しもが知っている、この曲がかかればみんな盛り上がるみたいな曲。ももクロちゃんの「ワニとシャンプー」は夏休みの宿題が終わらない曲なんですけど、まさに夏の思い出みたいな。



―ため込むタイプだったんですね(笑)。

黒坂:最後にやるタイプでした(笑)。でも、この曲を聴くと楽しく頑張れる。苑ちゃんの「ナツコイ」は、『音霊』で一緒にライブしたときに苑ちゃんが歌っていてすごい好きで。苑ちゃんに“夏”と“青春”みたいなイメージがすごいあって、夏といったらこの曲みたいな。



―「ナツコイ」は2016年の楽曲ですが、書かれた当時の心境は?

井上:あの頃は少女漫画が好きで、もう完全にお花畑でした(笑)。少女漫画のような“キュンキュン系”のドラマも好きだったので、「なんで自分には王子様みたいな人が現れてくれないんだろう?」と思って(笑)。

黒坂:苑ちゃんの曲を聴いてると、フレッシュな気持ちになれるし、キュンキュンするし、ハッピーになりますね。

井上:ありがとうございます。わたしは「いま夏やからこれ聴こう」みたいなのはないんですけど、いつ聴いてもすぐにその世界に入れる曲がすごい好きなので、冬でも夏の曲を聴いちゃうタイプなんですけど(笑)、プレイリストでは自分がいつでも聴いてる夏曲を選んだつもりです。

―4月にリリースされた『ハレゾラ』収録曲の「ぜんぶ。」は、これまでのイメージから一転して大人っぽいというか、「こんなラブバラードを歌うんだ!」って衝撃でした。

井上:これまでの中で「ぜんぶ。」はいちばん大人っぽいラブソングになったと思います。前と比べたら自分の中で感情の波が減ってきたというか。前は感情の振れ幅が大きすぎて、曲を書いてる時も自分目線の感情で書いてしまうことが多かったです(笑)。「大人になるってどういうことなんだろう?」「現実を見て人生のことを長く考えられるようになったほうがいいな?」という思いもあって、考えて書きました。



―“ひつ夏の恋”じゃないけど、恋愛を通した成長もあるのかなって思いました。

井上:わたし多分ちょっと変わってて、相手に対して一瞬でも無理かもって思うと、気持ちがそういう方に行ってしまってたんです。頑張って続けようとか、その人のことを自分が知らないからダメとか全く思わなかったんですけど、最近は自分もしっかり寄り添って行くことも大切なんだなと。これは恋愛だけじゃないんですけど、長くいることの大事さをちゃんと考えてみようと思いました。

―それは、どうして急に?

井上:「魅力的だな」って思う人がいると、自分もそういう風になってみたいなって思っちゃうんですけど、新しく出会った友達の影響を受けました。人生の中でターニングポイントじゃないけど、ちょっと価値観を変えてくれた瞬間とかってなかったですか?

黒坂:どうなんだろう? 根本は変わらないと思うけど、自分がすごいダメだって思ってた部分を友達が「すごいいいよ」って褒めてくれたりとか、そういう言葉で気持ちが救われたことは多いです。

―そういう友達に出会えると人としても成長できますよね。YUIさんの「SUMMER SONG」は二人とも選ばれてますね。

井上:これは学生の時から路上ライブでよくカバーしていた曲です。サザンオールスターズさんの「真夏の果実」はキーが低いから歌うにはすっごい上げないといけなくて。上げたら上が高かったり、自分が歌うのはめちゃ難しかったりするんですけど、そんな曲やのに歌いたくなるし、聴きたくなるし、すごいロマンチックな曲だなと思って、よく聴くので好きです。ゆかるんさんが聞く曲はジャンルがバラバラやから、メインでは「どういう曲を聴いてたんかな?」ってすごい気になりました。

黒坂:わたしは、J-POPをよく聴いてて。それこそ学生時代からももクロちゃんとかアイドルの曲も好きだったし。YUIさんとか大塚愛さんはど真ん中世代だから、ソロの女性アーティストはよく聴いてました。未だにカラオケ行くとそこは絶対歌うくらい。「SUMMER SONG」はYUIさんがデビューしてすぐぐらいの曲だよね?

井上:そうですね。わたしは小学生でした。いい時代でしたね。本当に素晴らしいアーティストの方がいて、わたしも絢香さんとかJ-POPばっかり聴いてました。

黒坂:やっぱりYUIさんや絢香さんのようなシンガーソングライターに影響されて自分も歌いたいなって思ったの?

井上:もう、完全にそうですね。テレビの中で1人で歌を歌って自分の世界観を出してる人がすごいなって憧れました。「タイヨウのうた」(YUI主演映画)も見ました。映画主題歌の「Good-bye days」も好きだったし。テレビで見て好きになってから、CDショップに行って母親におねだりして「これ」って感じでレンタルしてました。

黒坂:懐かしい、レンタル!

井上:ひたすらレンタルで、それを全部MD(ミニディスク)に落とすみたいな(笑)。

―いまはプレイリストでお気に入りの音楽を交換したり、ネットのリンクをコピーして送りあったりできるけど、むかしはCDやMDに焼いて渡したりしてましたね。

黒坂: KKBOXとか気軽に聴けるものがなかったよね。友達同士でオススメをしあうかCDを借りるか、テレビで聴いてそれをレンタルしに行くかしかなかったから、「すごい時代だな〜」って思う。ストリーミングサービスですぐ聴けちゃうから、音楽がすごい身近にあるいい時代ですよね。

―苑子ちゃんは映画『青夏 きみに恋した30日』の主題歌も入れてますけど、映画もいまデジタルでレンタルできる時代ですからね。音楽と映画がマッチしていてとても良かったです。素敵な夏の思い出が凝縮されている映画でした。花火大会のシーンもありましたが、お二人の夏の思い出は?

黒坂:今年の夏はなくなっちゃったけど、音楽のお仕事をしてると「夏フェスの時期が来たな」みたいに夏フェスならではの空気感とかライブをすごい毎年楽しみにしてましたね。

―KEYTALKさんも夏フェスに多数出演しているので、夏フェスの印象がありました。

黒坂:そうですね。「太陽系リフレインは」毎年夏に行っているサイサイフェス(SILENTSIREN主催のフェス)に出て頂いた時にもこの曲を生で聴いてめちゃくちゃ盛り上がったのでとても記憶に残っていて選びました!



―夏フェスって、いろんな音楽に出会える場でもありますもんね。

井上:フェスはワンマンと違って自分を知らないのに「時間があるからとりあえずやってるところに行こっか」って来てくれた人も陽気で楽しそうに聴いてくれるから好きです。

―音楽好きが集まってるので不思議な一体感もありますよね。今日のテーマが「夏の思い出と音楽」だから花火大会とかの話題も出てくるのかな?って思ってましたが。

黒坂:花火大会とかは、わたし全然行かないですね(笑)。いつも「やってたなぁ」で終わっちゃうな。

井上:わたしもお祭り自体は好きなんですけど、屋台が好きなだけで、人混みが本当に苦手で。とりあえず、手前の屋台だけ食べて帰る感じです(笑)。

―屋台は何が好き?

井上:関西の屋台なんですけど、パステルカラーの丸いミルクせんべいっていうのがあって。練乳を全部挟んでくれて超甘いんですけど、中学生の時は好きで浴衣とか気にしながら食べてました。

黒坂:いいなぁ、夏って感じ!

―ゆかるんは?

黒坂:うーん、チョコバナナ? でも、都内のお祭りって人混みが凄いのが分かってるから「のどかな地方のお祭りに行きたいな」って思いながら毎年夏が過ぎていく(苦笑)。

井上:夏はスイカとか食べたいですね!

黒坂:確かにスイカを食べると「夏、来たなぁ」っていう感じがすごいするかもしれない! 冷やし中華を食べてみたりとか。

井上:あと、冷製パスタとか食べたいです。

―夏のフードの話になってきました(笑)。そんなお二人ですが、今年の夏はどんな活動を予定していますか?

井上:わたしは今年デビュー5周年なので、それを盛り上げていけたらなと思ってます。5周年ブックにサイサイさんからメッセージをいただいて、お返事みたいなものをちょっと中で書かせていただいてるので、送らせていただきます。いままでで一番長いロングインタビューで、初恋の話とか生まれてからのことも全部洗いざらい話しました(笑)。あとは撮りおろしで写真もいっぱい撮りました。

―それは、楽しみです!

井上:あとは 4年前からやってる『いのうえ夏祭り』は配信で今年は開催しようと思ってます。ゲストさんを招いて一緒にやってるんですけど、一昨年はお笑い芸人のかまいたちさんに来てもらったりしていたので、今回も配信の中でみんなでわちゃわちゃ“夏祭り感”を感じてもらえたらと思って。

黒坂:わたしはお洋服のファッションブランドを立ち上げたので、夏の終わりにお洋服のリリースとかがあります。「jour de muguet(読み:ジュールドミュゲ)」っていうファッションブランドなんですけど、みんなに愛されるようなブランドになればいいなと思ってゼロから頑張ってます。

―5月1日の「愛の日」に立ち上げたんですよね。

黒坂:5月1日がフランスでは“すずらんの日”で、その日に大切な人にすずらんを贈る風習があって、そのすずらんをもらった人は幸せになれるっていう日なんです。その日にちなんでブランド名も“すずらんの日”っていう意味の「jour de muguet」にしました。お洋服のブランドがみんなにとって幸福の花みたいな存在になれたらいいなと思って。秋冬のお洋服からリリースが始まりますが、その前にTシャツとかも出しているので、まずはみんなに知ってもらいたいです。

―ブランドのInstagramアカウントもチェックしてます。洋服でその日のテンションも変わりますよね。

黒坂:そうですね。音楽と近しいものがあるなと私は思っていて。音楽も好きな曲を聴くと気分も上がるし、気持ちも変わったりするのと同じで、お洋服も好きなものを着ると自分のことがいつもより好きになれたり良い変化があるので、こっちも頑張っていきたいなと思っております。Tシャツ、苑ちゃんにも贈らせていただこうと思ってます!

井上:ありがとうございます!

―最後に、苑子ちゃんとお話してみた感想も聞かせてください。

黒坂:なかなかじっくり話す機会がなかったので、今日はいろいろ苑ちゃんのこと知れて嬉しかったし、恋愛感の話がとても気になったので(笑)、またちょっとその話も聴きたいなって思いました。

井上:ゆかるんさんは大人っぽいのに少女感もあって私のなれない女性だなって。今日お話してさらに素敵だな思いました。是非お願いします!

後藤千尋
後藤千尋

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