大沢伸一が100年後に残したい音楽:897Selectors#70

大沢伸一が100年後に残したい音楽:897Selectors#70
KKBOX編集室
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アーティストたちが影響を受けてきた音楽や、100年後も誰かの1心に残っていて欲しい曲をテーマにしたFMプログラム「KKBOX presents 897 selectors」。今回は、14年ぶりに再始動したMONDO GROSSOの新作「何度でも新しく生まれる」が大きな話題を呼んでいる大沢伸一さんです。DJ/選曲家としても活躍している大沢さんならではのシャープな視点に基づくセレクトと共にご自身の音楽ヒストリーを語っていただきました。

大沢伸一の原体験となった音楽

Forces of Opression / The Pop Group UKのバンド、ザ・ポップ・グループの80年のセカンドアルバムから。ギターやベースを演奏していた15〜16歳の頃、姉の友人の音楽仲間に誘われて遊びに行き、「弾いてみろ」と言われ聞かされて、衝撃を受けた曲。 それ以前に好きで聴いていたYMOなどのテクノと、こういった音楽が混在していた時代でした。そんな中で、こういうトガったものに心を惹かれて傾倒していきました。あえてニューウェーヴとカテゴライズしますが、ニューウェーヴから学んだ一番大きなものがあるとすれば、”他人と違う” ということにアイデンティティを見出すこと、自分をどうエクスプレスするかということなんで、それはすごく参考になったし、技術の美徳を完全に否定した上に何かを構築するという、面白い時代でした。ニューウェーヴって、アティチュードというか、音楽に対する向き合い方というか。ですから音楽のジャンルというより人に当てはめて、“彼ってニューウェーヴだよね” といった伝え方をしていた記憶があります。 Bye Bye Papaye / Antena イザベル・アンテナのソロになる前、バンドで活動していた80年代前半のファーストアルバムから。 10代の頃、象徴的に聴いていた中からランダムに選んだもののひとつ。当時のレコード屋さんでは、ポップ・グループもアンテナもニューウェーヴのコーナーに並んでたりしたんですよね。ゆえにニューウェーヴとはジャンルでないというか、そういう振れ幅を聴いていただこうと思って、あえて並べてみました。

音楽活動を始めてから影響を受けた音楽

Daydreaming / Massive Attack 91年のファーストアルバム「Blue Lines」から。 イギリス発祥で、固有のシンガーを持たず曲によっていろんなアーティストをフィーチャーするスタイルをやり始めた先駆けが、SOUL Ⅱ SOULとマッシヴ・アタック。そういう意味で参考になり、勇気をもらいました。 É Preciso Perdoar / Ambitious Lover アート・リンゼイとピーター・シェラーのユニット、91年のアルバム「LUST」から。 ニューウェーヴが内包していたものの幅の広さを僕は目の当たりにしていて、これはブラジルのジョアン・ジルベルトの演奏で有名な曲ですけれど、当然ながら僕はこっちの方(注:アンビシャス・ラヴァーズのヴァージョン)を先に聴いてるわけですよね。で、ここから、ブラジル音楽って何なんだろうって旅を始めたり、違うアーティストで言うとジェームス・チャンス&ザ・コントーションズがジェームス・ブラウンをカヴァーしたのを聴いて、その奥にあるジェームス・ブラウンって何なんだろうと遡って行ったりとか、ニューウェーヴのフィルターを通して、そこからいろんなものにどんどん触手を広げていく作業が、10代から20代にかけての僕の音楽の一番の素養になっている。そういう部分を紹介したかったです。

100年後も誰かの心に残っていて欲しい曲

Soaring and Boring / Plush アメリカのシンガー/ソングライター、別名Liam Hayesの98年のファーストアルバムから。 100年後も残っている可能性が少ない曲をあえて選んでみました(笑)。僕の好きなイギリスのDJ、ラジオの選曲家、エロール・アルカンがコンパイルした中に入っていて、どうしてもこの曲が欲しくなってアナログ盤を輸入して買いました。歌もピアノの演奏もたいして上手くないんですけど、こういう切ない感じの曲が大好きなんです。ピアノの音色とコード・プログレッションに波長が合ったんでしょうね。 Driving (acoustic) / Everything But the Girl 90年のアルバム「Language of Life」から。このアコースティック・ヴァージョンは後にリリースされたリイシュー盤に収録。 トレイシー・ソーンとベン・ワットが別々にやっていた時から2人の音楽が大好きでした。彼らの歴史の中で名曲はいっぱいあるんですが、この曲はわりとサラッと流されている節もあって。なおかつこのアコースティック・ヴァージョンを彼らがわざわざレコーディングしたということは、多分、思い入れがあるんですよ。とても大好きな曲です。

大沢伸一のいま

14年ぶりの新作『何度でも新しく生まれる』 から、4月に限定12インチ・アナログ盤で先行リリースされた曲。作詞は東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦。満島ひかり出演のミュージックビデオも話題沸騰! ラビリンス(Album Mix) / MONDO GROSSO(Vo:満島ひかり) TIME / MONDO GROSSO(Vo : bird) アルバムタイトルについてあえて言わせていただくと、僕がこのタイトルにこめた意味はあまりないのですが、音楽の中にちゃんとヒントがあるようになっています。 意識したことは、みなさんの予想を裏切るということですかね。期待に対して、違う側面で “こんなふうなものだったらどう思う?” という提案を常にしたいタイプなので、そういうチャレンジを毎回やってきたわけで。今回も、形は今までと違うかもしれないですけど、新たな挑戦をいくつかやってます。 全曲、渾身でやったつもりではあるので、そこを分かっていただけるとすごく嬉しいところですね。

KKBOX編集室
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