宇宙人(Cosmos Pepole)が語る、日本の音楽とアーティストとの関係性

宇宙人(Cosmos Pepole)が語る、日本の音楽とアーティストとの関係性
KKBOX編集室
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台湾出身の3ピースバンド、宇宙人(Cosmos People)は2009年にCDデビュー。いまでは台湾のバンドシーンのトップランナーとして絶大な人気を獲得しています。日本においても2014年にそれまでに発表してきた楽曲を選りすぐったアルバム『コスモロジー』を発表するとともに、〈SUMMER SONIC〉で初来日。以降ワンマンライブを毎年開催するなど、日本でも着実にファンを増やしています。また今年3月に台湾で開催された『スペースシャワー列伝 ASIA TOUR2017』 では、THE ORAL CIGARETTES、キュウソネコカミ、フレデリックと共演。その存在感を日本のロックファンも改めて認識することになります。 今回、台北と東京で開催された〈TOKYO MUSIC LINER〉で来日した3人に、改めて彼らの魅力についてお話しを聞くとともに、日本のミュージックシーンについても語って頂きました。

宇宙人(Cosmos People)の魅力を改めて紐解く。

いま日本ではシティ・ポップ・サウンドの人気が高くなっています。宇宙人の音楽は、メロディのポップで親しみやすい点が、いまの日本のリスナーにもすごく馴染みやすいのではないかと思います。 (シャオユー) 僕たちはもともと洋楽が好きで、高校時代の頃はアメリカのファンクやソウルをベースにした音楽をやっていたんです。以前は歌詞が英語の曲もつくっていました。ただ台湾では「ファンクやソウルはディスコ」というイメージが強すぎて、多くのリスナーに受け入れられにくかったんですね。 そこで自分たちが思うポップなメロディを取り入れることで、宇宙人としてのオリジナル性を作り上げていきました。 アルバム『10000 HOURS』(2015年)に収録されている「Seconds of Fame 成名15秒」のメロディとサウンド感が個人的には大好きです。オープンカーで海岸線を走っている時にぴったりハマります(笑) (シャオユー) ありがとうございます。この曲は大好きなマイケルジャクソンをイメージしました。歌詞は「スポットライトを強めて」というので始まるのですが、LIVEでのステージを意識しました。そして台湾の社会問題にも触れています。

アークエ、シャオユー、ファンキュー(L→R)

そうだったんですか!言葉がわからないので、このサウンド感からはとても気持のよいドライビング・ソングなのかなと感じていました。 (シャオユー) あーーー(笑) もう少し言うと、山下達郎的なサウンド感です。山下達郎もファンクやソウルから大きな影響を受けている方なので、宇宙人のみなさんと同じなんです。リスナーにとっては言葉がわからなくても、メロディの持つ音楽体験や時代体験が繋がっていくって素晴らしいなと改めて感じました。 (シャオユー) 日本はファンクやソウルは早くから聴かれていたし、台湾より馴染みがあるのではないかと思います。自分が小さい頃、日本のアニメやドラマの音楽にも影響されたことがあったんですが、そこでファンクやソウルのテイストを取り入れた曲を聴いていたんです。いろんなところで繋がりますね(笑)。 全曲日本詞アルバム『TIME LAPSE』(2016年)を発表されましたが、この作品にはどんな想いがあったのですか? (シャオユー) 日本のファンの多くの方は中国語がわからないので、僕たちのやっている音楽を言葉でも近づけることができたらいいなと思いました。そして日本語詞は、極力オリジナルに近い意味で翻訳してもらいました。NHK・Eテレの番組オープニング曲に選んでいただいた「那你呢 And You?」の日本語バージョン「あなたはAnd You?」も収録されているのでぜひ聞いてください。  シャオユーさんの日本語の表現、感情の表現がとてもうまかったです。大変でしたよね? (シャオユー) 実は祖父、祖母が日本語を話すことができたし、僕も小さい頃からよく耳にしていました。僕自身も日本語を少し勉強していたので、そんなに大変ではなかったです(笑)。むしろ新しい作品を作るような「やり甲斐」がありました。 メンバーのみなさんは日本語で歌うシャオユーさんに演奏で違和感とかはなかったのですか? (アークエ) もちろん違いはありました。だから演奏もボーカルにあわせて表現を変えています。シャオユーが言ったように新しい作品づくりだったと思います。やってみると、日本語バージョンの方がギターが馴染んでいるんじゃないかと感じたこともありました。実際オリジナルとはアレンジも違っているし。  (ファンキュー) 日本語にした方が、演奏が情熱的だったり、刺激的な感覚を持つこともありました。「もっと遠くへは Move Forward」はオリジナルより、日本語バージョンの方が良くできたのではないかと思うぐらいです(笑)。

宇宙人も日本のバンドもインディーズ・スピリッツは一緒。

3月に台湾で開催された〈スペースシャワー列伝 ASIA TOUR2017〉では、THE ORAL CIGARETTES/キュウソネコカミ/フレデリックとの対バンツアーでした。宇宙人とは趣の違う日本のロックバンドたちと共演されてどんな感想をお持ちですか? (シャオユー) 国も言葉もジャンルも違いますが、みんなインディーズ時代の経験があって、そのスピリッツは一緒でした。だからみんなともとても話しやすかったですね。その後のプライベートでも交流を深めることができたし。 (アークエ) 言葉は関係なく 好きな音楽、使っている機材のことなど時間が足りないほど話ができました。  (ファンキュー) 日本のバンドの演出がすごいなと。それに個性がある。フレデリックはダンサンブルだし、THE ORAL CIGARETTESはかっこいいロックというイメージ、キュウソネコカミは「カメハメ波」の元気さ(笑)。 みんな全力でステージ・パフォーマンスしていることが素晴らしかったです。 台湾のバンドは違うんですか? (シャオユー) もちろん一生懸命です。ただ日本のバンドはもっと徹底しています。30分のステージでもこだわりを持って、ファンを魅了するような工夫の凄さがあると思います。日本人が持つ「コダワリ」を感じました。

フレデリックの健司くんとは一緒に作品を作りたい

インタビューの翌日に開催された〈TOKYO MUSIC LINER〉に、宇宙人はトップバッターとして登場。「日本のファンには何を見て欲しい?」と尋ねると「NulbarichやAwesome City Clubのファンの前で演奏できることが楽しみ。ひとりでも多くの人が自分たちの音楽を気にいってくれればと思います」とアークエは笑顔で答えてくれました。 ステージ上の3人は積極的なパフォーマンスで、ライブ中盤からは宇宙人ファン以外の観客を巻き込み、コール&レスポンスで会場がひとつになったライブ空間を作り上げていました。また会場にはTHE ORAL CIGARETTESのメンバーの姿も。国境を超えたライブが特別なものではなく、ごくごく当たり前に楽しめる、そんな素晴らしい音楽体験を宇宙人に教えられた気がします。 今回は台北と東京で開催される〈TOKYO MUSIC LINER〉で共演するNulbarichは、〈列伝 ASIA TOUR〉で共演したアーティストたちとは、また違う印象だったのでないですか。 (シャオユー) 実は台北公演をやる前に彼らのライブを見に日本に来たんです。Nulbarichは音楽も好きだし、ステージ上のJQさんのリラックスしている感じが印象的でした。台北公演では僕たちのファンに感想を聞いたのですが、みんな好印象だったようです。お互いにソウルやファンクをルーツにしているから、ファンも受け入れやすかったように思います。

出典元:(YouTube:Nulbarich) 僕たちも、ロック系のサウンドアプローチはTHE ORAL CIGARETTESやフレデリックに参考になることは多いですが、Nulbarichのようなアプローチができたらいいなと感じました。 東京公演で初めて共演するAwesome City Clubにはどんな感想をお持ちですか。  (シャオユー) Nulbarichは 僕たちよりオトナな音楽作りという感じがしますが、Awesome City Clubは僕たちの音楽に近いものがあると思います。「前向きに元気でいこう!」みたいな。一緒のステージがとても楽しみです。 これまでの日本のバンドたちとの共演が刺激となり、今後の作品に取り入れられたりするんでしょうか? (シャオユー) フレデリックは、ボーカルの表現する方法とか、ギターもベースも曲によってどういうタイミングでどんなパフォーマンスをするのかということが緻密だと思いました。自分たちのステージに取り入れたいですね。そうすればお客さんも、もっとワクワクしてくれるんじゃないかって。 (アークエ) Nulbarichのリラックス感は、歌とメロディのタイミングを意図的にずらしてしているんじゃないかって。でも、これって難しい方法だと思うのでとても参考になりました。僕らも自然にそんな雰囲気を作れればなと思います。 (ファンキュー) SuchmosやLUCY TAPESなどの音楽が、日本のリスナーにも受け入れられ人気があることで、僕たちがやっている音楽にも自信がつきました。台湾では僕たちの音楽スタイルは、あまり多くなかったので。 日本のバンドたちと共演したことで新しいものが生まれそうですね。新作とても楽しみです。 (ファンキュー) 山本さんが気にいってくれたドライブソングを入れますよ(笑)。 あといままで以上にラブソングを作りたいと思います。人生は「愛」がいっぱいあった方がいいですから。 最後に。今後一緒に演ってみたい日本のアーティトを教えて下さい。 (シャオユー) 星野源さんの音楽が好きなので一緒にできればいいな(笑) (アークエ) いままでやってきたバンドたちとライブだけでなく、一緒に作品を作りたいです。フレデリックのギターの健司くんとは何かやりたいです! (ファンキュー) 東京事変の亀田誠治さんには機会があればプロデュースなどしてもらいたいです。以前、亀田さん主催のベースコンテストに参加したことがあるんです(笑)。 テキスト/ インタビュー写真:KKBOX 山本雅美 ライブ写真:Viola Kam (V'z Twinkle)

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