”感情”に寄り添ってくれるKGの新作『Brand New Days』

”感情”に寄り添ってくれるKGの新作『Brand New Days』

KGといえば、切な系のラブバラードを歌い性別を問わず多くのリスナーから感動の声が集まる歌い手だ。だが、このアルバムは「自分のいろいろな面を見せることができた」と自身は語る。ならばここにはどんなKGがいるのか。どんな思いがこのアルバムには詰まっているのか。リリース当日に配信されたニューアルバム『Brand New Days』について語ってもらった。 新しい日々に向かって 『Brand New Days』というアルバムタイトルからわかるように、アルバムを通してポジティブな気分が伝わってくる。 「音楽って人間性がすごく出るものだと思うんです。僕自身がポジティブな人間なんですよ」 そうKGは話す。でもそれが押し付けがましくないのは「もともとはネガティブだったんです」というKGだからこそだ。「僕の歌に反応してくれる人って、知らないうちにがんばりすぎちゃってる人が多いんです。そういう人に、『少し休んでもいいんだよ』って言ってあげられる歌い手でいたいと思うんです」 だから説教くさくない。ポジティブに”させてくれる”のではなく、ポジティブに”なれる”アルバムなのだ。 ラブバラードだけじゃない、ジャンルレスなアルバム ただし、”ポジティブ”がアルバムのコンセプトなのかと質問を投げてみると「もちろんそういう心境はあったと思うけど、アルバムコンセプトとしては考えていなかった。コンセプトがあるとすれば”ジャンルレス”かな」という答えが返ってきた。 KGというと「めぐり逢えた」や「いつまでも いつまでも」のようなラブバラードの歌い手という印象があるかもしれない。しかし、それらのシングル曲の印象だけではこのアルバムは語れない。「自分のいろいろな面を見せることのできたアルバム」とKG自身は言う。ラブバラードの名手としてのKGという面もあれば、ソウル、R&BなどKGという歌い手を培ってきた音楽たちも収録されている。KG自身も言っていたが、どんな聴き方をしてもいいのだと思う。切ない気持ちにどっぷりハマりたければ、バラードをリピートすればいい。ノリのいい曲を聴きたければ、例えば2、4、5曲目などでアドレナリンを出せばいい。ただしそんな聴き方ができるのは、音楽に感情があるからだと思う。 毎日に寄り添う音楽 音楽の感情って何だ。インタビューのなかでKGはこんなことを言ってくれた。「歌詞は言葉だけじゃ成り立たないと思うんです。まず音楽があって、歌声があって。その感情をさらにうまく伝えるために歌詞があるんだと思います」 逆説的かもしれないけれど、音楽の感情を伝えるための歌詞”だからこそ”、胸に迫ってくるのだ。音楽の感情があるからこそ、歌詞が体温を持ったものとして染み込んでくる。だからこそ、歌詞が僕らのエネルギーにも変換される。 「音楽って毎日の生活のなかでエネルギーをくれるものだと思うんですよ。エネルギーといってもおおげさなものじゃなくて、生活に寄り添って『ちょっとふんばれるかも』って思えるぐらいのエネルギー」 たしかにこのアルバムは、ラジオのように流しっぱなしにして聴きたいアルバムのような気がする。何かしているそばで流がれている音楽。それで「あ、この曲いい」と反応したら、音楽のほうに耳を集中させる。その音楽、歌、歌詞の感情に心を傾かせる。生活のなかのふとした瞬間に、いっしょに切なくなって、いっしょに笑ってくれる。感情をともにする、そんな聴き方がすごく似合うアルバムだ。

海老沼邦明
海老沼邦明

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