Halo at 四畳半にとっての「至福なオフ」〜渡井翔汰と白井將人が語るオフの過ごし方と新作『ANATOMIES』

山本雅美

ミュージシャンの「オン」と「オフ」を覗く連載「至福なオフ」。「オン」のモードで作り上げた作品についてはもちろん、休みの日に聴いている音楽や私服のこだわりなど、「オフ」のことも伺います。今回のゲストは、Halo at 四畳半の渡井翔汰さんと白井將人さんです。1月29日にメジャーとしてのセカンド・フルアルバム『ANATOMIES』を発売し、2月からは全国9都市でのワンマンツアー“無垢なる祈りの宿し方”を開催します。2020年、間違いなく大きな飛躍をするであろうHalo at 四畳半のオフな一面と『ANATOMIES』について、お話を伺ってきました。



(写真:関口佳代)


オフの日には何してる?

—4人を見ているとすごく仲が良いと思うのですが、オフの時に一緒に過ごすことはあるんですか?

渡井:まったくないです(笑)。

白井:共通の友人と飲んでいて、たまたまそこにいる的なことはありますけど、一年に一回あるかないかぐらいです。どのバンドマンも言うんですが、飲み会にメンバー来て欲しくない的なとこがありますね。悪いことをしているわけじゃないんだけど、羽を伸ばせない的な(笑)。

渡井:あとは、地元の佐倉のライブハウス(Sound Stream sakura 通称:サンスト)で偶然会うとか。約束して会うみたいなことはないですね。

—サンストは落ち着く場所なんですね。

渡井:店長の白幡さんは元ミュージシャンでアーティスト気質だから、初めて会う人は何を言っているのかわからないような人です(笑)。でも僕らは十年もお世話になっているので、話をしていると「帰って来たな」って気持ちになります。

白井:お父さんみたいな人です。みんなパパって言ってます。


—Haloのみなさんって地元で過ごすことが多いですよね。佐倉愛を感じます。

白井:バンドができる前の友人たちが多いということが大きいです。昔から知っている人が多いから、気心許せる空気感が居心地いいんでしょうね。

—それではいま完全に1日オフがあったら、どんな最高の1日にしたいですか?

渡井:新幹線に乗って普段は行けないようなサウナに行きたいです。最近は好みのサウナもわかってきたし、他の人のサウナの入り方が気になり始めました(笑)。いまや自分にとって、体と心の疲れを解放できる大事な場所ですね。ツアーで地方行った時も2時間ぐらい空いたら、さっと調べてサウナに行ってきます。

白井:こんなアクティブな過ごし方をしている渡井って初めてですよ(笑)。

—では、白井さんはどんなオフにしたいですか?

白井:オフは人と遊んでいる時が多いんですけど、実際は完全にオフじゃなくて、半分ぐらいスイッチが入っている感じがあるじゃないですか。だからいま本当に1日オフがあったら、スケジュールとかの心配することなく、部屋に篭ってずっとゲーム実況を見ている気がします。これはこれですごく贅沢かなと。あとはいつも遊んでいる仲の良い仲間たちと箱根とかに行くのもありですね。


どういうファッションが好き?

—渡井さんは中間色の服を着ている印象があります。

渡井:そうですね。辛子色は昔からずっと好きです。服に限らず辛子色というものが好きで、ギターも辛子色です。あとはベージュや黒とか。好みのブランドがあるわけではなく、色とカタチで自分に合うものを選ぶことが多いです。今日の上着は下北沢の古着屋で700円で買いました(笑)。あまりないデザインなので、すごく気に入っています。どちらかというと、ぱっと見て気に入ったものを買って愛用することが多いですね。

—履いている靴が面白いですね。

渡井:これはダイヤルロック式の靴なんです。スペクタスというブランドの靴が有名なんですが10万円ぐらいするので、さすがにそれは買えないなと。探していたら安くて同じタイプのものを見つけました。あまり無いタイプなので、周りから結構珍しがられます。


—白井さんはいつも黒のイメージですが、今日はオレンジ色で派手ですね(笑)。

白井:今年はいろんな色を着ます(笑)。船橋にSTREET ARTSというセレクトショップがあって、そこの店長さんが元タワレコの人で意気投合し、いろんな服飾系の方を紹介してくれたんです。そうしていく中で、服を作っている人っていろんな信念があるということを知りました。今日のオレンジのパーカーは「VIRGO」とうブランドなんですけど、デザインしている人の想いを知ることで、着てみたいと思うようになったんです。服に対する自分の価値観がすごく広がりました。


—白井さんの話を聞くと、ファンの人たちもHaloのグッズのデザインに対して同じ気持ちを持っているんだろうなと思います。少し話が変わりますが、Haloのジャケットはイラストが多いですね。

渡井:Haloの世界観とマッチしていると思うし、Haloのひとつの色だと思っています。前作の『from NOVEL LAND』はチャレンジもあって写真を使ったんですが、『ANATOMIES』ではイラストに戻りました。

白井:『swanflight』までは僕たちの高校の同級生が描いてくれていたんです。仕事が忙しくなっていまは違うんですけど。Haloにとって無くてはならないイラストだったと思います。


KKBOXのプレイリストを作るにあたって、「オフの日に聴きたい曲」をテーマに選曲してもらいました。

—渡井さんは同年代の邦楽系が中心、 白井さんは欅坂46からジャクソン5まで幅広いです。

渡井:洋楽だと勉強するような気持ちで聴いちゃうので、邦楽系、特に同年代の人たちの音楽をまったり聴くことが多いです。部屋で音楽を流している時は頭をからっぽにして聴くことが多いので、そんな時間を過ごせる選曲です。現在の自分に馴染んでいる曲だと思います。

—Perfumeが意外でした。

渡井:メロディがすごく好きです。初めて聴いた時に耳コピしてカバーしてみたんです。アコギで自分が歌うと全然違う曲になって、Haloでもできそうなメロディラインなので、すごく通じるものを感じました。



—ROTH BART BARONの「けもののなまえ feat/HANA」もいいですよね。

渡井:名曲です。ボーカルのHANAさんって13歳の無名な女の子なんですけど、調べてもよくわからないんです。いま一番気になっている人です。

—白井くんは洋楽、邦楽のバランス良い感じですね。

白井:最近は音楽を聴く幅を広げるのが本当に楽しいです。中学の頃とかによく聴いていた曲とかに囚われていた時期もあったんですけど、いまはラジオのレギュラーで音楽を紹介する機会もあるので、新しい音楽をディグっていくのが刺激になっています。

—今回のプレイリストで特にこだわった曲はありますか?

白井:これは絶対に話したかったんですけど、「二人セゾン」は喜怒哀楽、どの感情にも寄り添ってくれる曲なんです。「今日は何を聴こう?」って思い浮かばない時は「二人セゾン」が絶対にオススメです。気分が変わっても聴ける、いい意味でとてもフラットな曲ですね。

—そういう聴き方、面白いですね。想い出として印象深い曲もあったりしますか?

白井:高校時代に長くおつきあいした彼女とのきっかけになった日に観た映画が「ハルフウェイ」なんですけど、Salyuの「HALFWAY」はこの映画の主題歌なんです。想い出補正もありつつですけど、自分の中ではオフと言えばこの曲です。自分の名曲の条件としては、聴いていた時の情景を想い出せる曲だったりします。



—エモい(笑)。渡井くんは想い出補正できる曲ありますか?

渡井:オアシスの「ロックンロール・スター」ですね。専門学校の頃、駅に向かう自転車に乗る時に聴いていたのがこの曲で、背中押されてちゃんと学校に行こうってなりました。その頃の朝の空気感を思い出す曲です。


アルバム『ANATOMIES』について

出典元:YouTube(ColumbiaMusicJp)

—先行配信されていた「ナラク」「花飾りのうた」はHaloらしい世界が最大限発揮された曲だったので、新しいアルバムがとても楽しみでした。良い意味で裏切られ、そして二度も三度も楽しめ、いろんな曲の捉え方が発見できるアルバムになっていると思います。

渡井/白井:ありがとうございます!

—起承転結のある構成も必聴ですよね。特に「百鬼夜行」「レプリカ」「月と獣」が続く中盤で違う世界に持っていかれ、「疾走」で少しずつHaloに戻ってくる感じも醍醐味がありました。『ANATOMIES』は改めて〈作品〉なんだということを強く感じました。『ANATOMIES』の発想や構成はいつ頃に生まれたのですか?

渡井:今作だけでなく、曲順がすごく意味を成していることが多いんですけど、それって本当にミラクルでしかないんです。制作前から「こういう内容にしよう」と考えて作り始めることがなくて、自分たちがシンプルにいまやりたい音楽を作ってカタチにしています。『ANATOMIES』の制作過程では「ヘヴン」が最後に完成したんですが、最後のピースが見つかったからこそ「蘇生」で終わるという、すごく美しい流れができたと思います。少し運命的なものを感じました。


—〈解剖学〉という意味のアルバムタイトル『ANATOMIES』は、制作過程の中で生まれた言葉なんですか?

渡井:アルバムが出来上がってからですね。『ANATOMIES』は制作期間の中での自分自身の心の底の悩みや葛藤を切り出した曲が多いんです。その結果、自分自身を解剖することで音楽に落とし込んだ気がします。ギターの齋木も「疾走」で初めて作詞をしたんですが、それを聴いた時に「あ、これが本当に今の齋木なんだろうな」と思いました。自分だけでなく、齋木もさらけ出しているんだと。そういう意味でも『ANATOMIES』という言葉が相応しいのかなとタイトルにしました。

—確かにいままでとは違う言葉の力も感じました。

渡井:昔は伝わりやすい簡単な言葉を使うのって格好悪いと思っていた頃があったんですけど、メジャーになってからは、人に伝わりやすい言葉でも自分自身にしかできない表現をしたいと思うようになりました。自分の歌詞の書き方が変わってきている中で、『ANATOMIES』は、これまでで一番自分自身と向きあって作ることができたと思います。


渡井:自分の心の中を言葉にすることって本当に難しいと思うんです。『ANATOMIES』は、その言葉を丁寧にカタチにして音楽に置き換えることで、自分自身を改めて理解することもできたし、成長することもできたように思います。いままでになかった達成感もあります。

白井:渡井の歌詞が変わってきているというのは感じていたんですが、『ANATOMIES』で、さらに大きく変わったなというのは強く思いました。これまでは渡井が仮想主人公を描いていた世界が、『ANATOMIES』は渡井自身が主人公の曲が多くなっています。バンドメンバーも一緒で、最近の曲の方が僕ら自身でも感情移入しやすくなっていると思います。そして4人ともたくさんの人に届けたいという気持ちが一緒の状態でレコーディングできました。

—難しいとは思いますが、『ANATOMIES』のこの1曲のここを聴いて欲しいという曲を教えてください。

渡井:(じっくり考えたあとで)「ヘヴン」は音像感としてもいままでになかったHaloの世界に突入した感もありつつ、それを4人で演奏してHaloらしさを出せたのは大きい発見でした。これまでも新作を出すごとにいろんなチャレンジをしてきましたが、そのチャレンジをしてきたからこそ出来た曲ですね。昔だったら作れなかった曲だと思います。歌詞に関しても、いままでのHaloの道程があって、現在のHaloがあって、そしてHaloを聴いてくれる人の存在があってこそ書くことができた言葉だったと思います。

—「ヘヴン」はアルバムの最後を飾っても良いと思えるほど、いまのHaloの決意や強いメッセージを感じることができます。メンバーの皆さんにとっても「ヘヴン」は同じように想いがある曲なのではないのでしょうか。



白井:ベーシストとしても確変が起きた曲だと思います。インディーズの頃は4人の音に対するこだわりがあって、ライブで再現できない曲はやらないみたいなプライドがありました。それが逆に邪魔になる瞬間もあって、最近は少しずついろんなことを取り入れるようにしていました。それが行き着いた曲が「ヘヴン」なのかなと思います。「ヘヴン」で自分は弦楽器ではなく、初めて鍵盤楽器でベースを弾くことに挑戦しています。自分が意固地になって弦楽器にこだわっていたら、この「ヘヴン」の雰囲気は出ていなかったんだろうなと思います。渡井や齋木が作るHaloの世界感を押し広げるということが、自分の使命としても感じているし、自分の自我が別のベクトルに向かっているのが楽しいと感じました。

—いい話ですね。違う音の表現をした時に見える音の景色が、次へと絶対に繋がっていくんでしょうね。そういえば、ファンの皆さんと信頼関係という話もされていましたよね?

渡井:聴いてくれている人たちとの信頼感が本当に実感できてきたから、新しいHaloを作ろうと思えたんだと思います。もちろんいままでも信頼はしていたんですが、どこか不安な気持ちもあったんです。それを乗り越えることができた信頼感というか。

—白井さんはどの曲をあげますか?

白井:アルバムラストの「蘇生」のようなシンプルなバラードってあまりやってなかった曲なんです。1コーラス目はバンドの音はほとんど入っていないし。そういう振り切り方もバンドとして新しいなと思います。この壮大さって紅白歌合戦で歌っても、お茶の間に届くんじゃない?みたいな(笑)。


—大袈裟ではないと思いますよ。アルバムの最後を飾る曲として見事だなと。エンディングの潔い終わり方も最高でした。「蘇生」は何度もリピートして聴きました。

白井:エンドロール感ありますよね。『ANATOMIES』のために出来るべくして出来た曲にも感じるし、「蘇生」を気持ちよく聴くためのそれまでの11曲のような気がします。今後の僕らにとっても大事な曲になるんだろうなと思います。

渡井:曲に優劣をつけたくはないんですが、アンセムになるような曲って、突然に湧いて出てくるんです。それは「蘇生」も同じでした。考えて作った曲ではないんです。


出典元:YouTube(ColumbiaMusicJp)

—『ANATOMIES』の楽曲の幅の広がりで、ボーカル・渡井翔汰としてもこれまでになく歌の表現が広がったのではないでしょうか?

渡井:個性が強い曲や、音数が少ない曲などいろんなアプローチの曲が多かったので、正直に言うと歌うことがしんどかったです(笑)。ボーカルを試されているような気がしました。いま出来ることを出し切ったつもりではいますが、同時にもっと出来たんじゃないかと思う部分もあります。表現したい音楽が、自分の歌う力量を超えてきたというか。それはそれで嬉しいことなのと同時に、自分がなりたいボーカリスト像が発見できたアルバムでもありました。

—『ANATOMIES』は、本当に聴けば聴くほど発見のできるアルバムですね。ファンの人たちがどんな感じ方をするのか、自分も楽しみです(笑)。

白井:ツアーのセットリストは悩みまくっています(笑)。大事に作ったアルバムなので。

—その全国ツアー〈無垢なる祈りの宿し方〉で、成長し化けていく曲がありそうですね。

白井:化かしたいとうことで言えば「レプリカ」ですね。音が迫ってくるような間奏セクションは、これまでのHaloになかったものです。どうやってステージで表現をしていこうかと思うし、ステージでどんなことになるんだろうと考えると楽しみですね。齋木には狂えるだけ狂って欲しいです(笑)。


渡井:「花飾りのうた」はドラマタイアップの曲で、その内容を汲んで書いた曲だったんですけど、内容としては「人と人の間の思いは何なのか」ということがテーマです。これは自分たちとお客さんの関係にも繋がることです。だからこそ「花飾りのうた」をライブでやることに意味を感じています。もう何度かライブではやっているんですけど、音源とは違う感覚が生まれているのを感じています。この曲がワンマンツアーでどうなっていくのか楽しみだし、自分自身でもグッときてしまうんだろうなと思います。

—アルバム『ANATOMIES』を聴いて、ワンマンツアーがどうなっていくんだろうと想像したくなりました。そんなワクワク感をファンの方や、新しいHalo at 四畳半のリスナーにも感じて欲しいし、感じてもらえると思います。


プロフィール

メンバー

渡井翔汰(Vo&Gt)、齋木孝平(Gt&Cho)、白井將人(Ba)、片山僚(Dr&Cho)
Vo&Gt渡井翔汰とBa白井將人が結成した前身バンドを経て、2012年6月にGt&Cho齋木孝平とDr&Choの片山僚が加入しHalo at 四畳半としての活動をスタート。インディーズ時には3枚のミニアルバムと1枚のシングルを発売、全国ツアー、イベントライブや大型フェスなどライブを中心に活動。感情を刺激するサウンドと心情に届くリリックが話題となり、インディーズシーンを超えて、認知度を高めてきた。2018年10月17日、日本コロムビア/TRIADよりメジャーデビューフルアルバム「swanflight」を発売し、2018年12月から2019年2月にかけて、全国9か所でのワンマンツアーを開催。
2019年7月には、自身最大規模のワンマンライブをZepp DiverCity TOKYOにて開催。
2020年1月にメジャー2ndフルアルバム『ANATOMIES』を発売し、2月から全国9カ所でのワンマンツアー「無垢なる祈りの宿し方」を開催する。


バンド名の由来

想像の域を遥かに超えた"Halo(=銀河の外側を取り巻く球状の領域)"と生々しさや現実を象徴する"四畳半"という2つの存在の間に位置するバンドであることを示し、物語性のある歌詞の中に生々しいメッセージを織り交ぜた楽曲を生み出す。

オフィシャルHP:http://haloat4johan.com/




山本雅美

ainone合同会社 代表/プロデューサー ビクターエンタテインメント/A-Sketch/KKBOX Japanで幅広く音楽ビジネスを担当、現在は音楽専門インターネットラジオのプロデューサーのほか、多摩川沿いの街で音楽フェスなどを開催。また写真家として国内・海外でのエキシビションに出展。

関連アルバム