追撃の始まり、9mm Parabellum Bullet10周年ツアー!

2月の武道館ワンマン公演2daysの大成功、7月には初のベスト盤リリースと、濃密に結成10周年イヤーを駆け抜ける9mm Parabellum Bullet。9月にスタートした全28公演の全国ツアー「Next Bullet Marks Tour 2014」が、12月11日(木)遂にファイナルを迎えた。翌日にthe telephonesとのファイナル公演が控えつつもワンマンとしては最終日となった12月10日(水)新木場STUDIO COAST公演をお届け! ツアーでは公演毎にセットリストが変更されていたそうだが、この日はメジャーデビュー曲「Discommunication」で幕開け。「Cold Edge」「Black Market Blues」「Answer And Answer」と、初のベスト盤『Greatest Hits』収録の代表曲群を出し惜しみなしに、4人は圧倒的な演奏技量と爆発的な勢いで畳みかける。 序盤からすでに沸点越えのオーディエンス 「今日も濃厚で最高な一夜にしようと思うので皆頼むぜ」という卓郎の声掛けの後投下された「We are Innocent」で、既にフルスロットル状態だった超満員のフロアも「煽り上等」といわんばかりの沸点越えに。滝(G)が奏でる「泣き」のギターがたまらない「Heat-Island」や、13曲目「命ノゼンマイ」などでも炸裂した中村(B)の飢えた獣のような雄叫びシャウトは、パフォーマンスに一層の緊迫感をもたらしていく。
「Termination」「オマツリサワギニ」と、昭和歌謡を思わせる背徳的な歌メロと卓郎の艶っぽい歌声で酔わせる曲を矢継ぎ早に繰り出した後「28公演あるツアーの中で1回も演奏してない曲です」と異色のウェスタン調インストナンバー「Wild West Mustang」を披露。重低音ベースを響かせながら中村(B)が乱舞した「Wanderland」、そこから一気に上昇気流を描くように放たれた「Supernova」~「ラストラウンド」からなる怒涛の展開はこの晩のハイライトの一つ。フロアのoiコール&ハンドクラップの一体感が圧巻で、この10年ライブを通して積み重ねてきたオーディエンスとバンドの信頼関係を祝福するかのような場面でもあった。
卓郎「音楽は戦いだ」 小休止の後、おもむろに卓郎は「『ライブに参戦する』って言葉があって、俺は音楽は戦争じゃないと思っていて、よくわかんない言葉だなと思っていたけど、俺が間違っていたなと思うようになって。音楽は戦いですよ。前向きなトラウマなんだと。皆も心に見えない傷を残して、ライブに集まってくると」とMC。「俺たちも昔格好いいバンドに出会って、恰好いいなと思っていたけど、実は『傷』だったんだよ。そこからある者はバンドを始めて、ある者は「なんだこれは、もっと欲しい」と言って足繁くライブに通ったり」。アーティストのこんな言葉に心を射抜かれたりするのも、ライブの醍醐味だと実感させてくれるような至言だった。 妖艶なミドルナンバー「命ノゼンマイ」でスタートした後半は、スウィング感で聴かせる「キャンドルの灯を」、「カモメ」と毛色が際立ったナンバーを連打。とりわけ「カモメ」の「身心ともに浸らせる」音像、雄大なスケール感と優美さにはゾクゾクさせられっぱなしで、バンドが培ってきた表現力の進化・深化も感慨深い。
9mmがこの10年で培ってきたもの 「いろんなインタビューで『この10年はどうでしたか』と訊かれて。大体『あっという間でした』で切り抜けました」と笑いを誘いつつ「ツアーがこの最終地に来れてよかったです。皆どうもありがとう!」と卓郎。「行けるか新木場ー!」との雄叫びに続けて、燃料投下よろしく「ハートに火をつけて」でフロア中から拳が突き上がる。「新しい光」ではマイクをフロアに預けシンガロング。続く「The Revolutionary」でも「変えるのさ」と満場の唱和。そこから「1、2、3、4」と合いの手が痛快に木霊した「Talking Machine」とフィナーレの予感漂う中でフロアの結束は最高潮に。ラストを飾ったのは、この日発売されたばかりの6thシングル「生命のワルツ」。かみじょう(Dr)の鬼気迫る爆裂ドラムなど振り切れたヘヴィネスで圧倒するこの曲は、「追撃の狼煙」のように響く。10周年を経てのバンドの次の一手を今回のツアータイトルそのままに強烈に刻みつけた。
(Photo by 橋本 塁(SOUND SHOOTER) )