KKBOX Music Awardsで感じた台湾の音楽ファンのアティチュードと文化的ハブとしての台湾の存在

KKBOX Music Awardsで感じた台湾の音楽ファンのアティチュードと文化的ハブとしての台湾の存在
KKBOX編集室
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1月24日にアジア最大級の音楽アワード『第11回KKBOX Music Awards』が開催されました。この日は日本でも大寒波に見舞われていることが報道されていましたが、台北も気温がぐっと下がり、まれに見る寒さに。そんな中、元気で若い台湾の音楽ファンが会場となった台北アリーナに集い、最高のパフォーマンスの数々を堪能しました。
黃子佼がMCを務めるステージに登場したのは、台湾・香港・シンガポール・マレーシア・日本・タイでサービスが展開されるKKBOX上での再生回数などのデータをもとに集計され選ばれた「Top 10 Artist」「Best New Artist」 「Best Indipendent Artist」に加え、ゲストアーティストを含めた全15組。 ▼林俊傑 (JJ Lin)
冒頭はシンガポールの林俊傑(JJ Lin)がアリーナ席の一角でストリングス隊とともに繰り広げた美しいバラードで幕を開けると、2曲目以降はダンサーをバックに高揚感のあるダンサブルなナンバーを披露。 ▼ファン・ウー (吳汶芳)
その後は、台湾のボーイズグループで昨年浜崎あゆみともコラボレーションしたSpeXial、「Best New Artist」に選ばれた吳汶芳(Fang Wu)、さらにタイからのゲストTor+などが登場。そして、楊丞琳(Rainie Yang)が歌姫然とした佇まいで壮大なバラードを、さらに曾佩慈(Pets Tseng)が軽快なポップナンバーからミディアムなナンバーまで歌い上げ、それぞれ台湾における人気女性アーティストとして素晴らしいステージを見せてつけてくれました。 ▼SEKAI NO OWARI
つづいては日本からSEKAI NO OWARIがゲスト出演。昨年10月に台湾で2日間のワンマンライブを成功させていることもあって、KKBOX Music Awardsでの反応も抜群です。また、わりとスタンダードなソングライティングに則った楽曲が演奏されることの多いKKBOX Music Awardsにおいて、オリジナリティの高い唯一無二な世界をもつ「SOS」「ANTI-HERO」「RPG」の3曲はより際立ってそのオルタナティブな雰囲気を発揮していたと言えるでしょう。 ▼Apink
さらにSEKAI NO OWARIの盛況もさることながら、つづいて登場した韓国からのゲストApinkへもどよめきが。特に女性ファンの声が大きく、K-POPのアイドルグループ人気がここ台湾でも根強いことをうかがわせました。 ▼A-LIN
後半は海外勢に負けじと台湾を代表するアーティストが珠玉のパフォーマンスを立てつづけに展開。特に勢いがあったのが台湾の少数民族・阿美族出身で「天生歌姫」の異名を持つ実力派ボーカリストA-LIN。その天を突き破らんほどの類まれなる歌唱力とすべてを飲み込んでいくようなエネルギーに満ちたステージングはもはや錚々たるアメリカのディーバをしのぐほど迫力を感じさせ、台北アリーナは最初のクライマックスに。 ▼ビー (畢書盡)
そして、韋禮安(William Wei)のホーン・セクションを導入したジャジーな楽曲や台湾×韓国のハーフの畢書盡 Biiによる文字通りC-POPとK-POPのハイブリッドとでもいうべき存在感など台湾のシーンでもジャンルフリーで粒揃いな才能が台頭してきていることを印象づけてくれました。 ▼ヨーヨー・シャム (岑寧兒)
「Best Independent Artist」に選ばれた香港の岑寧兒(Yoyo Sham)が清廉な歌声によるアコースティックなナンバーを聴かせてくれた後は毎年KKBOX Music Awardsを賑わせている丁噹(Della)がビヨンセの「Crazy In Love」のカバーをはじめこの日も趣向を凝らしたステージでオーディエンスを沸かせ、その盛り上がりをつづくMP魔幻力量(Magic Power)へとバトンタッチ。 ▼マジック・パワー (魔幻力量)
MP魔幻力量(Magic Power)はメインボーカルのひとりである嘎嘎(ガーガー)がスキャンダルをきっかけに脱退することが決まっており、なんとこの日が6人での最後の出演に。本人たちにとってもファンにとっても非常に重要な瞬間になったことの日のステージ。いつも通りEDMを大々的に導入したバンド・サウンドで直情を刺激する苛烈極まりない激しさを生み出しつつ、廷廷(ティンティン)がピアノを弾きながら繰り広げる楽曲では勢いだけでない音楽性の高さをのぞかせました。すでに日本でもデビューを果たしているということで、メンバー脱退という苦境を乗り越えて、ぜひさらなる活躍を期待したいところです。 ▼ジャム・シャオ (蕭敬騰)
最後は台湾だけでなくシンガポールや香港、マレーシアなどでもランキングの上位に君臨する人気と実力を兼ね備えた蕭敬騰(Jam Hsiao)がビッグバンドを従え、イベントの締めくくりに相応しい豪壮な歌声でその場にいた全ての人を魅了。ラストの曲ではMCの黃子佼も加わり、煌びやかな雰囲気の中で大団円を迎えました。 今回のKKBOX Music Awardsを通しての発見は、台湾の音楽ファンが実にホンモノを見極める審美眼に長けているということ。音楽が本来持つ純然たる力、それを生み出す美しくも荘厳な歌声やメロディをピュアに感知する台湾の音楽ファンのこだわりを色濃く感じることができたというものです。 また、アジア各国のアーティストが集結したこのKKBOX Music Awardsを見てみるだけでも、台湾という場所がすでに文化的なハブとして重要な役割を果たしており、今後さらにその影響力が大きくなっていくのではないかという予感を滲ませるものになりました。アジアの音楽シーンの明るい未来に今後も注目です。
KKBOX編集室
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