音が踊りだす！まっすぐなツアーファイナル＠東京国際フォーラム

7月19日、NICO Touches the Walls TOUR 2015 “まっすぐなツアー”のファイナルが東京国際フォーラムにて行われた。各曲のアレンジが光る「楽しい音」のライブだった。

ライブ1曲目の定番は、バーンとバンドが入ってきて、テンションを一気に盛り上げることが多い。でも、今回の1曲目の幕開けは何と弾き語り。「雨のブルース」でガブリと心をわしづかみにされてのスタートだった。途中からバンドが入ってきて音が重なっていくのだけれど、あくまでも優しく、歌声に寄り添うような音。NICOの世界に吸い込まれてしまう1曲目だった。

今回のツアーは、ベストアルバム『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』のリリース以来初めて行うものであったため、ベストアルバムを携えたツアーとしての位置づけもあったという。そんなわけで2曲目の「TOKYO Dreamer」からはシングル曲がずらり。それに加えて「N極とN極」、「いいこになっちゃいけないの」などアッパーな曲が続く。

中盤戦のスタートは「かけら-総べての想いたちへ-」からスタート。そこからソウル・シティポップ風ナンバー「エトランジェ」、ロックバラード「君だけ」といった聴かせる曲が、聴かせるアレンジで並んだ。しっとりと歌に聴き入る空気が流れる。

人気/定番の楽曲たちにさまざまなアレンジが加えられて、ライブでは新しい曲として生まれ変わる。後半のパフォーマンスはそんなNICOが印象的。 「夏の大三角形」ではVo光村がまたアコギを取り出し、さらにさわやかな曲となったと思えば、「ニワカ雨ニモ負ケズ」では間奏で4人のセッションがフィーチャーされ、ライブバンドのストレートなかっこよさが前面に押し出されていた。 そしてツアータイトルにもなっている「まっすぐなうた」に続く。ツービートのアッパーな曲で会場の盛り上がりは最高潮に。続くは新曲「渦と渦」。こちらも激しいギターの音が印象的な疾走感満開のロックナンバーだ。

興奮したまま本編最期の「天地ガエシ」に。ライブでおなじみとなっているアウトロのリピートがとにかく楽しい。これでもかと、何回も繰り返す。本当に何回やったんだろう……。 アンコールでは「手をたたけ」「THE BUNGY」「口笛吹いて、こんにちは」の3曲をアコースティックバージョンで披露。ここでもアレンジが光る。 「口笛吹いて〜」では、イントロの口笛を会場の全員で行ったが、口笛が吹けないと言う光村が、代わりに「ラララ」と歌いはじめると、結局会場も合唱に。そんなところもまたすごくいい。 最後に、９月２日に新曲「渦と渦」をシングルとしてリリースすることと、大阪城ホール（12月23日）、日本武道館（2016年1月8日）でライブを開催することが発表された。 曲を演奏するだけではない。聴かせるアレンジ、踊るアレンジ、楽しむアレンジ……その日その日のアレンジで生まれ変わる楽曲たち。「ライブ（生）」だからこそ楽しめるパフォーマンスばかりだった。

世界が広がっていくような開放感が気持ちいい1曲。4曲目というライブ序盤に演奏したにもかかわらず、その開放感がライブ終了まで残った。2009年リリース。