Coccoの現在。

Coccoの現在。
齋藤奈緒子
齋藤奈緒子

1997年、ふと耳にした<あなたのお姫様は/誰かと腰を振ってるわ>というフレーズにただならない何かを感じ、気づけばCoccoの虜になっていた人は多かった。 沖縄出身のシンガーソングライター、Coccoは、2ndメジャー・シングル「強く儚い者たち」がJALのCMタイアップ曲となり、36万枚を売り上げてブレイク。その後も、彼女にしか書けない内面をえぐり取るような詞と、暴力的なまでにへヴィなギター・サウンド、少女の透明感とケダモノ性が同居した不思議な歌声で、多くのリスナーの心に爪痕を残した。 一度は音楽活動を休止したものの、その後絵本や小説の執筆、映画主演、そして幼少のころからの夢だったバレエダンサーとして主演した、2014年の舞台「ジルゼの事情」も大きな話題になった。そんな多方面の活躍の中で、音楽においても、比較的ゆったりとしたペースで新曲を発表し続けている。 この『パ・ド・ブレ』は、2014年3月、3年半ぶりにリリースされたCoccoの最新アルバム。バレエ用語であるタイトルは「繋ぎ・間」を指している。エッセイ集と同名タイトルの「東京ドリーム」、「キラ星」といった配信シングルのほか、ライヴでのみ発表されていた「夢見鳥」、そして北原白秋作詞の童謡「ゆりかごのうた」のカヴァーなど全6曲を収録。 かつてのような烈しさは一見影をひそめていながら、決して丸くはおさまっていないのが彼女のすごいところ。ごく自然体でおだやかなメロディーの間に<どうやったって/塗り替えれないの/どう殺ったって>(「夢見鳥」)と、切れ味のいいドスを光らせてくるのがたまりません。そのいっぽうで、「キラ星」の<逃げ道も道だって>というフレーズからは、大人の柔軟性がにじんでいたり。 この「優しいのに刺激的」という年齢の重ね方は、かつてCoccoの痛みに惹き付けられてやまず、そして今もちょっと生きづらいのを隠している大人にも、ちょっとしたヒントをくれる。生えている爪を隠す必要はないけれど、なんでも笑って受け入れる懐は持ちなさい、と言われているような気になるのである。

齋藤奈緒子
齋藤奈緒子

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