ぽちゃカワなだけじゃない、メーガン・トレイナーのここがスゴイ

私は低音のベースなのよ、この重さこそが魅力なの――。自分のぽっちゃり体型を、クラシックなドゥーワップ・スタイルに乗せて、前向きにキュートに肯定したデビューシングル「オール・アバウト・ザット・ベース」が、8週連続全米1位&世界50ヶ国でNo.1、Youtube再生回数はなんと7億回超え(2015年3月現在)!この4月には来日も決定している、弱冠21歳のシンガーソングライター、メーガン・トレイナー。彼女の満を持しての1stアルバムが、この『タイトル』である。 メーガンは11歳から曲を書き、ティーンの頃からプロのソングライターとして頭角を表してきた。彼女の曲を強烈に印象づけるのは、まずそのレトロでソウルフルなサウンドだ。「オール・アバウト・ザット・ベース」で使われていたドゥーワップは、50年代~60年代にかけて流行した、「ドゥーワッパッ」とか「シュビドゥビ」といったコーラスが入るスタイル。ザ・プラターズの「オンリー・ユー」とか、日本だとシャネルズの「ランナウェイ」でおなじみのあれだ。また、インパクトのあるサビの反復、時々入る「ハッ!」という掛け声はジェームス・ブラウン的。これらは彼女が子供のころ、父親の影響で50年代のブラックミュージックに親しんでいたのがルーツになっている。ここから吸収したキャッチーさやサウンドメイキングが、『タイトル』でも活かされており、シングルカットされた「ディア・フューチャー・ハズバンド」などはその象徴的存在といえる。 また、「オール・アバウト~」を世界中に知らしめたのが、「太っててもいいの!あなたはそのままで魅力的なのよ!」というメッセージ。この曲は、彼女が他の人に提供するつもりで書いたのを、エピックレコードのCEO、LA・リードが「これは君が自分で歌うべきだよ!」と推したエピソードがある。メーガンは、若いころから自分の体形が悩みで、「鏡を見るのが怖かった。だって二重あごなんだもん!ポップスターになろうなんて夢にも思わなかったわ」と語っている。でも結果的に、そんな彼女が歌ったからこそ、この曲はたくさんの悩める女子に支持された。『タイトル』でも、恋人のつくウソをズバッと見抜く「リップス・アー・ムーヴィン」、女友達の彼を「あんたみたいないい子にはふさわしくないわっ!」と斬る「ノー・グッド・フォー・ユー」など、等身大のリアルなシチュエーションがてんこ盛り。でもそれを、あくまで明るくハッピーなポップ・ソングに昇華しようとするその時に、メーガンの曲独特の魅力と強さが生まれているのかもしれない。