第一話 90年代後半、切ない男の隠れた名曲たち

第一話 90年代後半、切ない男の隠れた名曲たち
海老沼邦明
海老沼邦明

もうずいぶん長く音楽ファンをやっておりますが、なんだかんだで「やっぱり歌が好き」という境地に達しました。ということで、「歌」「声」「メロディ」に焦点をあてて極私的名曲たちをピックアップしていきます。最初は90年代男性ボーカル編です。アルバム収録の隠れた名曲3曲を!

真心ブラザーズ - I will Survive

ゆるり、やっぱり、ふわり フォーク時代の真心にも名曲はあるのだけれど…。本当にジャンルを軽々と飛び越えていく人たちで、フォークのあとにアルバム『KING OF ROCK』でファンクロックになって、その後にはちょっとだけソウル風のメロディアスなポップソングを歌うようになる。その珠玉のポップソングの集大成がこのアルバム。とくにオススメは5曲目の「ポプラ」という曲で、倉持陽一のフツーなんだけれども、フツーじゃない、綺麗な声でもダミ声でもなくて、それでいて体をグルグル回って、とにかく独特な声がゆるりと行き渡る名曲です

GREAT3 - Metal Lunchbox

うねり、といって、さらり 片寄明人(Vo、Gt)、白根賢一(Dr)、高桑圭(Ba)によるロックバンド(2012年に高桑は脱退し、janが加入)。まさに名は体を表すように、GREAT3はメンバー3人の音が時に力強く、時に繊細に絡み合う。特にディスコやファンクの横ノリがオシャレで気持ちよく、1996年発売のこの2ndはディスコGREAT3の真骨頂。名盤として語り継がれる1枚だ。ボーカルに注目するなら間違いなく4曲目「Little Jの嘆き」。線の細い声が切ないメロディにピッタリ、歌詞にも男のいじらしさ、女々しさが出ている。。

エレファントカシマシ - 明日に向かって走れ-月夜の歌-

ずばり、でも、しっぽり 「今宵の月のように」のヒットで、当時邦楽アルバムチャート1位になった作品。だから隠れた名曲というわけではないけれども、90年代男性ボーカルといってこのバンドを外すわけにはいかないので。宮本浩次の“ずばり”な歌声が特に映えるのは9曲目「月夜の散歩」。男らしいのだけれども、どこか不安定な繊細さをたずさえた切ない1曲です。バックに流れるのはアコースティックギターのみ。バンドサウンドのエレカシもいいけれど、エレカシのメロディの美しさ、宮本浩次の声の魅力をじっくりと聴きたいなら間違いなくこの曲です。

海老沼邦明
海老沼邦明

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