祝来日! ジャネットの3枚 -森田美喜子の「あれもこれも聴きたい」

祝来日! ジャネットの3枚 -森田美喜子の「あれもこれも聴きたい」
森田美喜子
森田美喜子

今秋、およそ14年ぶりとなる来日公演が決定しているジャネット・ジャクソン。2008年までに11枚のアルバムを発表してきた彼女だけに、アルバムごとにいわゆる“ベスト盤から漏れる”名曲も多数です。各年代を代表する傑作から、代表曲+今あらためて聴くと先鋭性が際立つ“隠れ名曲”をピックアップしながらご紹介しましょう。

Janet Jackson - Rhythm Nation

代表作といえばこの作品 1400万枚以上を売り上げた1989年発表の代表作。秋の来日公演でも収録曲が何曲か披露されるでしょう。リズムの刻み方、コーラスワークなど聴きどころ満載で、当時のジャネットや周辺クリエイターたちのクリエイティビティの神がかった凄さにひれ伏すのみ。音の鳴りがコテコテの前半よりも、メロディも聴かせる12曲目、14曲目、17曲目、19曲目あたりが2015年の気分にフィットします。安室奈美恵、宇多田ヒカルらもジャネットを敬愛しており、後進の道しるべになってきたという点でも感動的な作品です。

(YouTube :JanetJacksonVEVO )

Janet Jackson - The Velvet Rope

アルバム単位で聴いてひたすら浸っていたい傑作 ディスコグラフィーの中でも異色の、メロウでオーガニックな一作。セールス的には90年代の代表作といえば『Janet.』ですが、作品の統一感ではこちらに軍配が上がります。繊細な歌唱と官能的な音色の2曲目から瞬時に作品の“色”が感じ取れます。サンプリング主体の4曲目(元ネタはジョニ・ミッチェル)や9曲目(元ネタはアーチー・ベル)の90’s感もたまりません。プロデューサーであるジャム&ルイスの音響美に酔いしれる13曲目は、ArcaによるFKA twigsの曲などがポピュラリティを得ている今こそ聴いておきたい最高の1曲です。

(YouTube : JanetJacksonVEVO)

Janet Jackson - All For You

メガヒットポップアルバムにひそむ前衛性に震える 3曲目、18曲目など10年以上前の曲とはいえ、いまだ記憶に新しいメガヒットを収録した2001年発表の8thアルバム。ジャム&ルイスの真骨頂ともいえる絶妙のバランスでコントロールされた、解像度の高いサウンドプロダクションがとにかく気持ちいいです。とびきりのパーティチューンと、メロウなミドルナンバーが半々の飽きさせない構成に。歌の行間、音の隙間といった“音の空白地帯の快楽”を味わう、今でいうダブステップ的なリズムを、流麗なポップソングへと昇華させた8曲目、9曲目の時代の先取り感はすごいです。

(YouTube : JanetJacksonVEVO)

森田美喜子
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