ロックで踊れ! - 海老沼邦明の「やっぱり歌が好き」
そもそも「ロック」と「ダンス」というのは、海外ではあまりつながらないとされている(らしい)。そこをつなげたのが90年代末に流行した「ビッグビート」だ。テクノとロックを融合させた、まさに“踊るため”のロック。それが日本でどんなふうに消化されていったのか……などとむつかしいことは考えずに、さぁ踊りましょ。
ビッグビートって何だ? ビッグビートといって、この人たちを外すわけにはいかないので。アルバム『ON』は2006年にリリースされた作品。ビッグビートということでいえば、初期のアルバム『OUT LOUD』(1998年リリース)などを紹介すべきなのかもしれない。『ON』はそれらよりもロックで、ある意味でポップ。生のサウンドがやや強調された作品だ。個人的にはこのデジタルと“汗”のバランスがすごく好きだ。“ロックで踊る”というのはきっとこういうことを言うんだろうな。
デジタルって何だ? 日本では、ビッグビートはデジロックという言葉で紹介されもした。デジタルな音を取り入れたロックということなんだろうけど、すごく曖昧。じゃあ、このバンドも「デジロック」に入れちゃおうということで。ロックというよりパンク、ハードコアなんだけれども。何はなくとも人間がいる感じがいい。デジタルな音はあくまでもそれを補強するだけ。う、文字数が足りない。とにかく聴いて、跳ねてください! (※この作品はKKBOXでは曲がいくつか抜けて収録されているので、あわせてベストアルバム『1997-2004』も聴いてみてほしい)
ロックスターって何だ? この流れでUVERworldが出てくると、「ふぁ!? 」となる人もいるかもしれない。彼らの作品には、いわゆる歌モノもあるし、王道ロックスターのイメージがある。でも、だからこそできるデジタルサウンドの取り入れ方があるはず。その真骨頂がこのアルバムだ。メインにサブにと効果的にデジタルサウンドを散りばめる、彼らのロックがルーズにならずタイトでいられるのはこの効果も大きい。でもちゃんとロックビートで聴かせてくれる。クリアなボーカルもそのままで、まさにロックスター。そんなデジロックで踊るのも大歓迎。