人生の一瞬の機微を音に恐るべきバンド・Radiohead

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KKBOX編集室
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「No more noise」。口に人差し指をあてて「静かに」と言わんばかりに、先述のMCをするのは、レディへことReadioheadのトム・ヨーク。2013年に来日したフェスの時に頻繁にオーディエンスに向けて発した言葉だ。もちろんそれに刺々しさはない。「この空間で共に最高の音楽をつくろう。最高の音楽で空間をつくろう」とうながしているようだった。 本来、そんなことを言えば嫌われたり誤解されたりすることもある。しかし、彼らがゆるされるのは、すべての音に意味があることをファンも共有できているからだろう。世界最高のロックバンドのひとつとして評価される音楽の魅力は、人間の一瞬の機微を歌詞ではなく、音に集約できるところにある。大ヒット曲となった「Creep」はもはや彼らの現在にはない。あれはバンドとしての青春時代の曲で今の彼らはもっと成熟し、複雑化している。 そうなってくると自分たちの世界観に埋もれているのがクリエイティブの常なのに、Radioheadはひとつ上のレイヤーの音楽を世界中のリスナーに響かせることができるのだからすごいとしか言いようがない。だからこそ、同じミュージシャンには尊敬と嫉妬の両方を集めてしまう。本人たちはそんなことはどこ吹く風だが。 このアルバム『Com Lag: 2+2=5』は、オリジナルは2004年に発表された。同年の来日公演を記念し、日本オリジナル企画のミニ・アルバムとして限定発売されたもの。『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』からのシングル「2+2=5」をリード・トラックに、国内未発表だったライヴやシングルBサイドなどの音源を収録している。こうしてみてみると10年も前にこの領域にたどり着いているのだから彼らが今どんな音楽をつくっているのか、まるで新しい数式を解明するノーベル賞候補を見るような気分にさせられる。あ、だから「2+2=5」なのだろうか。

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