CDが最も売れていた時期に、最も売れていた曲

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海老沼邦明
「CDが売れなくなった」という言葉は、もう聞き飽きるぐらいに聞いた。もちろん「CD」の売り上げがすべてというわけではないのは百も承知。CD全盛のころから比べると、ネットダウンロードなど、圧倒的に「聴き方」が変わってきているのだから、CDそのものが売れる売れないというのは、もはやあまり意味をなさない議論なのかもしれない。

とまあ、年度末が近づいてきて、2014年の業界の数字がちらほらとあがってくるなかでいろいろなことを考える。音楽業界ということを考えると昨年2013年に日本レコード協会が発表した数字では、2012年と比較してCDの売り上げも増加。配信楽曲の成長もあり、レコード業界全体としても盛り返した、というのが現状だそうだ。ただし、この場はそういうことを考えるところではないので、くわしい話は置いておくとして、ともかく「CD」の売り上げそのものは、まだまだ「あの頃」に届かないというのは事実だ。

「あの頃」というのはいつかというと、1990年代中頃から1998年まで。総販売枚数のピークは1998年をピークに、以降は減少し続けている。よくよく考えてみると、「あの頃」が異常だったのではないかと思えるぐらいの数字。例えばミリオンセラーで見てみると、1995、96、98年には20作以上ミリオン達成作品が出ている。これは市場規模から考えたらとてつもない数字だ。

そのピークの1998年に最も売れたシングルはGLAYの「誘惑」。もちろんミリオン。ちなみに言うとこの年は14位までがミリオンセラー作品となっている。GLAYはこの年、アルバムでも「pure soul」で220万枚以上のセールスを記録している。そこでGLAYを聴きなおしてみる。懐古趣味のつもりはないけれども、やっぱりいい。キャッチーなメロディがまず耳に残る。それからメタルっぽい音、リフを取り入れた、いわゆる「J-ROCK」が実に軽やかに流れてくる。いま聴いてもまったく古くない。もちろんこの頃のGLAYの曲が「完璧に完成された」曲だとは言わないけれども、いまと変わらないものが確実にそこにはある。それは間違いない。

ちなみに、1998年のランキングをざっと見渡してみると、SMAP、B'z、安室奈美恵など、現在でもトップを走るアーティストがずらりと並ぶ。最初に言ったように、ツールが変わってきているのでCDの売り上げだけを取り上げて云々するのは、もはや意味がないのかもしれないけれど、それでも「あの頃」のJ-POPは激動で、多様で、クオリティが高かったのかななどとも思ってしまう。やはり懐古趣味なのだろうか。
海老沼邦明

大学在学中から出版社に勤務。 主に小説、映画関連の書籍の編集を担当していた。 2007年からフリーランスで活動を始める。J-POPを中心とした音楽関連の記事、アーティスト関連本を手がける。 趣味は野球(やる方)とマンガ(読む方)。

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