最新ラブソングから見るSNS世代の女子の本音

最新ラブソングから見るSNS世代の女子の本音
坂井彩花
坂井彩花

時代の変化と共に人が変わっていくように、ラブソングも日夜変化を続けています。昔は控えめで奥ゆかしいのが日本女性の美徳とされてきましたが、最近だと「肉食女子」なんて言葉があるように、積極的な女性を尊重される風潮も高まっています。そこで今回は、SNS世代を生きる女子の本音が描かれたラブソングをピックアップ。そして、歌詞における現代女子の感じ方や行動などを読み取っていきたいと思います。

失恋にも屈しない 気高い現代女子への応援歌

西野カナ「Girls」  花のように強く  風のように優しく  雨の日も美しく  それが女の子なの 女の子の気持ちを常に代弁して届け続けている西野カナ。この「Girls」は現代を生きる女の子のスタンスを映しだしていると共に、彼女たちを応援する1曲となっています。 SNS時代の女子というものは、本音を友達と共有するのが苦手で常にかっこいい自分でいなければと思いがち。それは冒頭の“強く”“優しく”“美しく”というフレーズにも表れていますね。 悲しいことは忘れるの  甘い甘い夢を見て  それでもやる時はやるの  それが私たちでしょ どんなに気高く生きていても、人生は思うようにいかないもの。時には失恋もしたりと悲しい現実にも直面します。でも、そんな悲しさにかまってる暇なんてないんですよね。現代女子ってやりたいことも、成し遂げたい野望も本当にたくさん。悲しいことを嘆いてる暇があるなら“甘い甘い夢を見て”、それを叶えるために“やる時はやる”。悲しい失恋を経験したとしても、もっと素敵な人に出会うために自分をアップグレードしていくのです。  胸の奥に秘める Fire  何度でも立ち向かう Fighter  怖くても大丈夫  You can be stronger  You can try, you can shine, you can fly 人から見えないところで、こっそりと戦って。涼しい顔をしているように見えても、女の子はみんな現実と戦っている“Fighter”なんですよね。 「誰かを好き」という思いも小さい胸の奥にギュッとしまいこんで、絶えない炎を燃やし続けている。たとえハプニングがあってもチャンスに変えて、ライバルが出現しても負けずに自分を磨き続けて。夢みる女子を歌詞の最初から最後まで、抜かりなく応援しつくすリリックが実に西野カナらしい1曲に仕上がっています。

音楽を通して“精一杯”伝える好きの気持ち

あいみょん「君はロックを聴かない」  少し寂しそうな君に  こんな歌を聴かせよう  手を叩く合図  雑なサプライズ  僕なりの精一杯  埃まみれ ドーナツ盤には  あの日の夢が踊る  真面目に針を落とす  息を止めすぎだぜ   さあ腰を下ろしてよ 音楽を通して“君”と“僕”が描かれているラブソング。このSNS時代にミュージックプレイヤーでなく、あえて“ドーナツ盤(レコード)”をチョイスしてくるあたりが憎いなと思うわけです。ここに登場する僕はきっと「うちにレコードあるから、聴きにこない?」とか言って、精一杯に君を誘ったんですよね。若いうちだけ持ちうることができる恋愛への精一杯って、すごく甘酸っぱい…!  僕の心臓のBPMは  190になったぞ  君は気づくのかい?  なぜ今笑うんだい?  嘘みたいに泳ぐ目 婉曲的な表現がとても上手なあいみょん。そのセンスは心臓の高まり1つにも表れています。ただ単に心拍数があがったと描くのではなく、“僕の心臓のBPMは190になったぞ”とすることで、今回のロック音楽というテーマに寄り添わせると共に、具体的にどれくらいの速さなのかを伝えています。しかし、BPMが190ってかなり早い…。1秒間に3カウントよりも速いテンポですからね。  君はロックなんか聴かないと思いながら  少しでも僕に近づいてほしくて  ロックなんか聴かないと思うけれども  僕はこんな歌あんな歌で  恋を乗り越えてきた ロック音楽が彼女の趣味じゃないと知りながらも、僕に“近づいてほしくて”“寄り添ってほしくて”精一杯に流すロックミュージック。まだ「好き」と言えないけれど、多くの日々を一緒に越えてきた音楽を聴いてもらえれば、気持ちに気づいてもらえる気がする。今より前に進める気がする。そんな望みが、繰り返されるリリックの中にこれでもかと詰められていますね。

いつの時代も「必ず最後に愛は勝つ」

欅坂46「手をつないで帰ろうか」  何かを誤解させてしまったのかな  みんなに冷やかされて 首を振っただけ Oh  だって 誰にも言ってないだろう  君のことあれこれ聞き出そうとするから  そう面倒くさくて興味ないふりをして  僕はずっと ソッポを向くしかなかった  だけど 心は集中して君のことを気にしてた この曲で描かれているのは、ラブラブなのを隠して秘密で付き合っているカップル。昔以上に冷やかされることが面倒くさい現代だと思うんです。だってSNSとかで、すぐに噂って回っちゃうじゃないですか。そういうのは嫌だし、別に公にしなくても自分たちが幸せならいいかなっていう1つの恋愛の形。この歌詞では“面倒くさくて”なんて書かれていますが、本当は恥ずかしいのを隠したくて“首を振って”しまったんですよね。そういうところも含めて、青春の甘酸っぱさが詰まっています。  手を繋いで帰ろうか  誰かに見られてもいい  堂々と街を歩いて  見せびらかそうよ さっきまで付き合っているってことすら否定していた感じなのに、いきなりサビで大胆になってしまうのもいいですよね。“誰かに見られてもいい”って羞恥心よりも愛が勝った瞬間だと思うんです。「あんな態度をとって、ごめん」なんてフレーズは一言もでてこないんですけど、この“手を繋いで帰ろうか”こそそれを代弁しています。  言葉じゃわからないのなら  こうするしかないね  今ここで  キスをしよう 言葉で通用しないなら、行動で示すしかない! にして、とても大胆ですよね。街角でキスって…! そんな光景を街角で見かけたら間違いなく直視しちゃう自信がありますけど、それくらいの必死さがここの歌詞には表れています。“手を繋いで帰ろう”という「ごめんね」を提案してみても、受け入れてもらえなくて強行突破で“罪滅ぼし”のキスをして好きと伝える感じ。若さ溢れる勢いある行動、素敵です。 めんどくさいことは嫌いだし、気持ちを伝えるのも苦手だし、でもかっこよく生きていたいしというのが現代を生きる女子の本音。SNSが発達したことにより繋がりすぎてしまった私たちは、昔では考えもしなかった弊害にまでおびえて恋愛下手になっている印象があります。しかし、それでも挫けずに恋愛と真っすぐ向き合う姿は、今も昔も変わらないのではないでしょうか。現代を生きる私たちと同じ目線に立ったラブソング、恋のお守りにいかがですか?

坂井彩花
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