歌詞に注目、ドリカムの裏名曲

歌詞に注目、ドリカムの裏名曲
柴那典
柴那典

吉田美和の独特の詩世界に注目した、ドリカムの裏名曲プレイリスト。

多くの人たちの共感を集めJ-POPの歴史に残る名曲を数々残しているドリカムにも、意外にディープでドキっとする曲が多い。ポジティブでおおらかな愛や、恋のかけひきや、健気な思いや、さまざまな視点から描かれたドリカムの歌詞の世界。テーマやモチーフ別にまとめてプレイリストを作ってみるのもオススメです。


「ピアスも開いてない私のからだを 自由に行き来して」

「みつばち」

裏ベスト盤『私だけのドリカム』にも収録された、ドリカム屈指のエロティックな名曲。何しろ歌い出しがすごい。《ビキニで焼けてるしましまの背中 あなたが撫でながら“みつばちみたいだ 刺すなよ”って笑う あなたの方が刺してるくせに》。この2行だけで夏の情事の真っ最中の光景が鮮やかに伝わってくる。「一度刺すと死んでしまう」というみつばちの習性を恋の痛みや不安に重ね合わせた歌詞の描写が刺激的。サンプリングのビートを前面に押し出した曲調もあって、思わずドキッとするような一曲になっている。


「満たされていくこの感じが大好き」

「SPOON ME, BABY ME」

『私だけのドリカム』の「MIWA DISC」には前述の「みつばち」も含めてセクシーで官能的な楽曲がいくつか収められているのだが、《あなたの愛がROCKして 押さえられなくなる感じが大好き》と歌う「SPOON ME, BABY ME」もその一曲。こちらは情愛に満たされる幸福感をストレートに歌い上げている。「SPOON」とは英語のスラングで、スプーンを重ね合わせた形のように、男性が女性の背後から抱きつくようにして寝ること。この曲でも《うしろから包み込まれてるだけで 何もかも話してしまいたくなる》と歌われている。


「ガラスの奥で叫んでいても 誰も気づかない」

「眼鏡越しの空」

歌の主人公は、眼鏡をかけた女の子。≈憧れる「あなた」への思いを歌い上げる曲なのだが、情景が鮮やかに浮かぶのが《図書館で借りた 空の写真集 カードにつよくてきれいな あなたの名前がある》という一節。ちょっと地味めでさえない女の子も、思いを寄せる「あなた」も、図書館で空の写真集を借りるようなタイプなのだと伝わってくる。勇気を出してコンタクトレンズに変えて思いを伝えようという、爽やかな恋愛の一幕が伝わる。


「はっきり言ってかんたんなサラダ」

「あなたにサラダ」

吉田美和が高校生の時に書いた曲が原型になっているという初期の名曲。《夕方もう6時を回り 閉店まであと30分足らず デパートは夕飯の買い物の おばさま達でごった返す》という歌い出しから、レタスとトマトを買って、キャベツを刻んでリンゴを切って、ドレッシングをかけて……と「あなた」の帰宅にあわせてサラダを作る描写がそのまま歌詞になっている。情景がそのまま浮かぶという意味では、ドリカムの数々の曲の中でも屈指の一曲。『ATTACK25』(2014)には、続編の「あなたにサラダ以外も」も収録。こちらも長年愛を育む夫婦の描写になっていて素敵。

柴那典
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