THE YELLOW MONKEY - 30年の軌跡を3分間で辿る

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森朋之

THE YELLOW MONKEYが2019年4月17日、実に19年ぶりとなるニューアルバム『9999』をリリース。2004年の解散、2016年の再集結を経て届けられた本作は、さまざまな出来事と葛藤を乗り越え、メンバー4人の才能と情熱が集結した最高のロックアルバムに仕上がっている。日本のロックの新たな名盤と呼ぶべき『9999』のリリースに際し、これまでのTHE YELLOW MONKEYの軌跡を振り返りたい。

出典元:YouTube(THE YELLOW MONKEY)

吉井和哉(Vo, G)、菊地英昭(G)、廣瀬洋一(B)、菊地英二(Dr)によってTHE YELLOW MONKEYの活動がスタートしたのは1989年。1970年代のハードロック、グラムロック、日本の歌謡曲などをルーツにした音楽性、グラマラスかつダイナミックなバンドサウンド、ド派手なステージングによって徐々に支持を拡大した4人は、1992年5月に1stシングル「Romantist Taste」でメジャーデビュー。さらに同年6月に1stアルバム『THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE』を発表した。

出典元:YouTube(THE YELLOW MONKEY)

当初はアングラでディープな世界観のロックバンドというイメージもあった彼らは、シングル「Love Communication」(1995年)でブレイクのきっかけを掴み、キャッチーな路線に踏み出した4thアルバム「smile」がオリコンアルバムチャート4位を記録。同年4月に初めて東京・日本武道館でのライブを成功させるなど、大きな飛躍を遂げた。

さらに「追憶のマーメイド」「太陽が燃えている」などのヒット曲を次々と放ち、5thアルバム『FOUR SEASONS』でついにオリコンチャート1位を獲得、名実ともに音楽シーンを代表するロックバンドの座を手に入れた。1996年には、彼らの代表曲となる「JAM」をリリース。吉井がリスペクトしてやまないMott the Hoopleの「All the Young Dudes」(すべての若き野郎ども)を想起させるこの曲は、ドラマティックなメロディ、壮大なサウンドメイク、シリアスな思いを吐露するような歌詞のインパクトを含め、当時のシーンに大きな衝撃を与えた。

出典元:YouTube(THE YELLOW MONKEY)

翌年にはファンの間でも評価が高い6thアルバム『SICKS』を発表。「LOVE LOVE SHOW」(1997年)、「BURN」(1997年)などのヒット曲を次々と送り出す。さらにアリーナツアーを成功させるなど、この時期のTHE YELLOW MONKEYはまさに絶頂期だった。

出典元:YouTube(THE YELLOW MONKEY)

彼らのキャリアに暗雲が立ち込めたのは、1998年の7thアルバム『PUNCH DRUNKARD』を引っ提げた全国ツアー「PUNCH DRUNKARD TOUR」。計113本というハードなツアーが彼らに大きな負担となったことは想像に難くない。1999年12月にリリースされたシングル「バラ色の日々」ではダンスミュージック系のプロデューサー朝本浩文を起用。そして2001年1月8日に行われた初の東京ドーム公演「メカラ ウロコ・8」を最後にバンドは活動休止。2004年についに解散を発表した。

その後はメンバーそれぞれがソロ活動を展開。その充実ぶりから「再結成の可能性は少ないのではないか?」と思われていたが、2010年代に入り、THE YELLOW MONKEYに対する再評価が巻き起こる。まずは2012年にリリースされたベストアルバム『イエモン-FAN'S BEST SELECTION-』。デビュー20周年イヤーを記念して制作されたこの作品は、ファンの人気投票によって収録楽曲を決定。THE YELLOW MONKEYの名曲に再びスポットが当てられることになった。2013年には前述した「PUNCH DRUNKARD TOUR」を題材にしたドキュメント映画「劇場版『パンドラ ザ・イエロー・モンキー PUNCH DRUNKARD TOUR THE MOVIE』」が公開。バンド復活への期待が高まるなか、前回の東京ドーム公演からちょうど15年目にあたる2016年1月8日、ついにバンドの“再集結”が正式にアナウンスされた。

出典元:YouTube(THE YELLOW MONKEY)

「もう一度、バンドをやってくれませんか?」という吉井の呼びかけによって実現したTHE YELLOW MONKEYの再集結。その意義をダイレクトに示したのが、新曲「ALRIGHT」だった。深みと凄みを増したバンドサウンド、危うさとキャッチーな手触りを共存させたメロディ、そして、「もう一度運命のタイマーを回して今夜 準備ALRIGHT」という歌詞。THE YELLOW MONKEYの本質と進化を同時に提示にしたこの曲は、従来のファンはもちろん、90年代の彼らを知らなかった世代にも大きなインパクトを与えた。

出典元:YouTube(THE YELLOW MONKEY)

19年ぶりのアルバム『9999』には、再集結以降に発表してきた「ALRIGHT」「ロザーナ」、シングル「砂の塔」(ドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』主題歌)、デジタル配信曲「Stars」「Horizon」(映画『オトトキ』主題歌 /『FINAL FANTASY XV』2Year Anniversaryテーマソング)、「天道虫」(ドラマ『天 天和通りの快男児』主題歌)、さらに新曲「I don’t know」(ドラマ『刑事ゼロ』主題歌)、「この恋のかけら」など全13曲を収録。まず印象に残るのは、さらに深みを増したバンドサウンド。メンバー4人の個性あふれる音が生々しく絡み合い、危うさと激しさ、美しさを響かせる彼らのアンサンブルは、本作によってさらなる進化を遂げている。レコーディングエンジニアには、THE BLACK KEYSのアルバムを手掛けたケニー・タカハシを起用。LA録音による、ガレージ、グラム、サイケデリックなどの手触りを混ぜ合わせたサウンドメイクも本作の魅力だ。

出典元:YouTube(THE YELLOW MONKEY)

また、現在のバンドの状況をリアルに反映した歌詞も強く心に残る。たとえば1曲目「この恋のかけら」。「冬になるとこの辺りは雪深くなるから/これより先は行き止まりになる」という叙情的な描写を交えながら、“残された時間は少ない。だから前に進むんだ”という意志をしっかりと刻み込んだこの歌は、ソングライターとしての吉井和哉の才能を改めて証明することになるだろう。


3月28日には日本武道館で『9999』の世界最速先行試聴会を開催。約5万通以上の応募の中から、アルバムタイトルにちなみ9999名のファンが招待されたこの試聴会は、なんとメンバー4人の“生演奏”。「武道館で試聴会なんて前代未聞です。でも何年も待ってもらったファンに一緒に聴いてもらうなら、我々が生で演奏するのが一番いいんじゃないかと」という吉井のMCからは、ファンに対する強い思いが伝わってきた。再集結後の2016年のライブで「イエローモンキーは、もう一生解散しない」(吉井)と宣言したTHE YELLOW MONKEY。数々の名曲、そして、新たな傑作『9999』をたっぷりと堪能してほしいと思う。



森朋之

音楽ライター/’00年頃からライター活動をスタート。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。個人的に好きなジャンルは、ストーンローゼズ、オアシス、プライマルスクリームなどのUKロック。

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