WANIMAの核心をドカンと浴びるための5曲

  • 邦楽
矢島大地

WANIMAの過去全作品+7月17日にリリースされるニューシングル『Summer Trap!!』からのリードトラック“夏のどこかへ”が、各ストリーミングサービスにて解禁された。PIZZA OF DEATH RECORDSからのインディーズデビューから約4年半でライヴハウスシーンを飛び出し、日本全国のアリーナ、ドームまでを席巻し紅白歌合戦に出場を果たすまでの国民的ロックバンドに駆け上がった3人。


出典元:YouTube(WANIMA)

お茶の間にも広がったデッカい笑顔と黄金のメロディは、どんな道筋を辿って日本を照らす太陽となったのか。その歴史とWANIMAの核心をドカンと浴びるための5曲を厳選し、ここに紹介する。さあ、一気に行きましょう。


雨あがり

デビュー作『Can Not Behaved!!』の2曲目に収録。デビュー当時のライヴでは、この曲を鳴らす際に必ずKENTAが「毎日お疲れさん!」と叫んでいた(この曲がセットリストにない時でも、この言葉はほぼ毎回のライヴで天高く叫ばれる)。その巨大な笑顔とは裏腹に、綴られるのは<不安で胸一杯で>、<声にならない痛み / 明日を眩しく照らせ…>という歌。不安や痛みを振り切るように2ビートで爆走していくメロディックパンクが突如リズムチェンジして跳ね出すと、<雨降り止んだかい?>と問いかけて、今の痛みは未来で笑うための糧だと伝えるメッセージソングへ変貌する。何段も跳ね上がって天高く昇るメロディは祈りのようだが、得体の知れない痛みの土砂降りから逃げずに歩んできた日々そのものが彼らの笑顔を支えているのだと歌そのものから伝わってくる1曲だ。


THANX

出典元:YouTube(pizzaofdeathofficial)

KENTAが地元・天草を離れる際に生み出した1曲。いわばWANIMA紀元前からWANIMAを支え続けてきたのがこの“THANX”だ。<離れるのは距離だけと>(この『と』は熊本弁の語尾だ)という方言交じりのサビは、遠く離れた故郷の仲間、家族からも見えるような存在(つまり誰もが歌えるバンド)になるという決意と、歌の原点を忘れないという自分への約束の両方を響かせている。WANIMAの歌には郷愁の匂いが漂うことが多いが、生まれた場所と生きてきた日々を忘れず、その全部を笑顔の未来へ連れて行くのだという意志こそが、聴く人にとっての故郷と人生を思わせる歌になるのだろう。


ともに

出典元:YouTube(pizzaofdeathofficial)

WANIMAの名を一躍全国に知らしめた、押しも押されぬアンセム。『Are You Coming?』でのブレイク後、この曲を携えて一気に地上波テレビ番組まで攻め込んで「みんなの歌」へとなっていった。この“ともに”まではKENTAの心の内にある痛みや傷を祈りの歌に転化させてきたのが、自分と同じように日々を生きる人へと真っ直ぐにエールソングを綴ったことが、どこまでも跳ね上がって行くメロディと、疾走しながらも大らかな8ビートへと直結している。ラスサビ後に突如姿を表す巨大かつ呼吸の隙間のない大サビでは、<生きて耐えて時に壊れ泣いて迷う影に笑顔咲き誇る>と歌われる。初期から一貫して変わらないのは、言葉にならない痛みに軋んだ心に笑顔の標識を指し示すように、そして耐えて進んできた日々を天高く打ち上げるように歌い続けていること。痛みや後悔も多くの人とともに歌えば、いつか赦せる。そう信じる心がWANIMAの歌を前に前に進ませるのだ。傷を歌うところにこそ巨大なコーラスを叩き込むところに、この歌の本質がある。


これだけは

出典元:YouTube(WANIMA)

シングル『Gotta Go!!』のリードは“CHARM”だったが、ここではカップリングの“これだけは”をセレクト。“ともに”のお茶の間アンセム化があってこそ「あなたがいつでも戻って来られる場所になる」と伝える“CHARM”を生めたわけだが、この“これだけは”で歌われているのは、背中を押すだけではなく人に寄り添う一面だ。<増える荷物を抱え / 痛みに慣れて楽になるまで><悔しくても先を急げ / 強くなって足を踏みならせ>。思うままに進めばいいと伝えるのは一貫しながらも、WANIMA節とも言えるラスサビで歌い鳴らされるのは、より一層深く人の苦しみにも向き合おうとする意志だ。スケールの大きなメロディはそのまま、聴く人の深く重い心の奥までより一層手を伸ばそうとする切実さが響いてくる「隠れた名曲」だ。


1106

出典元:YouTube(pizzaofdeathofficial)

ライヴに行ったことのあるリスナーや熱心なファンには広く知られているエピソードだが、KENTAが、地元・天草で育ててくれた祖父に宛てた手紙のような歌だ。お爺さんが亡くなった日付を曲名に掲げ、<思うように歌えばいいと>と背中を押してくれたことを思い返しながら、まさに船を海に出すような雄大なメロディがどこまでも伸びて行く1曲だ。“CHARM”で歌った「WANIMAがいつでも還ってこられる場所になる」という決意と、だからこそより一層力強く人の背中を押すエール。それは元々KENTA自身が授かったものであり、生きてきた日々と故郷を一切忘れずに歌を放ち続けるWANIMAの原点がここにある。ひたすら祈りに没頭するようにしてこの曲を歌うKENTAの姿は、畏怖を覚えるほどだ。


シグナル

出典元:YouTube(WANIMA)

NHK「18祭」にて披露された、セカンドアルバム『Everybody!!』をリードする1曲。100人の18歳とともに歌うことが前提となっていることも大きいのだろうが、それ以上に、より一層「人とともに歌いたい」という気持ちが巨大な掛け合いコーラスに直結している。マスに開いていきつつも、音楽的には鋭いパンクロックが貫かれているのがこの“シグナル”で、猛進する2ビートの中でも人を巻き込んでいくスケールがある。言わずもがな、その大きな歌の器はWANIMA3人の歌が折り重なった瞬間の神聖さすら感じさせる響きと、全編サビとも言えるほどのKENTAのメロディの力だ。心で涙を流しながら全力で笑顔を浮かべて強く進んで行くために。ただそのためにWANIMAの音楽は鳴り続ける。最新のアンセムにして、一切変わらぬ核が強烈なスピードの中に叩き込まれている1曲だ。

WANIMAの配信スタートにあたり、KKBOXでは様々なプレイリストを公開中です。WANIMAの魅力を堪能してみてください。



矢島大地

編集者/ライター ホリプロ→音楽専門誌MUSICA→CINRA

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