Mをより深く知る〜浜崎あゆみが紡ぎ出した珠玉の歌

Mをより深く知る〜浜崎あゆみが紡ぎ出した珠玉の歌
森朋之
森朋之

2020年4月から7月にかけて放送され、大きな話題を集めたドラマ「M 愛すべき人がいて」。浜崎あゆみの自伝的小説を原作にしたこのドラマは、彼女自身の人生と楽曲や歌詞との深い関連性を実感できる内容だった。ドラマでは主人公・アユをシンガーの安斉かれんが熱演。こちらも大きな話題となっています。


出典元:YouTube(avex)

そこで、この特集では、彼女が紡ぎ出した歌詞にスポットを当てながら、輝かしいキャリアを代表する楽曲を改めて紹介したい。


「poker face」(1998年)

出典元:YouTube(ayu)

19才のときにリリースされた記念すべき1stシングル。切なさや憂いを滲ませるメロディとともに描かれるのは、<ホントの自分>を追い求める繊細な心情、そして<あなたの愛が欲しいよ>という切実な願望。自分自身のアイデンティと愛すべき人の存在が直結し、そのなかで生まれる葛藤、悩み、希望といった感情を表現する浜崎あゆみのスタイルは、既にこの曲に現れている。ピュアとしか言いようがない真っ直ぐな歌声も心に残る。


「Boys&Girls」(1999年)

出典元:YouTube(ayu)

「WHATEVER」「TO BE」などのシングルを矢継ぎ早にリリースした1999年。浜崎あゆみは9thシングル「Boys&Girls」のミリオンヒットによって、本格的なブレイクへと突き進む。高揚感に溢れたダンストラック、希望と不安の間で揺れる感情をリアルに映し出すボーカルは、初期の浜崎あゆみのイメージを決定づけた。<輝きだした私達なら/いつか明日をつかむだろう>と呼びかけるようなサビのフレーズは、1978年生まれの彼女と同世代の女性を中心に圧倒的な共感を獲得。「Boys&Girls」は20世紀末のアンセムとなった。


「appears」(1999年)

出典元:YouTube(ayu)

「ミュージックステーション」(テレビ朝日)に出演した際、途中で涙声に……という有名なエピソードは、ドラマ「M 愛すべき人がいて」でも再現されていた。恋愛のはじまりから終焉までをシンプルに綴り、上手くいっているように見えても<真実はふたりしか知らない>というフレーズに集約させる歌詞は言うまでもなく、彼女自身の実体験に基づいている。あまりにもリアルで切ない表現によってリスナーを感動させた90年代末のヒットチューンだ。


「SEASONS」(2000年)

出典元:YouTube(ayu)

「vogue」「Far away」に続き“絶望3部作”のラストを飾る「SEASONS」は、浜崎あゆみの楽曲を数多く手がけるD・A・Iが作曲を担当したミディアムバラード。自らのキャリアや恋愛をリアルに受け止め、どこまでも率直に表現してきた彼女だが、この曲ではその状況を俯瞰し、<巡り巡りゆく/限りある季節(とき)の中に>生きる僕らをドラマティックに描き出している。諸行無常の考え方にも似た普遍性を感じさせる「SEASONS」によって浜崎は、作詞家としても高い評価を得た。


「Endless sorrow」(2001年)

出典元:YouTube(ayu)

“翼”“羽根”“羽ばたく”などのモチーフが数多く登場する浜崎あゆみの歌詞の世界。終わりのない悲しみを歌った「Endless sorrow」もその一つだ。憂いと慈しみが重なり合うような旋律に乗せて彼女は<羽のない天使があふれてる時代>に向けた思いを綴っている。もし君に翼がなかったとしても、僕が手を差し伸べる——この曲から伝わる強い決意は、自身の楽曲に共感するファンに対する、あまりにも真摯なメッセージなのだと思う。



「M」(2000年)

出典元:YouTube(ayu)

ドラマ「M 愛すべき人」の主題歌として再び注目を集めている「M」は、シンガー、作詞家、アーティストとしての浜崎あゆみがもっとも濃密に凝縮された楽曲の一つだ。すべての愛には孤独がつきものだし、いずれは必ず終わる。でも、どうしても<愛すべきあの人>を求めてしまう。女性として深い業を照らし出す歌詞は、ファンの間でも圧倒的な支持を獲得している。ロックとエレクトロが刺激的に絡み合うサウンドメイク、繊細さと力強さを併せ持ったボーカルも素晴らしい。


「オヒアの木」(2020年)


ドラマの最終回が放送された翌日、7月5日に配信されたニューシングル。<「拝啓 わたしの小さくて 永遠に世界一の天使へ」>から始まるこの曲は、2019年末に出産したことを発表した浜崎が、母親になって初めて書き下ろした楽曲だ。子供に向けられた愛情たっぷりの視線、未来に対する希望、そして、<新しく私らしい生きる意味を教えてくれた>こと。人生で経験したことが歌になり、アーティストとしての深みを増していく浜崎あゆみの物語は、いまも道の途中だ。



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