世界を魅了するロックバンド、ONE OK ROCKの3つの魅力

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海老沼邦明

ONE OK ROCKがアメリカのレコード会社ワーナー・ブラザーズ・レコードと契約を結び、最新アルバム『35xxxv』の海外盤として『35xxxv Deluxe Edition』を9月25日にリリース。同時に北米ツアーを開催することが発表された。

2007年のメジャーデビュー以来、メンバー脱退などの紆余曲折を経て、今や世界的に認められるバンドになったワンオク。その魅力はどこにあるのか。いまさら、いや、いまだからこそ、その魅力をもう一度考えてみたい。

その1 タイトでフルスロットルの演奏

ワンオクの魅力は何といってもサウンド。ボーカルTakaの魅力を第一に挙げる人たちも多いが、それについてはその2で書こうと思う。もちろん、それがひとつの大きな要因であることはたしか。だけど、ワンオクをワンオクたらしめているのは、間違いなくサウンドパフォーマンスだ。それはロックだとか、エモだかとか、そういう音楽ジャンルのことではなくて、演奏そのものが“タイト”であること。感覚的な表現でいえば“ビシッ”としているのだ。常に緊張感があり、テンションが張り詰めたサウンドだからこそ、リスナーを惹きつける。たぶんワンオクが洋楽っぽいと言われる所以はここにある。

ドキュメンタリー映画『FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM』のメガホンをとった中野裕之監督がインタビューで、「彼らの音楽はブレーキをかけないバンド」と言っていたが、それすらもこのパフォーマンスの高さが体現していることなのではないだろうか。

(YouTube : ONEOKROCKchannel)

その2 ボーカルTakaの魅力

(オハイオ州コロンバスで開催されたロックフェス「ROCK ON THE RANGE」にて※)

彼らの音楽はいわゆるエモに分類される音楽だと思う。そのクオリティを高めているのがボーカルの力だ。歌がうまいなんていうのは今さらいうことでもないだろう。彼の特徴のひとつが、高いキーなのにハスキーな声を出せることだ。地声と裏声がミックスされたような歌声を持つ。それに加えて声量がある。だから“エモーション”が伝わるのだ。英語の発音がいいから海外でも認められているという側面はあるのだと思う。実際に彼らの音楽を聴いた海外のファンは「英語の発音がいいよね」なんていうコメントを寄せているのだから。でも、そんなものは二の次で、エモーションがきちんと届いている歌声なのだ。エモーションということでいえば、歌詞もその一端を担っている。荒々しくて若々しい歌詞、こう書いてしまうと空々しく聞こえる。だけど彼らの歌詞は本当にそうなのだ。ズドンとくる。そのわけは、結果が先に来ているから。いろいろ考えて、こうしようというベクトルではなくて、まず先に結論がある。それはまさに感覚であって、そうなんだから仕方がない。だから余計にエモーショナルに聴こえるのだ。最後にもう一度言うけれど、それをそのままの“感覚”として受け取れるのは、Takaの“生々しい”ボーカルあってこそなのだ。


その3 その先の可能性

余談かもしれないが、本来ロックは青春芸術だと僕は思っている。だからサウンドやら歌詞やらパーソナリティなど、どこかに“その先”を感じさせてくれないものはロックではない。それはもちろんバンドが成長するとかそういう意味の可能性ではなくて、自分とシンクロさせて、自分の前にぼんやりと開ける“その先”のことだ。だからどれだけかっこよくて、うまい演奏で、雰囲気のある音楽でも、それだけでは“ロック”ではない。リスナーにも可能性を享受する素養があってこそロックは成立すると思っているし、だからこそ青春芸術だと思っている。ワンオクの持つ荒々しさ、若々しさ、エモーション。そんな魅力だけでも十分に可能性だらけの音楽だと思う。

(YouTube : ONEOKROCKchannel)

さきほどのバンドとしての成長ではないという言葉とは矛盾してしまうかもしれないけれども、ワンオク自体、まだまだ未完成でどんどん変化していくバンドなのだ。激しいロックだけでなく、「Wherever you are」のようなバラードも非常にクオリティが高い。最新アルバム『35xxxv』でも、カントリーの要素を取り入れた「Good Goodbye」のような楽曲も制作している。まだまだ変化、進化していく。単にロックバンドでは終わらない広がりを感じるバンドなのだ。

9月29日からの北米ツアーに続き、2016年初頭にはアジアツアーも予定している。世界的な広がりを見せているワンオク。その魅力はどこまでいっても彼らの“音楽”にあるのだ。

※photo : TPGIMAGES
海老沼邦明

大学在学中から出版社に勤務。 主に小説、映画関連の書籍の編集を担当していた。 2007年からフリーランスで活動を始める。J-POPを中心とした音楽関連の記事、アーティスト関連本を手がける。 趣味は野球(やる方)とマンガ(読む方)。

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