大人はわかってくれない! 世代を象徴する青春ソング

大人はわかってくれない! 世代を象徴する青春ソング
海老沼邦明
海老沼邦明
「いまどきの若いもんは!」などという言葉はですね、いつの時代にでも聞かれたんです。いつの時代にも大人はいて、若者はいたんです。だから、「大人はわかってくれない」などと言っていた人が大人になって、「いまどきの若いもんは」などと言ってることだってあるんです。大人になったいまだからわかります。団塊の世代、バブル世代、ゆとり世代……。世代の呼び方はいろいろありますが、それぞれの世代にはそれぞれの音楽があって、それぞれの青春があったんです。そこで、世代を象徴する「大人はわかってくれない」ソングを1950年生まれから10年区切りで見ていきたいと思います。
しらけ世代1951年~1960年生まれ
出典元:(YouTube:吉田拓郎 - 結婚しようよ) 断層の世代などとも呼ばれた世代。全共闘、団塊の世代のあとに生まれた人たちです。 はっぴいえんどや頭脳警察、裸のラリーズなどが、グループサウンズなどのそれまでのロックとは違う「ニューロック」と呼ばれ流行。フォークにも「ニューミュージック」という言葉が生まれます。その象徴が吉田拓郎の「結婚しようよ」。それまでの反体制的なフォークのイメージを覆し、自身の生き方や恋愛などをテーマにした曲を歌い人気に。ただし、いわゆる“フォークガチ勢”からは総スカンをくらうんですね。実際にビール瓶やら石を投げつけられてライブが中止になることも。
新人類世代1961年~1970年生まれ
出典元:(YouTube:尾崎豊 - 十七歳の地図) この世代が青春を謳歌した80年代は実に多種多様なカルチャーが発展した時代。原宿には竹の子族が現れ、そのなかから沖田浩之というアイドルも生まれた。テレビでは松田聖子などのアイドル全盛期。一方ではテクノポップが流行し、YMO、P-MODEL、ヒカシューといういまでも多くのアーティストに影響を与えるアーティストが現れました。と、思えば、校内暴力が社会問題として浮上するわけです。その若者の代弁者とも言えるのが尾崎豊。盗んだバイクで走り出す、といえばすぐにわかるはず。でもこうして聴くと、なんというかやりきれない感情が、歌われてるっていう、ただそれだけなのかもしれないな、と。
団塊ジュニア世代1970年代
出典元:(YouTube:The blue hearts 未来は僕らの手の中) 70年代生まれ、というとちょっと暴力的な気もしますが、前半が第二次ベビーブームのころ。後半の生まれはポスト団塊ジュニアなどとも言われます。この世代が大人になると就職氷河期が訪れて、失われた20年の始まり始まりとなるわけです。そんな世代が青春を過ごした80年代後半はなんといっても(第二次)バンドブーム。THE BLUE HEARTSやユニコーン、JUN SKY WALKER(S)といったバンドがデビューし、メジャーシーンで活躍した時代です。1989年には「三宅裕司のいかすバンド天国」(イカ天)という番組も始まるほど。この番組からはFLYING KIDS、JITTERIN’JINN、BEGIN、たまといったバンドが生まれます。
ミニマムライフ世代1980年~1987年
出典元:(YouTube:安室奈美恵 / 「SWEET 19 BLUES」) 10年区切りで話を進めると、この世代が前後どちらにも入る世代で難しいんですね。日本版ロストジェネレーションとも言われる世代でもあるし。まあ、なんやかいろいろあって、世界を小さくした時代でもあったかなと思います。セカイ系などと言われるアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のテレビ放送が1995年なので、なんとなくそんな世代です。ですが、音楽はそんなこともなく、B'zやWANDSといったビーイング系と呼ばれる王道ロックがきらびやかにチャートを飾り、そのあとには小室哲哉プロデュース作品がずらりと並ぶ。対抗するように90年代半ばからはMr. Children、GLAYといったバンドがビッグセールスを実現し、最後には宇多田ヒカルも現れる。なんとも百花繚乱としかいいようのない音楽界でした。
ゆとり世代1987年~2004年生まれ
出典元:(YouTube:千本桜 feat.初音ミク【HD】) ゆとり教育などというものが学校教育で施行された世代。「ゆとり」なんて誰が言いだしたのか知りませんが、いいのか悪いのかすっかり定着してしまった「ゆとり世代」という呼び方。この世代を象徴するサウンドのひとつがボカロ曲。JOYSOUNDの世代別カラオケチャートでも10代のトップ10にはずらりとボカロ曲が並びます。それを見ても、どれだけ浸透していたかはわかると思います。 世代などというものはあいまいなもので、さらに言うと、象徴するなどというのはもっとあいまいだとは思います。だって、こうして並べて聴いてみると、サウンドこそ違えど、歌ってる内容はそんなに変わらないんです。青春はいつの時代も、むだに熱くて、必要以上に切なくて、バカみたいにバカなものなのかな、などと思ってしまいます。大人たちはこれからは「さとり世代」だなどと、おもしろおかしく言い立てますが、いまもしくはこれからどんな音楽、サウンドが出てくるのか楽しみに待っております。きっと彼らの音楽は大人になんてわからないんです、きっと。んー、いや、わかってるんですよ、きっと。だって大人たちだっていつかは“若いもん”だったんですから。
海老沼邦明
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