2016年もいよいよ終盤。振り返ると今年の女性アイドルシーンは、実は良質な楽曲が多かったように思うのです。2010年代初頭にあったブームの狂騒を経て、シーンがしっかりと定着のタームに至ったここ数年。すごく味わい深い曲が各地から生まれている。というわけで、ここ最近のリリースを中心に「今聴くべき良質なアイドル楽曲」をまとめました。


渋谷を舞台に「セゾン文化」へのオマージュを歌う

出典元:(YouTube:欅坂46 OFFICIAL YouTube CHANNEL)

今年のアイドルシーンを代表する一曲になったのが、欅坂46のデビュー曲「サイレントマジョリティー」だと思う。工事中の渋谷駅で撮影したMVも、センターの平手友梨奈さんの存在感も、そして何より曲自体がとても鮮烈だった。

そのシングルのカップリングに収録されていた「渋谷川」、そして2ndシングル『世界には愛しかない』のカップリング「渋谷からPARCOが消えた日」と、欅坂46のモチーフに「渋谷」があるのが明らかになって、そしてこの3rdシングルの表題曲が「二人セゾン」。

おそらく「セゾン」とは「セゾン文化」のことだと思う。西武グループを率い、まさに渋谷の公園通りにPARCOを作った堤清二が渋谷に築いた消費文化の象徴だ。
そういういろんな象徴から欅坂46を読み解いていくのも面白い。


川谷絵音×冨田ラボの絶妙コラボ

出典元:(YouTube:夢アド Official YouTube Channel)

自らが率いるバンド「ゲスの極み乙女。」および「indigo la End」が活動自粛となった川谷絵音。しかし、彼が持つ音楽家、クリエイターとしての才能はやはり抜きん出ている。それを改めて証明するのがこの曲。「大人になれない演技 上手に少し見切れてた」というリリックのセンスもいい。さらに、冨田恵一(冨田ラボ)が編曲を手掛けることで、ポップスとしての強度も増している。

ドレスコーズの志磨遼平が作詞作曲を手掛けた「おしえてシュレディンガー」など、毎回夢アドが起用するアーティストやクリエイターは「そうきたか!」と唸るものばかりで、とても楽しみ。


ファンク×哲学×アイドル

出典元:(YouTube:Dance for philosophy)

通称「フィロのス」。一聴してわかるけど、音楽性はキレキレのファンクです。さらに「フィロソフィーのダンス」というグループ名通り、歌詞や曲名には、「パラドックス」や「アンチノミー」のような哲学用語がちょいちょい使われる。東大の哲学科を卒業したソングライター、ヤマモトショウ(exふぇのたす)がメインで作詞作曲を手掛けているのがその理由だと思う。

で、結果「ファンク×哲学×歌って踊る可愛いアイドル」の方程式が「楽しい!」という解を導く。そういう不思議なグループです。ブレイク間近。


新潟の良心

出典元:(YouTube:T-Palette Records)

リリースは少し前になるけど、今年のアイドルシーンの「名盤」を挙げるなら、やっぱりNegiccoの『ティー・フォー・スリー』だと思う。結成10年を超え長く愛されてきたアイドルが、まさに「良質」と言うべき楽曲を集めた一枚。Negiccoの現場にはとてもピースフルな空気があって、それは彼女たち自身やスタッフやファンが作り上げてきたものだと思う。「矛盾、はじめました。」は作詞が土岐麻子、作曲がさかいゆう、編曲がconnieとNEGiBAND。ホーンのアレンジが素敵。


名曲に新たな「意味」が加わる

出典元:(YouTube:アイドルネッサンス)

古今の楽曲を歌とダンスで表現する「名曲ルネッサンス」をテーマに活動するアイドルネッサンス。デビュー曲となったBase Ball Bearの「17才」以来、いろんな曲をカバーしているので、「良質」も何も、基本的にいい曲ばかりを歌っているのがこのグループだ。でも、面白いのは、彼女たちが歌うことで楽曲に新たな意味が生まれること。象徴的なのがピロウズ「Funny Bunny」のカバーだ。彼女たちがライブを軸に着実にパフォーマンス力と人気を上げてきたことで、原曲の「キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ」というフレーズに、ちゃんと物語が宿ってきている。

というわけで、2017年のアイドルシーンもとても楽しみです。



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