没後21年、尾崎豊の「音楽的」後継者は

没後21年、尾崎豊の「音楽的」後継者は
柴那典
柴那典

尾崎豊の音楽はよく知らなくても、その伝説は知っているという人、実は結構多いんじゃないだろうか? 83年の鮮烈なデビューから92年に26歳で突然の死を遂げるまで、「10代の代弁者」として君臨した彼。「盗んだバイクで走り出す」(「15の夜」)や「夜の校舎 窓ガラス壊してまわった」(「卒業」)などの歌詞の一節から、「反抗のカリスマ」のイメージで語られることも多い。でも、今の時代の若者からしたら、むしろこれらの歌詞には共感できない人のほうが多いんじゃないかと思う。このSNS時代、そんなことしたら炎上するに決まってるじゃん! みたいな。 尾崎豊に関しては、そういう「反抗のシンボル」の巨大すぎるイメージのせいで、逆にその音楽としての評価がきちんと若い層に伝わっていないのではないかとも思える。しかし再評価のきっかけになるかもしれないライブが、今年4月25日にオリックスホールで行われた。尾崎をリスペクトするアーティストが集結したその模様が収録されたDVDが、本日9月11日にリリースされる。 出演したのは、黒田俊介(コブクロ)、堂珍嘉邦(CHEMISTRY)、太志(Aqua Timez)、槇原敬之、miwa、石崎ひゅーい。特に、コブクロの黒田俊介はアマチュア時代に「I LOVE YOU」を歌い褒められたことがアーティストを目指すきっかけになったという。尾崎豊の音楽性の特徴は「朗々と歌い上げる男性シンガー」というところにあり、そういう点を考えるとコブクロは有力な後継者なのかも。また、アルバム「独立前夜」でメジャーデビューを果たした石崎ひゅーいは、尾崎豊を育てた音楽プロデューサーの須藤晃が見出した新鋭。独特の世界観を歌う彼は、尾崎のカリスマ性の後継者と言えるのではないだろうか。女性シンガーながら「僕が僕であるために」をカバーしたmiwaも大穴候補だ。 「反抗のシンボル」という先入観なしに、今の時代性から尾崎豊を聴いてみると、また面白い発見があるのではないだろうか。

柴那典
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