ブリング・ミー・ザ・ホライズンがヘヴィロックの未来を変える

ブリング・ミー・ザ・ホライズンがヘヴィロックの未来を変える
西廣智一
西廣智一

ブリング・ミー・ザ・ホライズン(以下、BMTH)がヘヴィロックシーンを牽引する代表格になることを予想した音楽ファンが、2ndアルバム『スイサイド・シーズン』で日本デビューを果たした2009年当時、一体どれくらいいただろうか。正直、『レディング&リーズ・フェスティバル 2015』2日目公演のメインステージで、ヘッドライナーのメタリカに次ぐ準トリを務めるほどビッグな存在になるなんて、誰も想像してなかったはずだ。 BMTHは結成当初、メタルコアとデスメタルの要素を兼ね備えた「デスコア」というジャンルに区分されるバンドだった。今の彼らしか知らない人には、2006年の1stアルバム『カウント・ユア・ブレッシング』、そして2009年(海外では2008年秋)の2ndアルバム『スイサイド・シーズン』は驚きの内容かもしれない。彼らは2009年5月の初来日公演、および翌年9月にブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインのジャパンツアーにゲスト参加したことで、日本での人気を確かなものへと固めていく。

(YouTube: EpitaphRecords) その後BMTHは他のメタルコア/デスコアバンドと一線を画するように、音楽的進化を遂げ続ける。3rdアルバム『ゼア・イズ・ア・ヘル・ビリーブ・ミー・アイヴ・シーン・イット・ゼア・イズ・ア・ヘヴン・レッツ・キープ・イット・ア・シークレット』(2010年)はよりプログレッシブな作風となり、静と動の対比をモダンな形で表現するなどバンドとしての冒険心を強くアピール。さらにキーボーディストとしてジョーダン・フィッシュを迎えた4thアルバム『センピターナル』(2013年)にて、ダークながらも壮大な世界観をヘヴィかつスペーシーなサウンドで表現。ボーカリストのオリヴァー・サイクスはスクリームと“歌うこと”を巧みに使い分けて、もはやハードコアとは言い難い独自のスタイルを確立した。同作はチャート的にも全英3位、全米11位という成功を手に入れたのである。

(YouTube: BMTHOfficialVEVO) その4作目をさらに押し進めたのが、今年9月発売の最新アルバム『ザッツ・ザ・スピリット』だ。アクセントとしてエレクトロの要素を加えつつも、歌メロをより際立たせた楽曲の数々は今までで最も口ずさみやすいものばかり。サークルモッシュやウォールオブデスを誘発していたバンドは、気付けばスタジアムで大合唱するアンセムを作り上げていたのだ。

(YouTube: BMTHOfficialVEVO) そんな傑作『ザッツ・ザ・スピリット』を引っさげ、BMTHは2016年1 月末に久しぶりとなるジャパンツアーを敢行。ぜひこの機会に『ザッツ・ザ・スピリット』や『センピターナル』をKKBOXでリピートしつつ、ライブ会場にて“ヘヴィロックの未来”をその目で確かめてほしい。

西廣智一
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