パティ・スミス来日記念!ニューヨーク・パンク入門

パティ・スミス来日記念!ニューヨーク・パンク入門
行川和彦
行川和彦
パンクは70年代前半にニューヨークで生まれた。ファッショナブルに反逆アティテュードを打ち出したロンドン・パンクの派手さはなかったが、ニューヨークでは“無頼派”の大人がクールにエナジーを炸裂させていた。ロックンロールはもちろんのことポップスからジャズまでを我流で消化してシャープに解き放ち、過去の音楽をリスペクトしながら素行不良の歌詞と曲と音を自由に創作。ニューヨーク・パンクも様々で、文学や芸術全般に造詣が深い知的なアーティスト肌の人と、プリミティヴを突き詰めた生粋のロックンロール肌の人とでシーンを形成していた。 母親になった80年代以降はヒューマニズムが強まっているが、今もパティ・スミスはパンクの女王である。そしてこれまでにないフリーキーな歌い方がパンクを象徴する75年のファーストの『ホーセス』は、最初のパンク・アルバムだ。ポエトリー・リーディングやインプロヴィゼイションにも挑んできているアーティストだが、やっぱりシンプルなロック・ナンバーは彼女のパワフルな情感がまっすぐ伝わってくる。「ビコーズ・ザ・ナイト」はブルース・スプリングスティーンと共作した78年のシングルで、全米トップ20に入ったパティ最大のヒット曲である。
Patti Smith GROUP「Because The Night」
出典元:(YouTube:stardustdays) 一方、アメリカン・コミックやホラー映画のテイストもダシにした対極の存在感で20年以上加速し続けたのがラモーンズ。ビシッ!と荒削りで疾走するシンプルなロックンロール・スタイルのパンク・ロックは、ラモーンズが生み出した。「ピンヘッド」はライヴのハイライトで披露した人気ナンバーで、この映像は79年公開の劇映画『ロックンロール・ハイスクール』の一シーンである。タイトにキメたファッションは統一していてもキャラはバラバラで、曲がポップでもさりげなく妙に病的なところもチャーム・ポイントだ。
RAMONES「Pinhead」
出典元:(YouTube:visajes ratón) リチャード・ヘルはパンクのキー・パーソンとしても知られる。テレヴィジョンやハートブレイカーズを渡り歩いたニューヨーク・パンクの裏番長というだけでなく、DIYなパンク・ファッションがロンドン・パンクに影響を与えた。“空白を自分で埋める”というポジティヴな意味を込めた「ブランク・ジェネレーション」はリチャードの代表曲だ。この映像は80年公開の劇映画『ブランク・ジェネレーション』の一シーンだが、当時のリチャードのバンドのヴォイドイズが演奏。サングラスのギタリストは80年代前半にルー・リードのバンドで弾くロバート・クワイン、ドラマーはこの撮影の後ラモーンズに加わるマーキー・ラモーンだ。
Richard Hell and The VOIDOIDS「Blank Generation」
出典元:(YouTube:George P) 他にも、パンク・ギターの元祖のジョニー・サンダース(元ニューヨーク・ドールズ)、ソリッドなギターとヘタレ・ヴォーカルで影響力絶大のテレヴィジョン、ガール・ポップを盛り込んでナンバー1ヒットを重ねたブロンディ、エレクトロニック奇天烈デュオのスーサイドなど、ニューヨーク・パンク・ムーヴメントは多彩な異才を世界に送り出したのである。
行川和彦
行川和彦

関連アルバム

最新の記事

    share to facebook share to facebook share to facebook share

    Ctrl + C でコピー