植民地時代を思わせるフレンチ・クォーターの街並み、喧騒に溢れたバーボン・ストリート、そして、世界最大級のカーニバルのひとつ、マルディ・グラ。アメリカ南部に位置するニューオーリンズは、とても個性的な街。様々な異文化が交流する場所ということもあって、“ごった煮”という意味の「ガンボ」という言葉がとても似合います。2005年にはハリケーンに襲われて多大な被害をこうむりましたが、徐々に復興して今ではかつての元気を取り戻しつつあります。

ニューオーリンズは、音楽的にも非常に重要な場所。というのも、ジャズが生まれた街だからです。1900年代の初頭に誕生したといわれるジャズは、ブルースやラグタイムといった古い音楽にブラス・バンドの要素を加え、新しい感覚の音楽へと進化させていきました。ルイ・アームストロングやジェリー・ロール・モートンといったスターを生みだし、デキシーランド・ジャズからスウィング・ジャズの大ブームまで、ジャズの街としてシーンを引っ張ってきました。

一方、ソウル・ミュージックにおいても、ニューオーリンズは独自の路線を築きます。もともとアメリカ南部はブルースがさかんなエリアですが、それをベースにマーチングバンドのリズムを取り入れ、セカンドラインというファンキーなビートが生まれます。ネヴィル・ブラザーズを筆頭に、ミーターズやアラン・トゥーサンといったスターが続々と登場し、ドクター・ジョンを介してロック・シーンにも多大な影響を与えました。

近年では、こういったニューオーリンズ独自のサウンドを現代ジャズやクラブ・ミュージック、ヒップホップなどとミックスするアーティストも増えていて、ギャラクティックやホット・8・ブラス・バンドなどは日本でも高く評価されています。まだまだ進化の余地がある音楽の街ニューオーリンズからは、今後もユニークなアーティストが生まれていくことでしょう。


George Lewis Ragtime Jazzband「Just A Little While To Stay Here」

出典元:(YouTube:CrescentCityMusic)

ニューオーリンズならではの伝統的なデキシーランド・ジャズ。そのなかでも、ジョージ・ルイスのクラリネットは特別だといわれています。軽快な音色と鮮やかなテクニックからは、フレンチ・クォーター周辺のにぎやかな雰囲気が伝わるはず。ジャズ黎明期のエネルギーを感じてみてください。


The Neville Brothers「Brother John / Iko Iko」

出典元:(YouTube:Neville Brothers on MV)

ニューオーリンズ・ファンクやR&Bの頂点といえば、アート、チャールズ、アーロン、シリルというネヴィル4兄弟によるネヴィル・ブラザーズ。鉄壁のリズムに乗せた強力なヴォーカルとコーラスはとにかく圧倒的。この曲は、カーニバル風のオリジナルとドクター・ジョンのヴァージョンで知られる名曲をマッシュアップした傑作です。


The Hot 8 Brass Band「Wolf Burger」


出典元:(YouTube:NealOneHanded)

古くからある伝統的なブラス・バンドを今の感覚で演奏する若手バンドの筆頭が、ホット・8・ブラス・バンド。マーヴィン・ゲイのカヴァーで注目を集め、モス・デフやローリン・ヒルといった大物アーティストとの共演でも話題になりました。ヒップホップやR&Bを柔軟に取り入れながらも、ニューオーリンズらしさを損なわない実力派です。



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