「旅と音楽:モスクワ」〜美しくも謎めいた都

「旅と音楽:モスクワ」〜美しくも謎めいた都
栗本斉
栗本斉
冷たい風が吹き抜ける美しくも謎めいた都。ロシア連邦の首都モスクワというと、多くの人がそういったイメージを持っているのではないでしょうか。世界有数の大国でありながら、社会主義国という日本では馴染みのないシステムや、長い東西冷戦時代におけるダークな印象に加えて、旅行先としてもマイナーであるため、他の欧米諸国に比べると情報がないというのも、モスクワを遠い存在にしている要因です。 しかし、実際にはモスクワへの観光客は年々増加しているようですし、日本からもリーズナブルなツアーが組まれるようになってきました。モスクワの象徴である赤の広場、大統領府も置かれているクレムリン宮殿、バレエやオペラの殿堂として知られるボリショイ劇場、そして建築的にも価値の高い数々の教会など、実は見どころもたっぷり。今後ますます注目されていくのではないでしょうか。 モスクワの音楽シーンも、その国のイメージ同様に日本ではあまり認知されていませんが、ロックからダンス・ポップまでジャンルも幅広く充実しています。世界的にブレイクしたアーティストといえば、なんといってもt.A.T.u.(タトゥー)でしょう。2002年にワールド・デビューし、日本でも社会現象になりました。ドタキャン騒動などスキャンダラスなイメージが強いですが、音楽的には高く評価されています。 それより遡ると、加藤登紀子がカヴァーした「百万本のバラ」で知られるアラ・プガチョワなどになりますが、こういった正統派ロシアン・ポップスの系譜は脈々と続いています。「泣かないで」のヒットで知られるタチヤーナ・ブラーノヴァや、エンリケ・イグレシアスなどとも共演しているアルスーはその代表格。他にも、日本での活動も行い2015年に若くして亡くなったオリガ、オルタナティヴ・ロックの雄であるオールギヤ・プラーベドニコフなど、とにかく知られざる豊潤なシーンが広がっているのです。
t.A.T.u. 「All About Us」
出典元:(YouTube:tATuVEVO) ▼リェーナ・カーチナとユーリャ・ヴォルコヴァという美少女コンビを取り巻く音楽プロジェクト。1999年に始動し、2002年にトレヴァー・ホーンのプロデュースによりワールド・デビュー。テレビやライヴのドタキャン騒動などで物議を醸しましたが、その後も地道に活動を続けています。
タチヤーナ・ブラーノヴァ「Не плачь」
出典元:(YouTube:Татьяна Буланова) ▼タチヤーナ・ブラーノヴァは、サンクトペテルブルク出身のシンガー。1991年に出場した音楽祭でグランプリを獲得。その時に歌った「忘れないで」が大ヒットを記録しました。正統派のポップスから、テクノやエレクトロを取り入れたサウンドまで果敢に挑戦していますが、基本的には憂いのあるロシアならではの歌声が魅力。
アルスー「Там, где нет тебя」
出典元:(YouTube:StarPro) ▼女優としての活動も行うほどの美貌を持つアルスーは、1999年にデビュー。伸びやかな声と、R&Bを意識したサウンドで、新たなロシアン・ポップのシーンを切り開いてきました。2001年には英語アルバムでワールド・デビューも果たし、大規模なツアーも行っています。ジャズも歌える実力派として人気の高いひとり。
栗本斉
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