ベートーヴェン生誕250周年〜にわかベートーヴェン通になれるこの5曲〜

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"クラシックの代表的な作曲家であるベートーヴェンは、2020年に生誕250周年を迎えます。ドイツのボンという街に生まれ、「運命」や「第9」など数々の名曲を作曲したベートーヴェン。1827年に亡くなってから200年近く経った現在でも、多くの作品が世界中で演奏され、そして多くの人に聴かれています。そんなベートーヴェンの作品から、いま聴いておくべき作品をピックアップ!これでベートーヴェンの〈にわかファン〉となってちょっとしたクラシック通な会話を楽しんでみてください。


ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」から第2楽章

出典元:YouTube(JapanArtsCorparation)

ベートーヴェンが生きた時代はピアノがとても発達していった時代でもあり、ベートーヴェンは25歳から50代まで32曲のピアノ・ソナタを残しています。若い頃と晩年では、ピアノの性能もかなり変わっていったようで、番号順にピアノ・ソナタを聴いていくと、楽器としてのピアノが進化する経過も知ることができます。ピアノ・ソナタ第8番の第2楽章は、第1楽章、第3楽章とはまったく違い、とてもロマンティックなメロディが印象的で、1983年にはビリー・ジョエルが、第2楽章のメロディに歌詞を付けて「This Night」という曲を発表しています。ちなみに「悲愴」というタイトルは、ベートーヴェンがつけたものではなく、のちに楽譜が出版された時に付けられたものだそうです。


交響曲第8番から第2楽章

ベートーヴェンがこの交響曲を作曲したのは19世紀の前半ですが、この前にモーツァルトとハイドンという先輩の作曲家がいました。モーツァルトは41曲、ハイドンは106曲の交響曲を作り、この二人が交響曲のスタイルを確立したと言われ「交響曲の父」と言っても過言ではありません。ベートーヴェンはこの先輩の功績を引き継ぎ、9曲の交響曲を作っていますが、どれもそれまでの交響曲のスタイルと違っているものが多く、ベートーヴェンが交響曲の形式を発展させていったと言えます。



「交響曲第8番」第2楽章は管楽器がずっと同じリズムを刻み、まるでメトロノームのような曲になっています。メトロノームは一定のテンポを指示を出してくれる機械で、1816年にドイツ人のメルツェルが特許を取得したものです。そのメトロノームの指示を楽譜に初めて書き込んだのがベートーヴェンと言われています。この第2楽章はメトロノームのテンポをあたかも表現しているかのように、管楽器の同じリズムが刻まれます。その時代にできたメトロノームという新しい機械の良さを取り入れた作品とも言えるでしょう。そしてベートーヴェンの交響曲の中で一番規模が小さな作品でもあり、メロディもチャーミングで可愛らしい曲になっています。このあとに「第9」のような壮大な曲が作られるとは誰も想像しなかったのではないでしょうか。


君を愛す

この作品はピアノ伴奏でテノール歌手が歌う作品です。ベートーヴェンは歌のジャンルでもたくさんの作品を手がけ、ピアノ伴奏曲は90曲もあります。その中でも、この「君を愛す」は本当にストレートなラブソングで、30代だったベートーヴェンが、ドイツの作家ヘルローゼの詩に曲を付けたものです。当時は詩人が書いた詩が先にあり、そこに曲をつけるというケースが多かったようですが、冒頭から「僕は君を愛している」という言葉で始まるとともに、メロディもとてもロマンティックなものになっています。



あのいかついベートーヴェンの風貌からは考えられないメロディですが、ベートーヴェンが持つ人間的な魅力を感じられる曲になっています。同時にこの頃、ベートーヴェンは持病の難聴がどんどん悪化して耳が聴こえなくなっていきます。そして遺書も書いていたほど精神的に不安定な時代でもありました。そんな時期にこんなロマンティックな曲を書き上げたことを考えると、べートーヴェンの人間としての強さ・深さを感じます。


ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」から第1楽章

ベートーヴェンはピアノの名手としても知られていますが、ヴァイオリンもベートーヴェンにとって大切な楽器でした。生涯に10曲のヴァイオリン・ソナタを作曲し、その中でも「クロイツェル」は最高傑作と言われています。この作品は「君を愛す」の少しあとに書かれた作品で、耳がどんどん聴こえなくなる不安な精神状態の中で発表されました。



しかしそんなことを一切感じさせないとても充実した作品になっています。当時発展途上にあったピアノを巧みに使いながら、とてもスタイリッシュなヴァイオリンのフレーズが数多く登場し、両方の楽器の魅力を最大限に引き出しています。特に冒頭の無伴奏のヴァイオリンが堂々と奏でられるパートはとても印象的で、聴く人の心を掴んで離さないほどの魅力的なものになっています。


交響曲第9番「合唱」から第4楽章「歓喜の歌」

出典元:YouTube(UNIVERSAL MUSIC JAPAN)

最後はやっぱり「第9」。日本では年末の風物詩として知られている交響曲です。ベートーヴェンはモーツァルト、ハイドンから受け継いだ交響曲を大きく発展させていきます。それまで交響曲で使われなかった打楽器を取り入れたり、特殊な管楽器を使ってみたり。そして最終的には「第9」にあるように合唱やソリストの歌を交響曲に取り入れます。このような構成は本格的な作曲家の中ではベートーヴェンが初めてと言われています。「歓喜の歌」はドイツの詩人であるシラーが書いた「歓喜に寄す」という詩が元になっていますが、バリトン歌手がソロで歌う冒頭の部分だけベートーヴェンが詩を追加しています。ベートーヴェンが「歓喜に寄す」に出会ったのは20代の頃で、この詩に感銘を受けいつか曲を付けたいと考えていたようで、さらに交響曲の持つメッセージ性にもこだわったのではないでしょうか。



「交響曲第9番」が出来上がったのは耳がまったく聴こえなくなった50代になってからでした。初演は1824年で、ウィーンのケルントナートーア劇場でした。耳の聴こえなくなったベートーヴェンは指揮者の横でテンポを指示する役目をしていました。ベートーヴェンは観客に背を向けていたので、演奏が終わったあと観客から大喝采を受けていたことがわからなったようで、側にいたアルト歌手がベートーヴェンを促して客席を見せたのだそうです。その光景を目の当たりにしてベートーヴェンは大感激をしたという逸話が残っています。耳が聴こえなくなっているのにもかかわらず200年経っても人々を高揚させる作品を作れたという事実は、現代を生きる私たちに勇気も与えてくれます。

偉大な作曲家であるベートーヴェンに興味を持ったら、KKBOXで様々な指揮者やオーケストラ、演奏家が奏でる交響曲やピアノ・ソナタなどいろいろ深掘りしてみてくださいね。



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