〜前編〜アジア全域、熱狂す!Blur香港公演を完全ストリーミング

〜前編〜アジア全域、熱狂す!Blur香港公演を完全ストリーミング
KKBOX編集室
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先日、KKBOXのライブ生中継機能を使って、UKのベテランバンドBlurの香港公演がアジア6カ国で同時ストリーミング中継され、大きな盛り上がりを見せた。そこで今回はBlurをよく知る音楽ライター3名にリアルタイムでストリーミングを鑑賞してもらい、BlurのライヴとKKBOXのライブ生中継機能を評していただいた。

ライタープロフィール

新谷洋子 大阪府生まれ~南アフリカ・ヨハネスブルグ育ち~東京在住。女性ファッション誌の編集者を経て、フリーの音楽ライターに。アイドル・ポップから硬派ロック、R&B/ヒップホップまでジャンルを問わず、洋楽アーティストのアルバム解説を執筆 村上ひさし 音楽雑誌の編集者、ニューヨーク特派員を経て、現在はフリーの音楽ライターとして東京に在住。ロック、ポップ、R&B、ヒップホップ、ハウス、アイドル、トラッシュとジャンル問わずで飛びつく雑食系。主に洋楽アーティストの取材原稿や解説を執筆 岡村詩野 東京生まれ京都育ちの音楽評論家。『ミュージック・マガジン』『朝日新聞』『VOGUE NIPPON』『The Sign Magazine』などで執筆中。京都精華大学にて非常勤講師を、東京と京都で音楽ライター講座の講師も担当。α-STATION(FM京都)では『Imaginary Line』(毎週日曜日21時~)でパーソナリティもつとめている

00年代、空白じゃなかったことが確実に証明された

―今回のライヴの前にBlurのライヴを最後に見たのはいつのことでしたか? 岡村:私は『Think Tank』の時の赤坂BLITZ以来ですね。 新谷:私は去年の武道館が最後でしたね。 村上:僕はNYで見て以来だから多分10年くらい前ですね。 ―みなさんがご覧になったその時と比較していただいても構いませんが、今回のBlurのストリーミング・ライヴを見ての率直な感想をお願いします。 新谷:Blurのライヴってバンドが復帰してからずっといいんですよ。昔はライヴが上手いバンドって訳じゃなかったんですけど、4人になってから生で3回観て、あとは映像でチェックしている限り、全部いいなって印象を持っていて。 村上:いい年齢の取り方しているよね。デーモンも年齢いったけど一番いい年齢になってる、昔はチャラかったしアイドルみたいな感じだったけど、今、中年になって同性として見てもすごく格好いいなと思える。 岡村:あと、新作の曲がよかったですね。昔の曲もたくさん散りばめられててとても面白い選曲でしたけど、やっぱり「Ghost Ship」とかよかったと思いますね。新しいアルバムの曲をしっかりと消化できてるライヴという感じがありました。 ―最新アルバム『The Magic Whip』は、急遽リリースされた印象がありましたし、ジャケを見ても分かるように中国にインスパイアを受けたアルバムのように見えますが、実際にあの作品のバックグラウンドはどのようなものがあったのでしょうか? 村上:確か日本公演が飛んじゃって、香港で暇になったからレコーディングしたっていう流れがあったんですよね? ライヴでも香港の歌をこれから歌うよって言ってましたね。中国風のビデオもそうだし。 新谷:元々は2013年5月にTOKYO ROCKSのキャンセルで生まれた空白を利用してレコーディングしたジャム音源を、一旦はお蔵入りにしたものの、昨年 になってグレアムが何か形にできないものかと、彼らと長年コラボレートしたプロデューサーのスティーヴン・ストリートと一緒に聴き直して、整理をし、曲の形にまとめていった。それを受けて、デーモンは改めて香港を訪れ、レコーディング当時に自分が抱いていた想いを確認したりしながら、詞を綴ったという、ユニークな成り立ちのアルバムなんです。それがライヴでとても有機的な成立をしていましたね。 岡村:そうなんです。新作の曲がすごくよかったですね。 村上:デーモンはソロやGorillazとかでヒップホップとかバンド以外のことをやっていて、バンドに立ち返るのは久しぶりなんだけど、アルバムではリズム隊とかが普通のロック・バンドではない感じがよく出てましたね。 ―ライヴでのメンバーの動きはいかがでしたか? 村上:デーモンがいるから客と繋がることができるんだなと改めて思いましたね。自らお客さんの中に飛び込んでいくし。 新谷:それとやっぱりアレックスのホットパンツでしょう。 村上:ああ、ブリティッシュな感じね(笑)。 新谷 それとキャリアが30年も経っているんだけど、改めてこんなことをできるんだなと再確認できて楽しかったですね。 ―なんか見ていて楽しそうだったんですが、バンドの結束みたいなのは再び活動してからよくなってきてるんですかね? 岡村:元々仲良し4人組という印象より、4人それぞれが独立した感覚を持っているバンドだったと思うんです。そういう意味で、00年代以降、デーモンとグレアムが特に際立って充実したソロ活動を展開していたこともあって、正直言ってBlurってもうなくなっても仕方ないな…と思っていたんですよ。『Think Tank』は実際にグレアム脱退のドタバタの中で作られたものだった。  でも、新作の『The Magic Whip』が想像以上によかった。それによって、バンドとして殆ど活動していなかった00年代がただの空白じゃなかったっていうことが確実に証明されたと思います。それが今回のこのライヴにも現れていたような気がしますね。デーモンは00年代以降とりわけ西アフリカや東アジアに赴いていたわけですが、特にアフリカでの現地ミュージシャンとの邂逅でリズムやコーラス、メロディに対するアプローチが大きく変化した。 それが、今日のこの香港でのライヴにも現れていたような気がしました。どのくらいの年齢層のお客さんが香港にいたか分からないけど、今のブラーは 当時のファンだけではなく、若い人に見てほしいですね。 KKBOXライブレポ特別座談会「アジア全域、熱狂す!Blur香港公演を完全ストリーミング」後編はコチラ:http://kkbox.fm/G1Ctz5 協力:新谷洋子、村上ひさし、岡村詩野 写真:Taihei Ohara

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