アルバム再現ライブ、急増中！

去る5月23日、東京ＮＨＫホールで井上陽水のライブが行われた。これは彼が今から40年前、1973年にリリースした自身の記念碑的アルバム「氷の世界」の収録曲を完全再現するという主旨で行われたもの。この日のライブに先駆けてリリースされた最新リマスター盤の歌声と円熟味が増した現在の声の聴き比べは予想以上に楽しめた。 終盤ではヒット曲を立て続けに披露するサービス精神も忘れず、ライブは盛況の内に幕を閉じたのだった。 佐野元春は7月25日のフジロック・フェスティバルにおいて名盤「VISITORS」の再現ライブを行うと発表している。また海外勢ではイエスが「こわれもの」「危機」という誉れ高い2作品の再現ライブを11月の来日公演で行うと発表。そしてラモーンズのC・J・ラモーンが名盤「ラモーンズの激情」の再現ライブを、やはり11月の来日公演で行うと発表している。 演奏曲を事前に告知するという試みは、クラシックや演歌などの公演ではよく見受けられる。何が演奏されるか分からないというサプライズ感も重要だが、演奏曲の大半を事前に告知する形の再現ライブという公演形態もまた、エンターテインメントのひとつの姿としてとても興味深い。 条件は名盤であることと、演者が現役であること。ロックが定着して50年が過ぎた今、ノスタルジー以上の発見に出会う可能性の場となるか。今後の再現ライブにも大いに期待したい。